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幸福論
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王様のサーブを受けてたら、なぜかこの部の主将と思われる人に怒鳴られた。
後ろでおろおろしてる二人も三年生かな?
とりあえず、なんであたしまで座らされているのか本当に意味がわからない。
「お前ら、何を怒られてるのか分かるか?」
「「うっす…」」
「……」
王様、もとい影山と、ちっさいオレンジ頭の子と、坊主とイワトビペンギンみたいな二年生。それとあたし。
月島と山口くんは座らされてなくてなんかムカつく。
「影山」
「はい…」
「バレー部でもない奴に、しかも女の子に。全力でサーブぶち込んだら危ないと思わないか?」
「はいっす…」
「でもあたしちゃんと捕りましたよ〜」
「「!!!!」」
当たり前の事を言っただけなのに、周りのみんなの顔が青ざめた。
横のちっさい子に関しては、呼吸が止まりかけてる。
「お前さ…名前なんだっけ…」
「月咲マイでーす」
「月咲…」
「?はい?」
「上履き制服のまま勝手に体育館入ってきて、いきなり人を挑発するってどういうつもりだ!!今回は怪我に繋がらなかったから良いものの、普通に考えて危ないでしょうが!!」
「……」
「西谷!田中!日向!お前らも茶化すな!」
「「すんませんでした…」」
い…
意外とこの人怖いんだ…
「ホラっ、お前も早く謝れ!」
「えっ…?あ、すいません…」
坊主の人に促されて、とりあえず謝る。
主将さんは、ため息をついてから表情を崩した。
「で、月咲だっけか?何しにきたんだ?」
「…あたしと同中で王様がいるって聞いたから、どんなのか見たくて」
「「……」」
「はぁ…だからってさっきみたいなのは本当に危ないから、もうするなよ。俺たちだって責任とれないから」
「…ごめんなさい」
「でもすごいよなぁー!影山のサーブ受ける女の子なんて初めて見たべ」
後ろにいた色素の薄い三年生がフォローを入れてくれた。
みんなの顔がすかさず明るくなる。
「確かに、男子だったら是非入って欲しかったなぁ」
「旭、この子が男だったらお前きっといじめられんぞ」
「俺らが止めるから大丈夫っすよ!」
「お前らは逆に心配だよ」
ロン毛のデカい人も三年生っぽい。
なんだか統一感のない人達なのに、仲はいいみたい。
…ちょっと、羨ましい。
「あの」
「どうした?」
「…差し支えなければ今日このまま練習見てていいですか?」
「いいよいいよ。ただ、絶対さっきのは無しな」
「え?!まさかのマネージャー志望?!」
「違いまーす」
「ちぇっ、じゃあ何で見学?」
マネージャー志望と勘違いした色素の薄い人は、ちょっと残念そうに言った。
理由か…言うの恥ずかしいな…
「…なんか、仲よさそうで羨ましいから…」
「「……」」
「寂しがりやかよ!」
「友達いねーのか?!」
予想通りの反応。
馬鹿にされてるみたいでちょっと腹立つ。
「いたら羨ましいなんて言わないです」
「マジな方か!!」
「じゃあおれ!立候補する!1年の日向翔陽!!」
「ひなた」
「おい影山もしろよ!」
「あ゛?!……影山…飛雄…」
「王様」
「てめえ!!」
「マイちゃん良かったな友達できて!!」
二年生の人たちに笑いながら背中を叩かれた。
慣れてないけど、こういうの嫌じゃないかもしれない。
「さ、雑談はそこまでにして!練習始めるぞー」
「「オーッス!」」
「月咲、バレー出来るのか?」
「あ、はい。一応ひと通りは」
「じゃあ、マネージャー来たら一緒にスコア付けとかボール出しやってくれ。この時期一人だとキツいと思うから」
「わかりました」
マネージャー…
…マネージャーいるんだ?
てか手伝わせるんだ?
「あと俺、主将の澤村。よろしくな」
「よろしくお願いしますー」
よろしくって、毎日マネージャー業するつもりはないんだけどな…
「念を押しとくけど、危険行為は無しな!」
「ハイ…」
厳しくも優しいサワムラさんが去った後、待ち構えていたかのように月島が目の前に現れた。
なんかちょっと怒ってる?
「君、何やってんの」
「見学」
「そうじゃなくて…さっきの」
「王様?」
「それも。非常識にも程があるんじゃない。ほんとに頭良いの?」
「東大A判定だよ」
「…学力の話じゃないってことぐらいワカリマス?」
「興味が先行したんだよ。あるでしょ?そういうの」
「ないよ…てかなんで馴染もうとしてんの」
「他に友達いなくて暇だから」
「馬鹿が移るよ」
「移んないよ。東大A判定だから」
「君のそういうとこホント腹立つ」
「どーもぉ」
「そこー!イチャついてないで練習始めなさいよー」
「こんな奴とイチャつきませーーん!!!」
「……」
なんだかんだで部活が始まった。