桜花乱舞の刻
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大きな屋敷の縁側に腰掛け、紅に染まった庭園に視線を遣る。
「綺麗…」
溜息が溢れる程に美しく、手入れされた庭を眺めていると、小さな手が二つ、目の前に伸びてきた。
「おかあしゃま、これあげる」
金色の長い髪を、一つに可愛く結い上げ、桃色の浴衣を纏った幼女。
「ぼくも!ママ…ぼくのもあげる!」
青い浴衣を着て、大きな赤い瞳を潤ませる、幼子。
二つの小さな掌には、可愛らしい星型のお菓子が乗っている。
「また沖田さんに頂いたのね…ちゃんとお礼は言えましたか?」
金平糖を受け取りながら、私は優しく微笑んだ。
「ちゃんとありがとうっていったよ!」
「ぼくもいえたよ!そうじに、ありがとういえた!」
柔らかい髪を撫でていると、困ったように現れた沖田さん。
「やれやれ、呼び捨てだよ…君達は、僕をなんだと思ってるんだろうね…」
彼の言葉に、思わず噴き出してしまった。
「昔から、沖田さんは子供の扱いが上手いですもんね」
口元に手を添え、必死で笑いを堪える私。
「ゆきちゃんまで…どうせなら、僕のことお父さんて呼んでくれないかなぁ」
二人の前にしゃがみ込み、お菓子を手渡しながら、沖田さんは、自分をお父さんと呼ばせようと必死だ。
「貴様…ここで何をしている…」
殺気溢れる表情で、静かに彼を見つめる男。
「何って…お菓子を食べてるだけだけど」
肩を竦めた沖田さんは、飄々としていて、全く動じていない。
有ろう事か、男は腰に挿す剣の鞘に手を掛ける。
「千景さん…怯えてます…」
呆れた私が注意すると、小さく震えている存在に気付いた千景さんは、鞘から手を離した。
「じゃぁね、ゆきちゃん…君の旦那に殺されちゃう前に帰るよ…お邪魔しました~」
反省の色も見せず、ヒラヒラと手を振り去っていく姿に、溜息が溢れる。
「全く…二人とも…大丈夫?」
小さな二つの宝物は、私の腕から勢い良く飛び出し、大好きな父親へ、しがみついた。
「おとうしゃまおかえりなさい!」
「パパー!おしごとおわったのー?」
千景さんは、小さな衝撃を受け止め、二人を優しく抱き締めた。
「千馬…千耶…ただいま…仕事は片付いた…明日は一日、遊んでやれるぞ…」
思わぬ朗報。
喜びを顕にし、はしゃぐ双子の姿が可愛くて見つめていると、視線を感じ、顔を上げた。
「ゆき…聞いていたか…? 今夜は一晩中、遊んでやれるぞ…」
悪戯な表情を浮かべ、子どもたちの前でとんでもない事を言ってのける男。
「えー?わたしもいっしょにあそぶー!」
「ぼくも!ぼくもひとばんじゅうあそぶ!」
私は一瞬で熱を帯び、居た堪れなくなったので、勢い良くその場を後にした。
「おかあしゃま!」
「ママー!」
驚いた子どもたちが追いかけて来たけれど、立ち止まることなく歩を進める。
「千景さんなんか…もう知らない…!」
背後から楽しそうに、笑みを零す彼の気配を感じ、一人恥ずかしさを堪える羽目になった私。
「降参だ…」
子どもたちの目を片腕で覆い隠し、私を引き寄せる千景さん。
優しく唇を重ね、甘い囁きを零す。
「ゆき…愛してる」
この人には、一生勝てない。
なんて思ったことは、私だけの秘密。
「綺麗…」
溜息が溢れる程に美しく、手入れされた庭を眺めていると、小さな手が二つ、目の前に伸びてきた。
「おかあしゃま、これあげる」
金色の長い髪を、一つに可愛く結い上げ、桃色の浴衣を纏った幼女。
「ぼくも!ママ…ぼくのもあげる!」
青い浴衣を着て、大きな赤い瞳を潤ませる、幼子。
二つの小さな掌には、可愛らしい星型のお菓子が乗っている。
「また沖田さんに頂いたのね…ちゃんとお礼は言えましたか?」
金平糖を受け取りながら、私は優しく微笑んだ。
「ちゃんとありがとうっていったよ!」
「ぼくもいえたよ!そうじに、ありがとういえた!」
柔らかい髪を撫でていると、困ったように現れた沖田さん。
「やれやれ、呼び捨てだよ…君達は、僕をなんだと思ってるんだろうね…」
彼の言葉に、思わず噴き出してしまった。
「昔から、沖田さんは子供の扱いが上手いですもんね」
口元に手を添え、必死で笑いを堪える私。
「ゆきちゃんまで…どうせなら、僕のことお父さんて呼んでくれないかなぁ」
二人の前にしゃがみ込み、お菓子を手渡しながら、沖田さんは、自分をお父さんと呼ばせようと必死だ。
「貴様…ここで何をしている…」
殺気溢れる表情で、静かに彼を見つめる男。
「何って…お菓子を食べてるだけだけど」
肩を竦めた沖田さんは、飄々としていて、全く動じていない。
有ろう事か、男は腰に挿す剣の鞘に手を掛ける。
「千景さん…怯えてます…」
呆れた私が注意すると、小さく震えている存在に気付いた千景さんは、鞘から手を離した。
「じゃぁね、ゆきちゃん…君の旦那に殺されちゃう前に帰るよ…お邪魔しました~」
反省の色も見せず、ヒラヒラと手を振り去っていく姿に、溜息が溢れる。
「全く…二人とも…大丈夫?」
小さな二つの宝物は、私の腕から勢い良く飛び出し、大好きな父親へ、しがみついた。
「おとうしゃまおかえりなさい!」
「パパー!おしごとおわったのー?」
千景さんは、小さな衝撃を受け止め、二人を優しく抱き締めた。
「千馬…千耶…ただいま…仕事は片付いた…明日は一日、遊んでやれるぞ…」
思わぬ朗報。
喜びを顕にし、はしゃぐ双子の姿が可愛くて見つめていると、視線を感じ、顔を上げた。
「ゆき…聞いていたか…? 今夜は一晩中、遊んでやれるぞ…」
悪戯な表情を浮かべ、子どもたちの前でとんでもない事を言ってのける男。
「えー?わたしもいっしょにあそぶー!」
「ぼくも!ぼくもひとばんじゅうあそぶ!」
私は一瞬で熱を帯び、居た堪れなくなったので、勢い良くその場を後にした。
「おかあしゃま!」
「ママー!」
驚いた子どもたちが追いかけて来たけれど、立ち止まることなく歩を進める。
「千景さんなんか…もう知らない…!」
背後から楽しそうに、笑みを零す彼の気配を感じ、一人恥ずかしさを堪える羽目になった私。
「降参だ…」
子どもたちの目を片腕で覆い隠し、私を引き寄せる千景さん。
優しく唇を重ね、甘い囁きを零す。
「ゆき…愛してる」
この人には、一生勝てない。
なんて思ったことは、私だけの秘密。