変革の刻
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桜の花が、その蕾を開き始めた頃。
隊士達が急速に増えた事により、新撰組は屯所を西本願寺に移す事となった。
そうなる前に、私は全てを話そうと決めていた。
先ずは、近藤さん、土方さん、山南さんに秘密を全て話した。
拒絶することなく、全て受け入れてくれた三人は、伊東さん以外の幹部を集め、皆に打ち明ける場を、設けてくれた。
「それで、ゆきちゃんはどうしたいの?」
苛立ったような口調で、私に問いかける沖田さん。
「私は…皆さんに…受けた恩を、返したいです」
彼は深く息を吐き、肩を竦めた。
「恩とかじゃなくて、君の気持ちを聞いてるんだけど…」
意を決し、顔を上げる。
「皆さんの側に…居たいです」
私の答えに、口角を上げた沖田さん。
「初めから、そう言えばいいのに」
少し意地悪だけど、今はそれが嬉しくて仕方ない。
「総司!」
彼の態度に、怒声を上げる副長。
「だって、ゆきちゃんが鬼だからって…僕達が何か変わるって思われてるって事でしょ…それって酷いと思わない?」
怒られた沖田さんは、拗ねたように呟いた。
「沖田君、貴方にだって言えないことの一つや二つあるでしょう」
静かに見守っていた山南さんが口を開く。
「山南さん…有難うございます…でも、沖田さんは正しい事を言っています」
私は姿勢を正し、皆に向き直った。
「私は、沖田さんの言う通り…皆さんの事を信じきれないでいました…自分でも…酷いと思います…」
皆、真剣な眼差しで話を聞いている。
「嫌われるのが…怖かったんです…」
大きく息を吸い、全員の顔を見渡した。
「私は…鬼…それでも受け入れてくださるなら…私をここに置いて下さい!」
部屋は静まり返り、皆の視線だけが私に集中する。
けれど、嫌な顔をしている者は誰一人おらず、皆満足気な表情で、微笑んでいた。
「で、皆どうなんだ…俺はゆきを追い出すなんて真似はしたくねぇが、一応お前達の意見も聞いておく」
最初に口を開いたのは、土方さん。
「あるわけねぇだろ!ゆきを追い出す莫迦なんてここにはいねぇよ…なぁ?左之」
永倉さんが、隣の男に問い掛ける。
「新八の言う通りだ…答えなんて一々、言わなくてもわかるだろ」
口の端を片方だけ吊り上げて笑う原田さん。
「そうだぞゆき! これからも俺達と一緒に居ろよな!」
平助君は頭の後ろを掻きながら、微笑んでくれた。
「ゆきちゃん案外心配性だよね…もし君を追い出す奴が居たら、斬ってあげようと思ったけど…残念だよ」
膝の上に涙が零れ落ちた事で、私は自分が泣いていることに気づいた。
「ゆき、俺も…お前がここに居る事に…賛成だ…」
普段、あまり話さない斎藤さんも、声を掛けてくれた。
「だそうですよ…ゆきさん、よかったですね」
頷く事で、彼に感謝の意を伝える。
「うんうん、一ノ瀬君よかったなぁ!」
満面の笑みを浮かべ、喜んでくれた近藤さん。
涙は止まらなかったけど、私は精一杯、声を振り絞り、皆の暖かい言葉に応えた。
「皆さん…本当に有難うございます…改めて、よろしくお願い致します」
礼を述べ、顔を上げると千鶴が此方に向け、手を振っていた。
彼女も、嬉しそうに微笑んでくれて、皆に聞こえないように「次は私の番だね」と、口を動かした。
山南さんのお陰で、ありのままを受け入れてもらえた私。
彼らの為に何か出来るなら、精一杯努めよう。
そう、心に誓った。
隊士達が急速に増えた事により、新撰組は屯所を西本願寺に移す事となった。
そうなる前に、私は全てを話そうと決めていた。
先ずは、近藤さん、土方さん、山南さんに秘密を全て話した。
拒絶することなく、全て受け入れてくれた三人は、伊東さん以外の幹部を集め、皆に打ち明ける場を、設けてくれた。
「それで、ゆきちゃんはどうしたいの?」
苛立ったような口調で、私に問いかける沖田さん。
「私は…皆さんに…受けた恩を、返したいです」
彼は深く息を吐き、肩を竦めた。
「恩とかじゃなくて、君の気持ちを聞いてるんだけど…」
意を決し、顔を上げる。
「皆さんの側に…居たいです」
私の答えに、口角を上げた沖田さん。
「初めから、そう言えばいいのに」
少し意地悪だけど、今はそれが嬉しくて仕方ない。
「総司!」
彼の態度に、怒声を上げる副長。
「だって、ゆきちゃんが鬼だからって…僕達が何か変わるって思われてるって事でしょ…それって酷いと思わない?」
怒られた沖田さんは、拗ねたように呟いた。
「沖田君、貴方にだって言えないことの一つや二つあるでしょう」
静かに見守っていた山南さんが口を開く。
「山南さん…有難うございます…でも、沖田さんは正しい事を言っています」
私は姿勢を正し、皆に向き直った。
「私は、沖田さんの言う通り…皆さんの事を信じきれないでいました…自分でも…酷いと思います…」
皆、真剣な眼差しで話を聞いている。
「嫌われるのが…怖かったんです…」
大きく息を吸い、全員の顔を見渡した。
「私は…鬼…それでも受け入れてくださるなら…私をここに置いて下さい!」
部屋は静まり返り、皆の視線だけが私に集中する。
けれど、嫌な顔をしている者は誰一人おらず、皆満足気な表情で、微笑んでいた。
「で、皆どうなんだ…俺はゆきを追い出すなんて真似はしたくねぇが、一応お前達の意見も聞いておく」
最初に口を開いたのは、土方さん。
「あるわけねぇだろ!ゆきを追い出す莫迦なんてここにはいねぇよ…なぁ?左之」
永倉さんが、隣の男に問い掛ける。
「新八の言う通りだ…答えなんて一々、言わなくてもわかるだろ」
口の端を片方だけ吊り上げて笑う原田さん。
「そうだぞゆき! これからも俺達と一緒に居ろよな!」
平助君は頭の後ろを掻きながら、微笑んでくれた。
「ゆきちゃん案外心配性だよね…もし君を追い出す奴が居たら、斬ってあげようと思ったけど…残念だよ」
膝の上に涙が零れ落ちた事で、私は自分が泣いていることに気づいた。
「ゆき、俺も…お前がここに居る事に…賛成だ…」
普段、あまり話さない斎藤さんも、声を掛けてくれた。
「だそうですよ…ゆきさん、よかったですね」
頷く事で、彼に感謝の意を伝える。
「うんうん、一ノ瀬君よかったなぁ!」
満面の笑みを浮かべ、喜んでくれた近藤さん。
涙は止まらなかったけど、私は精一杯、声を振り絞り、皆の暖かい言葉に応えた。
「皆さん…本当に有難うございます…改めて、よろしくお願い致します」
礼を述べ、顔を上げると千鶴が此方に向け、手を振っていた。
彼女も、嬉しそうに微笑んでくれて、皆に聞こえないように「次は私の番だね」と、口を動かした。
山南さんのお陰で、ありのままを受け入れてもらえた私。
彼らの為に何か出来るなら、精一杯努めよう。
そう、心に誓った。