戦乱の刻
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その日は、朝から妙な胸騒ぎに襲われていた。
いつもより早く起き、まだ薄暗い屯所内を庭へ向け、静かに歩く。
冷たい水で顔を洗い、不安を掻き消すように頭を左右に振る。
水滴を拭こうと手拭いを取ったその時、懐しい匂いに包まれた。
ここに、居る筈の無い人。
「ゆき、すまなかった…」
背後から私を包み、耳元で囁く切ない声。
その腕は、僅かに震えていた。
「おかえりなさい…斎藤さん…」
私は、溢れ出しそうな涙を堪え、精一杯の笑顔で応えた。
別れの日。
最後に笑って "さようなら" が言えなかった事。
ずっと、後悔していたと、彼に伝えた。
「任務遂行の為とはいえ…嘘をついてすまなかった」
本当の事が言えず、一番辛かった筈の斎藤さん。
互いに詫び、蟠りが溶けた私達は、以前の様に微笑み合った。
突然戻って来た斎藤さんの姿に、新撰組屯所内は騒然となったが、嫌な顔をする者は一人もおらず、彼との再会を皆、心から喜んだ。
「皆…ちょっといいかな」
近藤さんに呼ばれた幹部達が、座敷に集められる。
その席で斎藤さんは、御陵衛士の動向を探る為の密偵だったと明かされた。
彼が戻ってきたのは、伊東さんが企てている計画を、知らせる為。
「近藤さんを…!そんな…」
斎藤さんの話を聞いた皆は、怒りに震えた。
新撰組、局長の暗殺計画。
「伊東さんを…殺るしかねぇ‥‥」
眉間に深い皺を寄せ、呟いた土方さん。
一度は仲間だった人を、暗殺する。
副長が口にした苦渋の決断に、意義を唱える者は誰も居なかった。
斎藤さんの情報を元に、伊東さんの行動範囲を踏まえ、隊をいくつかに分ける事にした私達。
新撰組が御陵衛士を潰すと決めた今、平助君に真意を問い、連れ戻すならこれが最後。
原田さん、永倉さんと共に、私は平助君を探しながら、御陵衛士の残党を追う役目を請け負った。
「暗殺は…今夜だ」
土方さんの号令を皮切りに、私達は皆、夜に向け準備を整えるべく、行動を開始した。
いつもより早く起き、まだ薄暗い屯所内を庭へ向け、静かに歩く。
冷たい水で顔を洗い、不安を掻き消すように頭を左右に振る。
水滴を拭こうと手拭いを取ったその時、懐しい匂いに包まれた。
ここに、居る筈の無い人。
「ゆき、すまなかった…」
背後から私を包み、耳元で囁く切ない声。
その腕は、僅かに震えていた。
「おかえりなさい…斎藤さん…」
私は、溢れ出しそうな涙を堪え、精一杯の笑顔で応えた。
別れの日。
最後に笑って "さようなら" が言えなかった事。
ずっと、後悔していたと、彼に伝えた。
「任務遂行の為とはいえ…嘘をついてすまなかった」
本当の事が言えず、一番辛かった筈の斎藤さん。
互いに詫び、蟠りが溶けた私達は、以前の様に微笑み合った。
突然戻って来た斎藤さんの姿に、新撰組屯所内は騒然となったが、嫌な顔をする者は一人もおらず、彼との再会を皆、心から喜んだ。
「皆…ちょっといいかな」
近藤さんに呼ばれた幹部達が、座敷に集められる。
その席で斎藤さんは、御陵衛士の動向を探る為の密偵だったと明かされた。
彼が戻ってきたのは、伊東さんが企てている計画を、知らせる為。
「近藤さんを…!そんな…」
斎藤さんの話を聞いた皆は、怒りに震えた。
新撰組、局長の暗殺計画。
「伊東さんを…殺るしかねぇ‥‥」
眉間に深い皺を寄せ、呟いた土方さん。
一度は仲間だった人を、暗殺する。
副長が口にした苦渋の決断に、意義を唱える者は誰も居なかった。
斎藤さんの情報を元に、伊東さんの行動範囲を踏まえ、隊をいくつかに分ける事にした私達。
新撰組が御陵衛士を潰すと決めた今、平助君に真意を問い、連れ戻すならこれが最後。
原田さん、永倉さんと共に、私は平助君を探しながら、御陵衛士の残党を追う役目を請け負った。
「暗殺は…今夜だ」
土方さんの号令を皮切りに、私達は皆、夜に向け準備を整えるべく、行動を開始した。