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幸福論
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彼女と初めて話したのは、最初の日直ローテーション。
印象はきっと、お互い良くない。
×××
高校に入学して初めて日直が回ってきた日、初めて月咲マイと邂逅した。
「アンタでかいんだから黒板やってよ」
…は?
まず一言、腕組みしながら高圧的に言われてだいぶ腹が立った。
何も言われなければ当然のように僕は黒板を消し始めただろうけど、月咲が無駄な一言を加えたから一気に善意が消失した。
その日僕は黒板の下半分だけ最初に消して、放置しようとした所を先生に見つかって注意された。もちろんそれを見て笑った月咲も。
絶対に人と仲良くなれないタイプ。
天邪鬼で、一言余計で、人を怒らせて、孤立して。
仕方ないからクールを貫く。
第一印象は最悪だけど似た者同士なのか、一匹狼で飄々と生きる月咲マイのことが少し気になった。
しばらく観察していると、月咲の事が色々と分かってきた。
性格はお世辞にも全然良くないし喧嘩っ早いけど、成績は常にトップレベル。
僕も良い方だけど、月咲のそれは烏野高校にいるのが不思議なほどの良さ。
運動神経も半端じゃないほど良いらしい。
もちろん、見た目だって華やかな方だと思う。
あの口さえどうにかなれば、魅力的なのにな…
「なんで出来ないの?頭悪いの?あっ、頭悪いのかぁーごめーん!」
「…っ!」
ホラ、また女子泣いてる。
誰かと関われば、必ず誰かを泣かす。または怒らせる。
僕でももうちょっとマシだと思うほどに残念な性格。
本当に、できない事がないくらい才能に溢れた彼女だけど、口の達者さが災いしてかあまり話す人はいないようだった。
だからといって、彼女に口で勝てる奴なんていなくて、彼女が苛められたりなんてことはないみたい。悪口を言われようものなら完膚無きまでに叩きのめす。
それはもう見ていて清々しいほどに。
「月島ってさぁ、友達山口くんしかいないの?」
自分だっていない癖に、ある日僕にそう聞いてきた。
不快な質問だけど、月咲から用もないのに話しかけて来たのは少し嬉しかった。
「君こそ誰もいないみたいだけど?」
「…仲良しの幼馴染ならいるもん。この高校じゃないけど」
「フーン」
それからというもの、月咲との会話に時折その幼馴染の名前が出てくるようになった。
学校以外で起こった事の話をすれば、必ず徹、徹、徹。
僕は面識のない奴だったけど、男の名前だっていうのは分かるし正直不快だった。
後々、練習試合なんかでその人物が誰なのか知ったけど。
嫉妬なんて見苦しい。
そうは分かっていても、彼女に僕を認識して貰うために言わずには居られなかった。
月咲は他の誰のことも名前では呼ばない。
とりあえず、その『幼馴染の徹』と同じ土俵に立つために。
「…蛍って呼びなよ」
「………ハイ?」
陳腐な対抗心。
打倒大王サマへの第一歩。
珍しく動揺する月咲がちょっとだけ可愛く見えて、僕は心の中でガッツポーズをした。
印象はきっと、お互い良くない。
×××
高校に入学して初めて日直が回ってきた日、初めて月咲マイと邂逅した。
「アンタでかいんだから黒板やってよ」
…は?
まず一言、腕組みしながら高圧的に言われてだいぶ腹が立った。
何も言われなければ当然のように僕は黒板を消し始めただろうけど、月咲が無駄な一言を加えたから一気に善意が消失した。
その日僕は黒板の下半分だけ最初に消して、放置しようとした所を先生に見つかって注意された。もちろんそれを見て笑った月咲も。
絶対に人と仲良くなれないタイプ。
天邪鬼で、一言余計で、人を怒らせて、孤立して。
仕方ないからクールを貫く。
第一印象は最悪だけど似た者同士なのか、一匹狼で飄々と生きる月咲マイのことが少し気になった。
しばらく観察していると、月咲の事が色々と分かってきた。
性格はお世辞にも全然良くないし喧嘩っ早いけど、成績は常にトップレベル。
僕も良い方だけど、月咲のそれは烏野高校にいるのが不思議なほどの良さ。
運動神経も半端じゃないほど良いらしい。
もちろん、見た目だって華やかな方だと思う。
あの口さえどうにかなれば、魅力的なのにな…
「なんで出来ないの?頭悪いの?あっ、頭悪いのかぁーごめーん!」
「…っ!」
ホラ、また女子泣いてる。
誰かと関われば、必ず誰かを泣かす。または怒らせる。
僕でももうちょっとマシだと思うほどに残念な性格。
本当に、できない事がないくらい才能に溢れた彼女だけど、口の達者さが災いしてかあまり話す人はいないようだった。
だからといって、彼女に口で勝てる奴なんていなくて、彼女が苛められたりなんてことはないみたい。悪口を言われようものなら完膚無きまでに叩きのめす。
それはもう見ていて清々しいほどに。
「月島ってさぁ、友達山口くんしかいないの?」
自分だっていない癖に、ある日僕にそう聞いてきた。
不快な質問だけど、月咲から用もないのに話しかけて来たのは少し嬉しかった。
「君こそ誰もいないみたいだけど?」
「…仲良しの幼馴染ならいるもん。この高校じゃないけど」
「フーン」
それからというもの、月咲との会話に時折その幼馴染の名前が出てくるようになった。
学校以外で起こった事の話をすれば、必ず徹、徹、徹。
僕は面識のない奴だったけど、男の名前だっていうのは分かるし正直不快だった。
後々、練習試合なんかでその人物が誰なのか知ったけど。
嫉妬なんて見苦しい。
そうは分かっていても、彼女に僕を認識して貰うために言わずには居られなかった。
月咲は他の誰のことも名前では呼ばない。
とりあえず、その『幼馴染の徹』と同じ土俵に立つために。
「…蛍って呼びなよ」
「………ハイ?」
陳腐な対抗心。
打倒大王サマへの第一歩。
珍しく動揺する月咲がちょっとだけ可愛く見えて、僕は心の中でガッツポーズをした。