運命の刻
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次の日、私は市中見回りに出ていて、屯所に戻ったのは、既に土方さん達が帰って来た後だった。
「土方さん、山南さん!お帰りなさい…」
門の前では、二人を囲むように幹部達が集まっていて、何故か皆俯いていたので、何かあったのかと心配になり、二人の元へ駆け寄った。
「山南さん‥‥!」
既に治療が施され、包帯で巻かれた彼の左腕。
それが重傷である事は明らかで、なんと声をかけたらいいのか分からなかった私は、皆と同じ様に俯いてしまった。
「皆さん止めてください…私なら大丈夫です」
眉を下げ、悲しそうに微笑む山南さん。
「でもよ‥‥」
平助君が、悲痛な表情を浮かべて呟いた。
「これは…自分の不注意で起きた事です…皆さんが気を落とす事はありません‥少しの間ご迷惑をかけるかもしれませんが、治らないと決まった訳ではありませんよ」
穏やかな表情で皆を励ます山南さん。
(一番辛いのは山南さんの筈なのに‥‥‥)
「そうですね、きっと治ります!山南さん…それまでちゃんと安静にしててくださいね」
私は、精一杯の笑顔を見せ、彼に答えた。
「そうだよな! 絶対治る!」
永倉さんが同調するように、何度も首を縦に振る。
「あぁ…そうだな」
原田さんも、何時もと変わらない笑顔でそれに答えた。
「ゆきさん、有難うございます」
私の耳元で、皆には聞こえない程の小さな声で囁く山南さん。
「そろそろ中に入りましょう」
目配せをして、身を翻した彼に笑みを返す。
「そうだな戻ろう」
山南さんが明るく振る舞うので、皆それ以上何も言えず、彼の "治る" という言葉を信じ、その場は解散となった。
時に冷酷な策士の顔も見せる "新撰組総長" 山南さんは、剣の腕は勿論のこと、知の面で新撰組を支えている立派な人。
私も彼を心から尊敬している。
鬼だと言う事を打ち明けられたら…穏やかな彼の笑みが頭に浮かぶ。
その日、私は眠れないまま夜を明かした。
「土方さん、山南さん!お帰りなさい…」
門の前では、二人を囲むように幹部達が集まっていて、何故か皆俯いていたので、何かあったのかと心配になり、二人の元へ駆け寄った。
「山南さん‥‥!」
既に治療が施され、包帯で巻かれた彼の左腕。
それが重傷である事は明らかで、なんと声をかけたらいいのか分からなかった私は、皆と同じ様に俯いてしまった。
「皆さん止めてください…私なら大丈夫です」
眉を下げ、悲しそうに微笑む山南さん。
「でもよ‥‥」
平助君が、悲痛な表情を浮かべて呟いた。
「これは…自分の不注意で起きた事です…皆さんが気を落とす事はありません‥少しの間ご迷惑をかけるかもしれませんが、治らないと決まった訳ではありませんよ」
穏やかな表情で皆を励ます山南さん。
(一番辛いのは山南さんの筈なのに‥‥‥)
「そうですね、きっと治ります!山南さん…それまでちゃんと安静にしててくださいね」
私は、精一杯の笑顔を見せ、彼に答えた。
「そうだよな! 絶対治る!」
永倉さんが同調するように、何度も首を縦に振る。
「あぁ…そうだな」
原田さんも、何時もと変わらない笑顔でそれに答えた。
「ゆきさん、有難うございます」
私の耳元で、皆には聞こえない程の小さな声で囁く山南さん。
「そろそろ中に入りましょう」
目配せをして、身を翻した彼に笑みを返す。
「そうだな戻ろう」
山南さんが明るく振る舞うので、皆それ以上何も言えず、彼の "治る" という言葉を信じ、その場は解散となった。
時に冷酷な策士の顔も見せる "新撰組総長" 山南さんは、剣の腕は勿論のこと、知の面で新撰組を支えている立派な人。
私も彼を心から尊敬している。
鬼だと言う事を打ち明けられたら…穏やかな彼の笑みが頭に浮かぶ。
その日、私は眠れないまま夜を明かした。