終焉の刻
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土方さん達と合流して間もなく、会津ヘ到着。
新政府軍と旧幕府軍の戦いが再び開戦する事となり、戦場へと向かう新撰組。
統率のとれた3000人もの兵士を集め、攻め込んで来た新政府軍に対し、旧幕府軍側は、寄せ集めの兵士800人。
兵力差は、歴然だった。
会津の藩士達は、自らの誇りを護る為、 "自分達が盾になる" と、新撰組に仙台への退却を願い出る。
敗戦を余儀なくされ、会津を捨てろと命じられたも同然の私達は、悔しさを噛み殺し、彼らの意向を受け入れるか、悩んでいた。
「俺が残ります…武士として、会津藩を見捨てる訳にはいきません」
斎藤さんの目に、迷いは無かった。
「誠の旗は、武士の拠り所…新撰組はそれを導く道標です…土方さん、貴方はその道標を担う義務があると思います…ここに残り、誠の旗を掲げ、戦う事を許してください」
強い意思を宿した瞳。
「許すも許さねぇも、誠の旗はお前の旗でもあるんだぜ…離れていても、俺たちの魂は誠の旗の下にひとつだ…それを忘れるな…絶対に死に急ぐんじゃねぇぞ」
武士が、決めた事。
「はい」
嬉しそうに微笑む彼を、誰が止められるだろう。
迷いを捨て、全てを背負い、仙台ヘ行く為の準備を始めた土方さん。
仙台は、山南さんの故郷。
滞在先を口利きしてくれると申し出た山南さんと、平助君が羅刹隊を率いて、先に仙台入りする事となった。
「ゆき…お前に一つ、伝えなければならない事がある」
傍へ歩み寄り、心を写したような瞳で、私を真っ直ぐ見つめる斎藤さん。
「斎藤さん…大切な話なら、今は聞きたくありません」
彼の口から、遺言のような言葉を聞きたくなかった私は、視線を逸し、逃げるようにその場から立ち去った。
仙台行きの準備も整い、会津で過ごす最後の夜、私は密やかに、土方さんの元へと向かった。
「なんだ…ゆき、何か用か」
私の考え全てを見透かすように、彼はこちらを鋭い視線で睨みつける。
「彼を…死なせたくありません…土方さん、お願いします」
それだけを伝え、深く頭を下げた。
「俺に…お前を止める権利なんてあるわけねぇだろ…俺達は全員、同じ気持ちだ…だけど…今回ばかりはお前も、無事とは限らねぇ…それでも残るのか」
生きて戻れるか、分からない程の不利な戦い。
「はい」
無事でいられるなんて、思ってない。
一瞬、私の頭を過る風間さんの顔。
けれど、覚悟は決めた。
土方さんの元を離れ、月が浮かぶ空を見上げる。
「御免なさい…風間さん…」
闇に溶ける小さな呟き。
それを、聞いていた人が居たなんて、気付きもせずに、私は自身の寝所へと歩みを進めた。
新政府軍と旧幕府軍の戦いが再び開戦する事となり、戦場へと向かう新撰組。
統率のとれた3000人もの兵士を集め、攻め込んで来た新政府軍に対し、旧幕府軍側は、寄せ集めの兵士800人。
兵力差は、歴然だった。
会津の藩士達は、自らの誇りを護る為、 "自分達が盾になる" と、新撰組に仙台への退却を願い出る。
敗戦を余儀なくされ、会津を捨てろと命じられたも同然の私達は、悔しさを噛み殺し、彼らの意向を受け入れるか、悩んでいた。
「俺が残ります…武士として、会津藩を見捨てる訳にはいきません」
斎藤さんの目に、迷いは無かった。
「誠の旗は、武士の拠り所…新撰組はそれを導く道標です…土方さん、貴方はその道標を担う義務があると思います…ここに残り、誠の旗を掲げ、戦う事を許してください」
強い意思を宿した瞳。
「許すも許さねぇも、誠の旗はお前の旗でもあるんだぜ…離れていても、俺たちの魂は誠の旗の下にひとつだ…それを忘れるな…絶対に死に急ぐんじゃねぇぞ」
武士が、決めた事。
「はい」
嬉しそうに微笑む彼を、誰が止められるだろう。
迷いを捨て、全てを背負い、仙台ヘ行く為の準備を始めた土方さん。
仙台は、山南さんの故郷。
滞在先を口利きしてくれると申し出た山南さんと、平助君が羅刹隊を率いて、先に仙台入りする事となった。
「ゆき…お前に一つ、伝えなければならない事がある」
傍へ歩み寄り、心を写したような瞳で、私を真っ直ぐ見つめる斎藤さん。
「斎藤さん…大切な話なら、今は聞きたくありません」
彼の口から、遺言のような言葉を聞きたくなかった私は、視線を逸し、逃げるようにその場から立ち去った。
仙台行きの準備も整い、会津で過ごす最後の夜、私は密やかに、土方さんの元へと向かった。
「なんだ…ゆき、何か用か」
私の考え全てを見透かすように、彼はこちらを鋭い視線で睨みつける。
「彼を…死なせたくありません…土方さん、お願いします」
それだけを伝え、深く頭を下げた。
「俺に…お前を止める権利なんてあるわけねぇだろ…俺達は全員、同じ気持ちだ…だけど…今回ばかりはお前も、無事とは限らねぇ…それでも残るのか」
生きて戻れるか、分からない程の不利な戦い。
「はい」
無事でいられるなんて、思ってない。
一瞬、私の頭を過る風間さんの顔。
けれど、覚悟は決めた。
土方さんの元を離れ、月が浮かぶ空を見上げる。
「御免なさい…風間さん…」
闇に溶ける小さな呟き。
それを、聞いていた人が居たなんて、気付きもせずに、私は自身の寝所へと歩みを進めた。