出逢いの刻
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この頃の新撰組は、町人から "不貞浪士と変わらない" とあまりよく思われていなかった。
だが、当の本人達はあまり気にしておらず、市中見廻りと称し、日々、揃いの羽織を纏い堂々と京の治安維持に努めている。
新撰組に来てから間もなく、雪村 綱道 が幕府の命により "変若水 " という薬を作り "羅刹 " という鬼に似た人間を生み出していた事を知った。
そして、姿を消した 綱道が残していった薬を改良し、実践に使う為の研究を、山南さんが秘密裏に行っている事も。
"失敗作"と呼ばれる羅刹は我を忘れ、吸血衝動により血を求め京の町に逃げ出すこともあり、時折私も "始末" に駆り出される。
「ゆきちゃん、そんな所でぼんやりしてると斬っちゃうよ」
庭で落ちた葉を集めていると、沖田さんに話し掛けられた。
「あ‥‥沖田さん‥‥!今から見廻りですか?」
彼に視線を合わせ、問い掛ける。
「君に…手合わせをお願いしようと思って」
偶に、彼らと剣の稽古をしていた私は、浅く頷く。
「 私でよければ構いませんよ」
庭掃除をしていた箒を仕舞いながら、微笑みかける。
「よかった!じゃあ付いて来て」
笑顔を向けた彼に腕を引かれ、場所を移動した。
屯所内の広い庭に着いた私達は、互いに向き合い、木刀を構えた。
真剣な表情の二人の間を、風が悪戯に吹き抜ける。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
沖田さんの動き、視線、気配の全てに集中する。
辺りの空気が、静けさに満ちていく。
雲が太陽を覆い隠し、日差しが陰った瞬間。
その一瞬の隙を付いて、沖田さん目掛けて斬りかかった。
手を振りかざした沖田さんの懐に、素早く入り、胴を切った。
「私の勝ちです」
見事に隙をついた私の勝利。
「‥‥また負けた、君…強すぎるよ」
悔しそうな顔で此方を見る沖田さんとの手合わせは、今回と合わせて三戦三勝。
「僕が勝つまで勝負は続くからね!」
子供みたいな事を言って、少し意地悪な顔で笑う沖田さん。
普段は、飄々としていて、冗談ばかり言っている。
けれど、近藤さんへの尊敬の念と、忠誠心は新撰組の中でも他に類をみない程厚く、類稀なる才能を持った剣士。
そんな彼を、私も尊敬している。
「総司!ちょっと来てくれ」
遠くの方で、土方さんが手招きをする。
「あーあ残念」
副長に視線を移し、愚痴をこぼす沖田さん。
「呼ばれちゃいましたね…また今度、手合わせしましょう」
そんな彼の様子に、笑みを浮かべながら、使っていた木刀を受け取った。
「うん、じゃまたね…ゆきちゃん」
沖田さんは、後ろを向いたままヒラヒラと手を振り、呼ばれた方へと去っていった。
だが、当の本人達はあまり気にしておらず、市中見廻りと称し、日々、揃いの羽織を纏い堂々と京の治安維持に努めている。
新撰組に来てから間もなく、雪村 綱道 が幕府の命により "
そして、姿を消した 綱道が残していった薬を改良し、実践に使う為の研究を、山南さんが秘密裏に行っている事も。
"失敗作"と呼ばれる羅刹は我を忘れ、吸血衝動により血を求め京の町に逃げ出すこともあり、時折私も "始末" に駆り出される。
「ゆきちゃん、そんな所でぼんやりしてると斬っちゃうよ」
庭で落ちた葉を集めていると、沖田さんに話し掛けられた。
「あ‥‥沖田さん‥‥!今から見廻りですか?」
彼に視線を合わせ、問い掛ける。
「君に…手合わせをお願いしようと思って」
偶に、彼らと剣の稽古をしていた私は、浅く頷く。
「 私でよければ構いませんよ」
庭掃除をしていた箒を仕舞いながら、微笑みかける。
「よかった!じゃあ付いて来て」
笑顔を向けた彼に腕を引かれ、場所を移動した。
屯所内の広い庭に着いた私達は、互いに向き合い、木刀を構えた。
真剣な表情の二人の間を、風が悪戯に吹き抜ける。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
沖田さんの動き、視線、気配の全てに集中する。
辺りの空気が、静けさに満ちていく。
雲が太陽を覆い隠し、日差しが陰った瞬間。
その一瞬の隙を付いて、沖田さん目掛けて斬りかかった。
手を振りかざした沖田さんの懐に、素早く入り、胴を切った。
「私の勝ちです」
見事に隙をついた私の勝利。
「‥‥また負けた、君…強すぎるよ」
悔しそうな顔で此方を見る沖田さんとの手合わせは、今回と合わせて三戦三勝。
「僕が勝つまで勝負は続くからね!」
子供みたいな事を言って、少し意地悪な顔で笑う沖田さん。
普段は、飄々としていて、冗談ばかり言っている。
けれど、近藤さんへの尊敬の念と、忠誠心は新撰組の中でも他に類をみない程厚く、類稀なる才能を持った剣士。
そんな彼を、私も尊敬している。
「総司!ちょっと来てくれ」
遠くの方で、土方さんが手招きをする。
「あーあ残念」
副長に視線を移し、愚痴をこぼす沖田さん。
「呼ばれちゃいましたね…また今度、手合わせしましょう」
そんな彼の様子に、笑みを浮かべながら、使っていた木刀を受け取った。
「うん、じゃまたね…ゆきちゃん」
沖田さんは、後ろを向いたままヒラヒラと手を振り、呼ばれた方へと去っていった。