戦乱の刻
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暗闇に包まれた私達を、月灯が妖しく照らし出す。
計画通り、暗殺は新撰組の手により速やかに執行され、伊東さんは見事に陥落した。
伊東一派残党を追い込んだ私と原田さん、永倉さん。
「なんでお前らがここに‥‥」
突然現れた客人に、立場は一気に逆転する。
「仕事だよ、仕事…頭の悪いお前らが罠に嵌るのを見物しに来たってこと」
長州藩士達と共に、鬼達が行く手を阻む。
私は即座に、天霧の正面で剣を抜いた。
「天霧さん…引いてくれませんか」
彼は溜息を吐きながら、首を横に振る。
「貴方に傷をつけると面倒な事になるんですが‥‥こちらとしても引けない事情があるんです」
困惑した表情の男。
力を開放し、諦めたように、その双眼を此方に向けた。
刹那、二人の間に突如割り込む、見知った顔。
「ゆき!左之さん!新八っつぁんも…何してんだよ!」
元気そうな姿に、安堵する私達。
「平助君!」
彼はまだ、迷っている様子で、私達と長州藩の間で立ち止まった。
「平助君、私達と共に闘ってください」
彼を見つめ、語りかける。
「ゆき‥‥俺は‥‥」
俯き、その場に立ち尽くす平助君。
「平助、何突っ立ってやがる」
彼の背中を押すように、言葉を掛ける永倉さんと原田さん。
「構えろ平助」
平助君は拳を握りしめ、覚悟を決めたように顔を上げた。
「新八っつぁんも、左之さんも、前からそうだったよなぁ…俺の都合なんか関係なく呼んでさ」
私は思わず、笑みが零れた。
「そりゃお互い様だろ」
平助君、原田さん、永倉さん。
三人は並んで、長州藩に向け剣を構えた。
瞬間、天霧は卑怯にも、油断していた平助君に向け、背後から拳を振り上げる。
「危ない…!」
私は力を開放し、それを受け止めた。
「天霧さん、貴方の相手は私の筈です…」
怒りを滲ませ、睨みつける。
「申し訳ありません…やはり、私は貴方と対峙する事はできません」
真っ直ぐ、此方を見つめる男。
「掠り傷一つでも付けたら後が恐いしな」
茶化すように割って入る、もう一人の鬼。
原田さんと一戦交えながら、余裕の表情を浮かべる不知火。
「残りはお前等だけだぜ…」
怒った永倉さんと平助君の手により、いつの間にか壊滅状態へと陥っていた長州藩士達。
それを見た鬼達は、諦めたように剣を鞘へと収めた。
「追ってきた新撰組を私と不知火で潰す算段でしたが、貴方が同行しているとは‥‥」
その言葉に、永倉さんと原田さんが、怒りを顕にする。
「お前らさっきから聞いてりゃ舐めた事言ってんじゃねぇよ!ゆきが居なくても俺達は潰されたりしねぇ!」
間合いを詰め、剣を構える永倉さん。
「大体、ゆきを傷付けられて怒るのは俺達だろ…何なんだよお前ら…」
原田さんは、二人を睨みながら問う。
「俺はもう行くぜ、またな」
含んだ笑みを浮かべ、不知火は問いに答えることなく、去って行った。
「私もこれで失礼します」
続いて天霧も、身を翻す。
「あ、おい!逃げるのか!答えろよ!」
問に答える気はないらしく、丁寧に頭を下げると、彼も闇の中へと消えて行った。
こうして、後に "油小路の変" と名を残す 伊東 甲子太郎 の暗殺は成功し、幕を閉じた。
計画通り、暗殺は新撰組の手により速やかに執行され、伊東さんは見事に陥落した。
伊東一派残党を追い込んだ私と原田さん、永倉さん。
「なんでお前らがここに‥‥」
突然現れた客人に、立場は一気に逆転する。
「仕事だよ、仕事…頭の悪いお前らが罠に嵌るのを見物しに来たってこと」
長州藩士達と共に、鬼達が行く手を阻む。
私は即座に、天霧の正面で剣を抜いた。
「天霧さん…引いてくれませんか」
彼は溜息を吐きながら、首を横に振る。
「貴方に傷をつけると面倒な事になるんですが‥‥こちらとしても引けない事情があるんです」
困惑した表情の男。
力を開放し、諦めたように、その双眼を此方に向けた。
刹那、二人の間に突如割り込む、見知った顔。
「ゆき!左之さん!新八っつぁんも…何してんだよ!」
元気そうな姿に、安堵する私達。
「平助君!」
彼はまだ、迷っている様子で、私達と長州藩の間で立ち止まった。
「平助君、私達と共に闘ってください」
彼を見つめ、語りかける。
「ゆき‥‥俺は‥‥」
俯き、その場に立ち尽くす平助君。
「平助、何突っ立ってやがる」
彼の背中を押すように、言葉を掛ける永倉さんと原田さん。
「構えろ平助」
平助君は拳を握りしめ、覚悟を決めたように顔を上げた。
「新八っつぁんも、左之さんも、前からそうだったよなぁ…俺の都合なんか関係なく呼んでさ」
私は思わず、笑みが零れた。
「そりゃお互い様だろ」
平助君、原田さん、永倉さん。
三人は並んで、長州藩に向け剣を構えた。
瞬間、天霧は卑怯にも、油断していた平助君に向け、背後から拳を振り上げる。
「危ない…!」
私は力を開放し、それを受け止めた。
「天霧さん、貴方の相手は私の筈です…」
怒りを滲ませ、睨みつける。
「申し訳ありません…やはり、私は貴方と対峙する事はできません」
真っ直ぐ、此方を見つめる男。
「掠り傷一つでも付けたら後が恐いしな」
茶化すように割って入る、もう一人の鬼。
原田さんと一戦交えながら、余裕の表情を浮かべる不知火。
「残りはお前等だけだぜ…」
怒った永倉さんと平助君の手により、いつの間にか壊滅状態へと陥っていた長州藩士達。
それを見た鬼達は、諦めたように剣を鞘へと収めた。
「追ってきた新撰組を私と不知火で潰す算段でしたが、貴方が同行しているとは‥‥」
その言葉に、永倉さんと原田さんが、怒りを顕にする。
「お前らさっきから聞いてりゃ舐めた事言ってんじゃねぇよ!ゆきが居なくても俺達は潰されたりしねぇ!」
間合いを詰め、剣を構える永倉さん。
「大体、ゆきを傷付けられて怒るのは俺達だろ…何なんだよお前ら…」
原田さんは、二人を睨みながら問う。
「俺はもう行くぜ、またな」
含んだ笑みを浮かべ、不知火は問いに答えることなく、去って行った。
「私もこれで失礼します」
続いて天霧も、身を翻す。
「あ、おい!逃げるのか!答えろよ!」
問に答える気はないらしく、丁寧に頭を下げると、彼も闇の中へと消えて行った。
こうして、後に "油小路の変" と名を残す 伊東 甲子太郎 の暗殺は成功し、幕を閉じた。