戦乱の刻
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微睡みの中、夢を見た。
懐かしくて、幸せで、残酷な夢。
見慣れた山道を、父と母に両手を繋がれ嬉しそうに歩く、幼い私。
気がつけば暗闇に一人きりで立っていた。
暗くて、寒くて、恐ろしい場所。
父と母を探しても、二人の姿は見当たらず、遠くに見えるのは紅く燃える炎。
それはあの日の惨劇。
必死で逃げた。
走って、走って。
真っ暗な闇の中、突然現れた人影。
幼い私は助けを求め、目の前の人に縋りついた。
「ゆき」
穏やかに、私の名を囁く声で、夢から醒めた私の頬は、濡れていた。
「風間さん‥‥」
目を細め、優しく私の頭を撫でてくれる風間さん。
「案ずるな‥‥傍に置く以上‥‥夢の中でさえ傷つかせはしないと約束する」
真剣な眼差しで、交してくれた甘い約束。
彼の匂いと、腕に抱かれた私は、胸を撫で下ろした。
本来の目的の為、起き上がった私達は、支度を整える。
「ゆき…ついて来い」
外へ向かった風間さんの後を追い、裏手の丘へと、急ぎ足を運んだ。
「まさか…」
井上さんが、大切にしていた武士の誇り。
京の町が一望できる丘の上に、堂々たる姿で立てられていた。
「鬼であろうが…人であろうが…武士にとって…刀とは、命と同じ…」
井上さんの優しい笑みが、空に浮かぶ。
「この男の生き様に…相応しい場所だ」
羅刹として生きるより、人として、散る事を決断した井上さん。
「有難うございます…風間さん…」
昨日までは、敵であった筈の男。
しかし、武士の誇りを護ってくれた彼に、新撰組隊士として、心からの感謝を伝えた。
「井上さん…行ってきます…いつか…皆を連れて戻って来ますね…」
別れを告げ、一歩踏み出した。
新撰組の元へ、戻る為に。
懐かしくて、幸せで、残酷な夢。
見慣れた山道を、父と母に両手を繋がれ嬉しそうに歩く、幼い私。
気がつけば暗闇に一人きりで立っていた。
暗くて、寒くて、恐ろしい場所。
父と母を探しても、二人の姿は見当たらず、遠くに見えるのは紅く燃える炎。
それはあの日の惨劇。
必死で逃げた。
走って、走って。
真っ暗な闇の中、突然現れた人影。
幼い私は助けを求め、目の前の人に縋りついた。
「ゆき」
穏やかに、私の名を囁く声で、夢から醒めた私の頬は、濡れていた。
「風間さん‥‥」
目を細め、優しく私の頭を撫でてくれる風間さん。
「案ずるな‥‥傍に置く以上‥‥夢の中でさえ傷つかせはしないと約束する」
真剣な眼差しで、交してくれた甘い約束。
彼の匂いと、腕に抱かれた私は、胸を撫で下ろした。
本来の目的の為、起き上がった私達は、支度を整える。
「ゆき…ついて来い」
外へ向かった風間さんの後を追い、裏手の丘へと、急ぎ足を運んだ。
「まさか…」
井上さんが、大切にしていた武士の誇り。
京の町が一望できる丘の上に、堂々たる姿で立てられていた。
「鬼であろうが…人であろうが…武士にとって…刀とは、命と同じ…」
井上さんの優しい笑みが、空に浮かぶ。
「この男の生き様に…相応しい場所だ」
羅刹として生きるより、人として、散る事を決断した井上さん。
「有難うございます…風間さん…」
昨日までは、敵であった筈の男。
しかし、武士の誇りを護ってくれた彼に、新撰組隊士として、心からの感謝を伝えた。
「井上さん…行ってきます…いつか…皆を連れて戻って来ますね…」
別れを告げ、一歩踏み出した。
新撰組の元へ、戻る為に。