変革の刻
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京都守護職からの、正式な要請を受けた新撰組。
“長州藩が攻め入った” と伝令があり、私達は急ぎ、御所へと向かった。
到着した頃には、既に長州勢は退けられていたが、公家御門には、まだ残兵がいると聞き、それを追う事になった私。
敵を探して彷徨っていると、一部の会津兵と薩摩兵が、揉めているのを発見し、止めに向かった。
「斎藤さん…!一体何が…」
先に、止めに入っていた斎藤さん。
彼を持ってしても、制止出来なかった両者は、遂に刀を抜いた。
「やめておきなさい」
土煙と共に、両者の間に割って入った男。
それは、池田屋で対峙した、天霧だった。
「申し訳ない」
斎藤さんに頭を下げ、上手くその場を収めた天霧。
胸を撫で下ろしたのも束の間。
彼が居ると言う事は、何処かにあの男が居るかも知れない。
身を翻し、彼の姿を探しに向かった。
「何処‥‥‥」
辺りを隈なく探したけれど、見つける事が出来ない。
「あれは…!」
代わりに、遠くで闘っている原田さんを視界に捉えた。
(相手がもし鬼だったら‥‥!)
不安を覚えた私が、後ろを振り返った瞬間。
空から聞こえた、低い声。
「貴様一人か…雪村は一緒ではないようだな」
ゆっくりと上を見上げ、男の姿を捉える。
「千鶴さんは貴方達とは行きません…私も同じです」
暗闇に揺れる、金色の髪。
「貴様達の意思など聞いておらん…来い」
風と共に、地上へ舞い降りた風間。
私は直ぐ様、鬼の力を開放し、男を退けた。
「その力‥‥‥貴様何者だ‥‥‥」
彼は、空を切った掌を見つめて、静かに問う。
「私は 一ノ瀬 ゆき …千鶴さんは…渡しません」
紅い双眼を此方に向け、口角を上げた。
「一ノ瀬…貴様…生きていたのか」
男の瞳が、怪しげに揺れる。
「風間さん…どうかお願いします…私達を放っておいてください」
彼は表情一つ変える事なく、口を動かした。
「‥‥‥‥出来ん」
私の中に募る、苛立ち。
「何故ですか…!お願いします!」
僅かに笑んだ風間は腕を伸ばし、私の顎に手を掛けた。
「雪村は放っておいてやろう‥‥だが貴様は連れて行く」
諦めたように、瞼を閉じる私。
「‥‥‥聞いて頂けないなら…貴方に刃を向けなければなりません」
二人の間に、冷たい夜風が吹き抜ける。
「構わん‥‥‥力尽くで連れて行く」
いい加減、覚悟を決めた。
刀を抜こうと、鞘に手を掛けた瞬間、突然現れた男に止められる。
「話は聞きました…一ノ瀬殿、池田屋では無礼を働き…申し訳ありませんでした」
男に対し、冷たい視線を送る風間。
「どういうつもりだ天霧、貴様」
辺りの空気が、殺気を帯びていくのが分かった。
「風間殿…今は闘う時ではないという事…失礼は承知の上です」
深く、頭を下げる天霧。
「…興がそがれた」
そう言い残し、男はその場から去って行った。
「失礼します…」
二人が消え去った後も、私は暫くその場に佇んでいた。
【禁門の変】と称された、この夜の戦いは、長州側の大敗で幕を閉じる事となった。
“長州藩が攻め入った” と伝令があり、私達は急ぎ、御所へと向かった。
到着した頃には、既に長州勢は退けられていたが、公家御門には、まだ残兵がいると聞き、それを追う事になった私。
敵を探して彷徨っていると、一部の会津兵と薩摩兵が、揉めているのを発見し、止めに向かった。
「斎藤さん…!一体何が…」
先に、止めに入っていた斎藤さん。
彼を持ってしても、制止出来なかった両者は、遂に刀を抜いた。
「やめておきなさい」
土煙と共に、両者の間に割って入った男。
それは、池田屋で対峙した、天霧だった。
「申し訳ない」
斎藤さんに頭を下げ、上手くその場を収めた天霧。
胸を撫で下ろしたのも束の間。
彼が居ると言う事は、何処かにあの男が居るかも知れない。
身を翻し、彼の姿を探しに向かった。
「何処‥‥‥」
辺りを隈なく探したけれど、見つける事が出来ない。
「あれは…!」
代わりに、遠くで闘っている原田さんを視界に捉えた。
(相手がもし鬼だったら‥‥!)
不安を覚えた私が、後ろを振り返った瞬間。
空から聞こえた、低い声。
「貴様一人か…雪村は一緒ではないようだな」
ゆっくりと上を見上げ、男の姿を捉える。
「千鶴さんは貴方達とは行きません…私も同じです」
暗闇に揺れる、金色の髪。
「貴様達の意思など聞いておらん…来い」
風と共に、地上へ舞い降りた風間。
私は直ぐ様、鬼の力を開放し、男を退けた。
「その力‥‥‥貴様何者だ‥‥‥」
彼は、空を切った掌を見つめて、静かに問う。
「私は 一ノ瀬 ゆき …千鶴さんは…渡しません」
紅い双眼を此方に向け、口角を上げた。
「一ノ瀬…貴様…生きていたのか」
男の瞳が、怪しげに揺れる。
「風間さん…どうかお願いします…私達を放っておいてください」
彼は表情一つ変える事なく、口を動かした。
「‥‥‥‥出来ん」
私の中に募る、苛立ち。
「何故ですか…!お願いします!」
僅かに笑んだ風間は腕を伸ばし、私の顎に手を掛けた。
「雪村は放っておいてやろう‥‥だが貴様は連れて行く」
諦めたように、瞼を閉じる私。
「‥‥‥聞いて頂けないなら…貴方に刃を向けなければなりません」
二人の間に、冷たい夜風が吹き抜ける。
「構わん‥‥‥力尽くで連れて行く」
いい加減、覚悟を決めた。
刀を抜こうと、鞘に手を掛けた瞬間、突然現れた男に止められる。
「話は聞きました…一ノ瀬殿、池田屋では無礼を働き…申し訳ありませんでした」
男に対し、冷たい視線を送る風間。
「どういうつもりだ天霧、貴様」
辺りの空気が、殺気を帯びていくのが分かった。
「風間殿…今は闘う時ではないという事…失礼は承知の上です」
深く、頭を下げる天霧。
「…興がそがれた」
そう言い残し、男はその場から去って行った。
「失礼します…」
二人が消え去った後も、私は暫くその場に佇んでいた。
【禁門の変】と称された、この夜の戦いは、長州側の大敗で幕を閉じる事となった。