終焉の刻
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最北の大地に、降り積もった雪を解かすような暖かい朝日が昇る。
春の芽吹きと共に、攻撃を仕掛けてきた新政府軍。
私達は、旧幕府軍 陸軍奉公 大鳥 圭介 率いる部隊と、土方さん率いる新撰組の、ふた手に別れ、迎え撃つ事となった。
土方さんの部隊は少数精鋭だったが、この日の陸戦は連戦連勝を期していた。
「副長!!」
血相を変え、飛び込んで来た山崎さん。
「なんだ…」
緊迫した彼の様子に、不安が募る。
「大鳥さん側の布陣が破られました…!一命は取り留め、こちらに向かって来てはいますが…もう退路が…」
私は言葉を失った。
「これまで…ですか…」
呟く山南さんの表情に、暗い影が落とされる。
「そんな…」
皆は俯き、口を閉した。
新政府軍が攻めて来るなら、明日。
敗戦した大鳥さん達の部隊と、合流した私達は、最期の戦いに向け、鋭気を養う事となった。
「山南さん…平助、千鶴…ゆき、最後まで同じ夢を追いかけてくれた事に、心から感謝してる…巻き込んじまってすまねぇ…」
土方さんの口から出た言葉が、私を苛立たせる。
「巻き込まれたのではなく、私達は…自ら望んで此処に来たんです」
どうしていつも、一人で背負おうとするのか。
貴方の側には、何時だって私達が居るのに。
「そうだよ…土方さん、俺だって別に…つき合って戦ってるんじゃねぇ!新撰組の夢は、俺の夢でもあるんだ!」
平助君の言葉に、頷く山南さん。
「そうです…平助君の言うとおりですよ、土方さん」
皆、同じ。
「ああ…その通りだ…俺達はいつだって、同じ夢をみてる…」
穏やかに微笑んだ土方さん。
同じように、笑顔を見せる隊士達。
彼らの笑顔を、終わらせたりしない。
(必ず…全員、近藤さんの御前に連れて帰ります…)
心の中で何度も呟いた。
「ゆき、来い…」
突然、腕を掴まれ、森の奥へと連れて来られた私は、足を止める。
「風間さん…?」
此方に背を向けたまま、黙り込んでしまった男。
不安を覚えた私は、後ろから彼を覗き込んだ。
「ゆき…明日の戦いを止めるつもりはない…だが…俺の傍から離れるな…」
私の身を案じる優しい言葉。
気が付くと、背後から彼の腰に腕を回していた。
「…はい」
広い背中に額を寄せ、瞼を閉じる。
「それでいい…死ぬ時は…俺の傍で死ぬがいい…そうすれば俺も…すぐに後を追ってやれるからな」
誇り高く、常に自信に満ち溢れた彼が見せた、初めての顔。
「絶対…貴方を追いて、先に死んだりしません…愛しています…この先もずっと…」
普段は包まれてばかりの、大きな身体を抱き寄せて、彼の柔らかな頬に口付けた。
空が白んでくる。
私達は、時間の許す限り、互いに強く抱き締め合った。
何度も、何度も、愛を囁きながら。
春の芽吹きと共に、攻撃を仕掛けてきた新政府軍。
私達は、旧幕府軍 陸軍奉公 大鳥 圭介 率いる部隊と、土方さん率いる新撰組の、ふた手に別れ、迎え撃つ事となった。
土方さんの部隊は少数精鋭だったが、この日の陸戦は連戦連勝を期していた。
「副長!!」
血相を変え、飛び込んで来た山崎さん。
「なんだ…」
緊迫した彼の様子に、不安が募る。
「大鳥さん側の布陣が破られました…!一命は取り留め、こちらに向かって来てはいますが…もう退路が…」
私は言葉を失った。
「これまで…ですか…」
呟く山南さんの表情に、暗い影が落とされる。
「そんな…」
皆は俯き、口を閉した。
新政府軍が攻めて来るなら、明日。
敗戦した大鳥さん達の部隊と、合流した私達は、最期の戦いに向け、鋭気を養う事となった。
「山南さん…平助、千鶴…ゆき、最後まで同じ夢を追いかけてくれた事に、心から感謝してる…巻き込んじまってすまねぇ…」
土方さんの口から出た言葉が、私を苛立たせる。
「巻き込まれたのではなく、私達は…自ら望んで此処に来たんです」
どうしていつも、一人で背負おうとするのか。
貴方の側には、何時だって私達が居るのに。
「そうだよ…土方さん、俺だって別に…つき合って戦ってるんじゃねぇ!新撰組の夢は、俺の夢でもあるんだ!」
平助君の言葉に、頷く山南さん。
「そうです…平助君の言うとおりですよ、土方さん」
皆、同じ。
「ああ…その通りだ…俺達はいつだって、同じ夢をみてる…」
穏やかに微笑んだ土方さん。
同じように、笑顔を見せる隊士達。
彼らの笑顔を、終わらせたりしない。
(必ず…全員、近藤さんの御前に連れて帰ります…)
心の中で何度も呟いた。
「ゆき、来い…」
突然、腕を掴まれ、森の奥へと連れて来られた私は、足を止める。
「風間さん…?」
此方に背を向けたまま、黙り込んでしまった男。
不安を覚えた私は、後ろから彼を覗き込んだ。
「ゆき…明日の戦いを止めるつもりはない…だが…俺の傍から離れるな…」
私の身を案じる優しい言葉。
気が付くと、背後から彼の腰に腕を回していた。
「…はい」
広い背中に額を寄せ、瞼を閉じる。
「それでいい…死ぬ時は…俺の傍で死ぬがいい…そうすれば俺も…すぐに後を追ってやれるからな」
誇り高く、常に自信に満ち溢れた彼が見せた、初めての顔。
「絶対…貴方を追いて、先に死んだりしません…愛しています…この先もずっと…」
普段は包まれてばかりの、大きな身体を抱き寄せて、彼の柔らかな頬に口付けた。
空が白んでくる。
私達は、時間の許す限り、互いに強く抱き締め合った。
何度も、何度も、愛を囁きながら。