戦乱の刻
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束の間の平穏な時も、散り急ぐ紅葉の木々の様に、長くは続かない。
孝明天皇が崩御し、戦乱の幕が開こうとしていた頃。
伊東一派は内密に、且つ巧妙に、新撰組の隊士達を引き込み、離隊の準備を進めていた。
"伊東一派の誘いに揺らぐ幹部などいる筈ない" と高を括っていた私は、その現実を受け止める事が出来ないでいた。
二人が伊東さん達と共に、新撰組を離れるなんて。
どうしても信じたくなかった。
「何故、行ってしまうんですか‥‥」
責めるように問い掛ける私。
「すまない、ゆき…だが…変わらないものこそ、俺は信じている」
ただ一言。
空を見上げ、呟いた斎藤さんは、二度と此方を振り返らなかった。
二度と逢えないかもしれない。
それなのに、私は笑顔で見送る事が出来なかった。
平助君も、新撰組からの離隊を決めた。
「俺は…新撰組が嫌いになった訳じゃないんだ…俺は皆が言うほど、伊東さんが全部間違ってるなんて思えなくてさ…尊王攘夷とか佐幕とか、どっちが正しいとか、やってみなきゃ分からないと思う」
そう言って、普段より少し寂しそうに笑う平助君。
以降、私達がまともに会話する事は、なくなってしまった。
そして、訪れた別れの日。
皆が其々に声を掛け、見送っている。
私は、感情を整理出来ず、口を閉ざしていた。
去っていく二人の姿を、ただ見つめているだけの私。
「ゆき、風邪引くぞ…早く中に戻れ」
原田さんに声を掛けられるまで、私はその場に立ち尽くしていた。
「お元気で…」
漸く絞り出した言葉。
姿も見えなくなった二人に、届く筈がないのに。
小さく呟いて、私は裾を翻した。
伊東一派の離隊と共に、新撰組は西本願寺からの要望で、不動堂村へと屯所を移す事となった。
半年後、幕府はその権力を朝廷に明渡す。
大政奉還が成された後、新撰組は戦乱の渦へと歩を進める事となった。
孝明天皇が崩御し、戦乱の幕が開こうとしていた頃。
伊東一派は内密に、且つ巧妙に、新撰組の隊士達を引き込み、離隊の準備を進めていた。
"伊東一派の誘いに揺らぐ幹部などいる筈ない" と高を括っていた私は、その現実を受け止める事が出来ないでいた。
二人が伊東さん達と共に、新撰組を離れるなんて。
どうしても信じたくなかった。
「何故、行ってしまうんですか‥‥」
責めるように問い掛ける私。
「すまない、ゆき…だが…変わらないものこそ、俺は信じている」
ただ一言。
空を見上げ、呟いた斎藤さんは、二度と此方を振り返らなかった。
二度と逢えないかもしれない。
それなのに、私は笑顔で見送る事が出来なかった。
平助君も、新撰組からの離隊を決めた。
「俺は…新撰組が嫌いになった訳じゃないんだ…俺は皆が言うほど、伊東さんが全部間違ってるなんて思えなくてさ…尊王攘夷とか佐幕とか、どっちが正しいとか、やってみなきゃ分からないと思う」
そう言って、普段より少し寂しそうに笑う平助君。
以降、私達がまともに会話する事は、なくなってしまった。
そして、訪れた別れの日。
皆が其々に声を掛け、見送っている。
私は、感情を整理出来ず、口を閉ざしていた。
去っていく二人の姿を、ただ見つめているだけの私。
「ゆき、風邪引くぞ…早く中に戻れ」
原田さんに声を掛けられるまで、私はその場に立ち尽くしていた。
「お元気で…」
漸く絞り出した言葉。
姿も見えなくなった二人に、届く筈がないのに。
小さく呟いて、私は裾を翻した。
伊東一派の離隊と共に、新撰組は西本願寺からの要望で、不動堂村へと屯所を移す事となった。
半年後、幕府はその権力を朝廷に明渡す。
大政奉還が成された後、新撰組は戦乱の渦へと歩を進める事となった。