運命の刻
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新撰組屯所内は朝から騒然としていた。
攘夷派の 志士 古高 俊太郎 を捕縛。
“池田屋” か“四国屋” のどちらかで、攘夷志士達が会合を行うという情報を得て、この絶好の機会に名を挙げる為、新撰組は隊をニ手に分け出陣する事となった。
“池田屋” へ向かうのは『近藤さん』『永倉さん』『沖田さん』『平助君』
“四国屋” へ向かうのは『土方さん』『斎藤さん』『井上さん』
山南さん、私、千鶴は、屯所内で待機する事となった。
「剣さえ握る事が出来れば‥‥‥私も‥‥‥」
悲しそうに呟く山南さん。
「今は、腕を完全に治す事だけ考えてください‥‥」
彼の肩に手を添え、語りかける。
その時だった。
「総長!!!」
静まり返った屯所内に、突然現れた山崎さんが声を荒らげる。
「伝令です!!本命は池田屋です!」
驚いた私達は思わず立ち上がった。
「わかりました…山崎君は近藤さんに、土方隊が到着するまで待機を…と伝えてください」
冷静に指示を飛ばす参謀。
「ですが総長!直ぐに土方副長に…本命は池田屋だと伝えないと!」
焦る山崎さん。
ずっと黙っていた千鶴が、二人の前に出る。
「私が‥‥‥‥私が行きます!」
目を見開き、驚いた表情で彼女を見つめる私達。
「千鶴さんが‥‥‥‥?」
首を縦に振る、千鶴。
「はい…!私も皆さんの役に立ちたいんです!私にだって…伝令くらい出来ます!」
千鶴の表情は真剣そのもので、皆の為に行動したいという、その強い想いが、伝わってきた。
「わかりました…では、あなたに伝令を任せます…山崎君は池田屋に向かってください!」
先程まで、焦っていた男も納得し、強く頷いた。
「わかりました…雪村君、伝令…お願いします!」
彼女の目を見つめる山崎さん。
「はい!命に代えても…必ず土方さんにお伝えします!」
話し終えると直ぐに、それぞれの方向へと消えていった二人。
山南さんは、直ぐに私に向き直り、視線を合わせた。
「ここは…私一人で十分です…ゆきさんも、池田屋に向かってください…今、新撰組には一人でも多くの…貴方の力が必要な筈です」
寂しそうな瞳。
「わかりました…行って参ります」
山南さんの想いが、痛い程伝わってくる。
私は、命じられるまま山崎さんの後を追い、急いで池田屋へと向かった。
「新撰組、御用改である!手向かい致すにおいては容赦なく斬り捨てる!」
提灯を投げ捨て、剣を構えた近藤さんの部隊が、腕の立つ精鋭達を率いて突入する。
「一人も逃がすな!!!」
私が到着した頃には、既に御用改は始まっていて、其処は怒声飛び交う戦場へと化していた。
「七…!」
「僕は…っ八だ…!」
沖田さんと平助君は、愉しそうに、斬り捨てた志士の数を競いながら、階段を上へと駆け登って行く。
私は、一階で斬り合う近藤さんと、永倉さんに駆け寄った。
二人に加勢し、向かって来る攘夷志士達を次々と斬り捨てる。
「近藤さん!!」
息を切らしながら千鶴が飛び込んで来た。
「雪村君!?」
敵を斬りつつも、驚きの声を上げる近藤さん。
「千鶴さん!?何故ここに」
私も思わず声を荒げていた。
「土方さんに伝令はきちんと伝えました!既に到着しています!私も皆さんの役に立ちたいんです!」
土方部隊が到着したと聞き、安堵した私。
「わかりました…千鶴さん…ここを任せていいですか? 負傷した隊士達の手当をお願いしたいです」
彼女の腕を引き、倒れた隊士の前に連れて行く。
「はい!手当なら任せてください!」
私は、二階へ上がる階段に目線を移した。
「少しの間…千鶴さんをお願いします!」
永倉さんに向けて、微笑む。
「おい!ゆき!」
彼に任せておけば、千鶴は大丈夫。
何やら叫んでいる永倉さんを他所に、私は振り返る事なく二階へと駆け登った。
「沖田さん…平助君…!」
二階へ向かった二人が、一向に姿を見せないのが不安で仕方なかった。
二階、最奥の部屋。
バンッーーーー!
勢い良く襖を開けた私。
薄い月明かりが射し込む、異様な雰囲気の部屋の中。
沖田さんの喉元に、剣先を突き立てる美しい男が、ゆっくりと視線を此方に向けた。
攘夷派の 志士 古高 俊太郎 を捕縛。
“池田屋” か“四国屋” のどちらかで、攘夷志士達が会合を行うという情報を得て、この絶好の機会に名を挙げる為、新撰組は隊をニ手に分け出陣する事となった。
“池田屋” へ向かうのは『近藤さん』『永倉さん』『沖田さん』『平助君』
“四国屋” へ向かうのは『土方さん』『斎藤さん』『井上さん』
山南さん、私、千鶴は、屯所内で待機する事となった。
「剣さえ握る事が出来れば‥‥‥私も‥‥‥」
悲しそうに呟く山南さん。
「今は、腕を完全に治す事だけ考えてください‥‥」
彼の肩に手を添え、語りかける。
その時だった。
「総長!!!」
静まり返った屯所内に、突然現れた山崎さんが声を荒らげる。
「伝令です!!本命は池田屋です!」
驚いた私達は思わず立ち上がった。
「わかりました…山崎君は近藤さんに、土方隊が到着するまで待機を…と伝えてください」
冷静に指示を飛ばす参謀。
「ですが総長!直ぐに土方副長に…本命は池田屋だと伝えないと!」
焦る山崎さん。
ずっと黙っていた千鶴が、二人の前に出る。
「私が‥‥‥‥私が行きます!」
目を見開き、驚いた表情で彼女を見つめる私達。
「千鶴さんが‥‥‥‥?」
首を縦に振る、千鶴。
「はい…!私も皆さんの役に立ちたいんです!私にだって…伝令くらい出来ます!」
千鶴の表情は真剣そのもので、皆の為に行動したいという、その強い想いが、伝わってきた。
「わかりました…では、あなたに伝令を任せます…山崎君は池田屋に向かってください!」
先程まで、焦っていた男も納得し、強く頷いた。
「わかりました…雪村君、伝令…お願いします!」
彼女の目を見つめる山崎さん。
「はい!命に代えても…必ず土方さんにお伝えします!」
話し終えると直ぐに、それぞれの方向へと消えていった二人。
山南さんは、直ぐに私に向き直り、視線を合わせた。
「ここは…私一人で十分です…ゆきさんも、池田屋に向かってください…今、新撰組には一人でも多くの…貴方の力が必要な筈です」
寂しそうな瞳。
「わかりました…行って参ります」
山南さんの想いが、痛い程伝わってくる。
私は、命じられるまま山崎さんの後を追い、急いで池田屋へと向かった。
「新撰組、御用改である!手向かい致すにおいては容赦なく斬り捨てる!」
提灯を投げ捨て、剣を構えた近藤さんの部隊が、腕の立つ精鋭達を率いて突入する。
「一人も逃がすな!!!」
私が到着した頃には、既に御用改は始まっていて、其処は怒声飛び交う戦場へと化していた。
「七…!」
「僕は…っ八だ…!」
沖田さんと平助君は、愉しそうに、斬り捨てた志士の数を競いながら、階段を上へと駆け登って行く。
私は、一階で斬り合う近藤さんと、永倉さんに駆け寄った。
二人に加勢し、向かって来る攘夷志士達を次々と斬り捨てる。
「近藤さん!!」
息を切らしながら千鶴が飛び込んで来た。
「雪村君!?」
敵を斬りつつも、驚きの声を上げる近藤さん。
「千鶴さん!?何故ここに」
私も思わず声を荒げていた。
「土方さんに伝令はきちんと伝えました!既に到着しています!私も皆さんの役に立ちたいんです!」
土方部隊が到着したと聞き、安堵した私。
「わかりました…千鶴さん…ここを任せていいですか? 負傷した隊士達の手当をお願いしたいです」
彼女の腕を引き、倒れた隊士の前に連れて行く。
「はい!手当なら任せてください!」
私は、二階へ上がる階段に目線を移した。
「少しの間…千鶴さんをお願いします!」
永倉さんに向けて、微笑む。
「おい!ゆき!」
彼に任せておけば、千鶴は大丈夫。
何やら叫んでいる永倉さんを他所に、私は振り返る事なく二階へと駆け登った。
「沖田さん…平助君…!」
二階へ向かった二人が、一向に姿を見せないのが不安で仕方なかった。
二階、最奥の部屋。
バンッーーーー!
勢い良く襖を開けた私。
薄い月明かりが射し込む、異様な雰囲気の部屋の中。
沖田さんの喉元に、剣先を突き立てる美しい男が、ゆっくりと視線を此方に向けた。