︎✦︎シフト0nサマーバケ∞ション︎✦︎
翌日もまたバイトをしに店に向かう。もう何週間もここで働いている。今日も頑張ろう!!と意気込んで服に袖を通し、ホールに立つ。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
妹もいるし女の子の扱いは慣れているつもりだ。それに、自分がされたら嬉しいことをやれば思ったより反応がいい。自分と同じ性別の子だから基本的に喜ぶものは似ているはず……。
「シンくんお久しぶりね!」
「おかえりなさいませ、お嬢さ……っ!!」
「今日は知り合いの方を連れてきたの〜。あの日のことを話したら興味があると言ってたから」
「そ、そうですか」
(最悪だ!!!知り合いだったなんて……!!!どこで知り合ったんだ一体!!)
「ただいま、というよりはじめましてだが。……ふむ」
「当館の説明を」
「甘露寺から全て伺った故、大丈夫だ!」
(なんだこれ、少女漫画の文化祭みたいじゃないか……)
ぎこちなく笑顔を作って話を切り出す。
「坊っちゃんはどこでお嬢様とお知り合いになられたので?」
「ふ……っ」
笑われた、それはそうだ。自分よりも年下の彼女が「坊っちゃん」など言ってきたら笑うに決まっている。しかも生徒がだ。本当に文化祭らしくなってきてしまった。
「私の高校のときの担任の先生だったの!」
思わず叫びそうになったが、眼鏡を直す動作をして誤魔化す。連絡を取り合うほどの仲になれるのか、担任だと?それともなにか特別な存在だった?そう一瞬考えるも取り繕って演じ続けなければならない。
蜜璃がお手洗いに行っている間、まさかの二人きりになってしまった。何かここで変なことを聞かれてしまっては大変だ。
「俺の名を聞こうとはしないのだな」
「これは失礼いたしました。遅ればせながら伺ってもよろしいですか?」
「杏寿郎だ。」
「杏寿郎、素敵なお名前ですね」
(笑うな、笑うな……!!私だって必死にやっているのに)
「シンもなにか飲むか?渇いているだろう!」
「お気遣い感謝いたします、ではお言葉に甘えて」
「レモネード。好みくらい分かるぞ」
「あ、あはは。坊っちゃんの洞察力には恐れ入ります」
店側に知り合い、しかも通っている学校の教師が来たと知られたらたまったもんじゃない。教師ってこういうお店に来ていいのだろうか?と疑問に感じたが。私立ならば良いのだろうか……詳しくないから分からない。いや、そういえばホスト通いの女性教師のドラマがあったような……。
「おまたせしました〜〜!!あ、シンくんレモン好きなんだ〜」
「はい。お嬢様も何かお飲みになりますか?」
まさか煉獄に誤って居酒屋だと伝えたのではなかろうか……とすら思えてくる。炭治郎たちだってあの煉獄杏寿郎が謎のコンカフェに来てるなんて知ったら、おどろ木ももの木さんしょの木に違いない。心陽はそれでも役を崩さず最後まで貫き続けた。
