第一章 蒼と青の世界
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太陽が真上に昇り、時刻は正午になろうとしていた。
すっかり寝過ごしてしまった私は、急いで体を起こそうと身動ぎする。
が、全く動かない。
「重い…」
モフモフした白くて大きな身体が半分。
私の上に覆い被さり、どうにも起き上がれないのだ。
「ベポー…苦しい…」
小さな呟きも届くことなく、彼は気持ち良さそうに寝息を立てる。
起こすのも気が引けるが、苦しくて堪らない。
「だっ誰かー!助けてー!」
精一杯大きな声で叫んでみても、全く起きる気配のない白熊。
バタバタバタバタ…ガチャッ。
「アイリス? どうしっ……」
頑張って、声を張り上げた甲斐あって、すぐにシャチが駆け付けてくれた。
しかし、助けに来た筈の彼は、固まったまま一向に動こうとしない。
それどころか、肩を震わせ小刻みに揺れだした。
「もう…!笑ってないで助けてよ!」
涙目で怒る私に、腹を抱えて笑い出すシャチ。
「だってお前…ぷっクククッ…アハハハ!」
何がそんなに面白いのか、転げ回る彼にいよいよ堪忍袋の緒が切れそうになる。
「何だ…?」
そこに現れたのは、待ち望んだ救世主。
私とシャチを交互に見遣り、彼は直ぐに状況を理解してくれた。
「おい…こいつ大丈夫か…」
ドン引きした様子で、笑い転げるシャチに冷たい視線を送るペンギン。
「ほら、掴まれ」
腕を伸ばし、下敷きになっている私を、素早く引っ張り出してくれた。
「ありがとう…もう少しでシャチに殺意を抱いてたよ…」
"PENGIN" と書かれたキャップ帽を深く被り直した彼は、僅かに口角を上げ、口を開いた。
「シャチ…魚の餌になる前に、アイリスにきちんと謝っとけよ」
漸く、笑いが治まった様子のシャチ。
「えっ怖っ!!!」
恐怖に震え出した彼は、私の足を掴むと許しを乞い始めた。
「アイリス〜悪かった!お前が半分潰れてたのがツボに入ってよー…思い出したら…また…ブッ」
再び笑い始めたシャチに、私の怒りは遂に頂点に達した。
掴まれていた足を思いっきり振り上げる。
「いっ痛てェー!!!」
鼻血を流しながら悶絶するシャチ。
涙を浮かべる姿を視界に収め、漸くスッキリした私は、身を翻し部屋を後にした。
甲板へ差し掛かったところで遭遇したのは、船の船長 トラファルガー・ロー 。
「なんだ…アイリス…もう終わりか」
含んだ笑みを浮かべる彼の姿に、私は再び不機嫌になる。
「煩い…!見てたなら何とか言ってよね!」
苛立った私は、頬を膨らまし声を荒げた。
「クククッ…」
愉快そうに笑う船長に背を向け、鼻息荒く食堂に向かう。
やけ食いしてやる。
怒りを消化して、遅目の朝食を口にしていると、呑気な可愛い白熊が片目を擦りながら現れた。
「おはよ〜アイリス、シャチが部屋の前で倒れてるけど…何かあったの?」
笑いを堪えるローとペンギンを横目に、ベポを強引に私の隣の席に座らせて、朝食を出す。
「いいの!シャチはほっといて! ごはん食べよう!」
彼は不思議そうに首を傾げながら、船長に視線を移す。
「ベポ、大丈夫だ…気にせず食え」
ローの言葉に、"うんうん" と頷くペンギン。
それを見て安心した様子の白熊は、笑顔で朝食を頬張り始めた。
「そうなの? じゃあ…いただきまーす!…うわぁアイリス料理上手いね〜」
両手に持ったおにぎりを美味しそうに食べるベポ。
「沢山食べてねー」
私達が朝食を終えた頃。
「は………腹………減った…」
恐る恐る食堂に現れたシャチ。
「仕方ないな〜…はい…」
少年の姿が余りにも可哀想だったので、取り分けていた朝食を出してあげた。
「ウゥッ…アイリス〜ありがとう〜グズッ…」
泣きながらおにぎりを頬張る彼の様子に、少しだけ同情する。
「もういいよ…許す」
溜息まじりに告げると、嬉しさのあまり再び泣き始めたシャチ。
そんな様子を、呆れた表情で見つめるペンギン。
ベポは相変わらず首を傾げ、頭上に "はてな" マークを浮かべている。
「ククッ…シャチが食い終わったら甲板に集合だ…今日から鍛錬を始める」
突然、修行の開始を告げた船長は愉快そうに笑いながら、甲板へ向け歩き出した。
"朝ご飯のあとは鍛錬" という暗黙のルールが誕生したのは、航海ニ日目のお昼も過ぎた午後のことだった。
すっかり寝過ごしてしまった私は、急いで体を起こそうと身動ぎする。
が、全く動かない。
「重い…」
モフモフした白くて大きな身体が半分。
私の上に覆い被さり、どうにも起き上がれないのだ。
「ベポー…苦しい…」
小さな呟きも届くことなく、彼は気持ち良さそうに寝息を立てる。
起こすのも気が引けるが、苦しくて堪らない。
「だっ誰かー!助けてー!」
精一杯大きな声で叫んでみても、全く起きる気配のない白熊。
バタバタバタバタ…ガチャッ。
「アイリス? どうしっ……」
頑張って、声を張り上げた甲斐あって、すぐにシャチが駆け付けてくれた。
しかし、助けに来た筈の彼は、固まったまま一向に動こうとしない。
それどころか、肩を震わせ小刻みに揺れだした。
「もう…!笑ってないで助けてよ!」
涙目で怒る私に、腹を抱えて笑い出すシャチ。
「だってお前…ぷっクククッ…アハハハ!」
何がそんなに面白いのか、転げ回る彼にいよいよ堪忍袋の緒が切れそうになる。
「何だ…?」
そこに現れたのは、待ち望んだ救世主。
私とシャチを交互に見遣り、彼は直ぐに状況を理解してくれた。
「おい…こいつ大丈夫か…」
ドン引きした様子で、笑い転げるシャチに冷たい視線を送るペンギン。
「ほら、掴まれ」
腕を伸ばし、下敷きになっている私を、素早く引っ張り出してくれた。
「ありがとう…もう少しでシャチに殺意を抱いてたよ…」
"PENGIN" と書かれたキャップ帽を深く被り直した彼は、僅かに口角を上げ、口を開いた。
「シャチ…魚の餌になる前に、アイリスにきちんと謝っとけよ」
漸く、笑いが治まった様子のシャチ。
「えっ怖っ!!!」
恐怖に震え出した彼は、私の足を掴むと許しを乞い始めた。
「アイリス〜悪かった!お前が半分潰れてたのがツボに入ってよー…思い出したら…また…ブッ」
再び笑い始めたシャチに、私の怒りは遂に頂点に達した。
掴まれていた足を思いっきり振り上げる。
「いっ痛てェー!!!」
鼻血を流しながら悶絶するシャチ。
涙を浮かべる姿を視界に収め、漸くスッキリした私は、身を翻し部屋を後にした。
甲板へ差し掛かったところで遭遇したのは、船の船長 トラファルガー・ロー 。
「なんだ…アイリス…もう終わりか」
含んだ笑みを浮かべる彼の姿に、私は再び不機嫌になる。
「煩い…!見てたなら何とか言ってよね!」
苛立った私は、頬を膨らまし声を荒げた。
「クククッ…」
愉快そうに笑う船長に背を向け、鼻息荒く食堂に向かう。
やけ食いしてやる。
怒りを消化して、遅目の朝食を口にしていると、呑気な可愛い白熊が片目を擦りながら現れた。
「おはよ〜アイリス、シャチが部屋の前で倒れてるけど…何かあったの?」
笑いを堪えるローとペンギンを横目に、ベポを強引に私の隣の席に座らせて、朝食を出す。
「いいの!シャチはほっといて! ごはん食べよう!」
彼は不思議そうに首を傾げながら、船長に視線を移す。
「ベポ、大丈夫だ…気にせず食え」
ローの言葉に、"うんうん" と頷くペンギン。
それを見て安心した様子の白熊は、笑顔で朝食を頬張り始めた。
「そうなの? じゃあ…いただきまーす!…うわぁアイリス料理上手いね〜」
両手に持ったおにぎりを美味しそうに食べるベポ。
「沢山食べてねー」
私達が朝食を終えた頃。
「は………腹………減った…」
恐る恐る食堂に現れたシャチ。
「仕方ないな〜…はい…」
少年の姿が余りにも可哀想だったので、取り分けていた朝食を出してあげた。
「ウゥッ…アイリス〜ありがとう〜グズッ…」
泣きながらおにぎりを頬張る彼の様子に、少しだけ同情する。
「もういいよ…許す」
溜息まじりに告げると、嬉しさのあまり再び泣き始めたシャチ。
そんな様子を、呆れた表情で見つめるペンギン。
ベポは相変わらず首を傾げ、頭上に "はてな" マークを浮かべている。
「ククッ…シャチが食い終わったら甲板に集合だ…今日から鍛錬を始める」
突然、修行の開始を告げた船長は愉快そうに笑いながら、甲板へ向け歩き出した。
"朝ご飯のあとは鍛錬" という暗黙のルールが誕生したのは、航海ニ日目のお昼も過ぎた午後のことだった。