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幸福論
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「わざわざ遠い所までドーモ」
「どういたしマシテ」
断りまくったのに、結局蛍はあたしの家までついてきた。
蛍からのアクション以降あまり会話のないまま、ぎこちなく時間は過ぎた。
だって初めてだし!動揺しても仕方ないし!
玄関を開けて中に入る。
ちらっと振り返ると、無言でこっちを見つめる蛍。
…なんでまだ帰んないの?
まだ何かあんの?
「何?タクシー呼ぶ?」
「いらない」
「あ、そう…」
無表情で突っ立ったまま蛍はあたしを見つめる。
何?何なの?どういうつもり?
「マイ」
「…なんですかぁ」
「次の土曜日」
「土曜日が何」
「僕、練習半日だから」
「…で?」
「君バイトあんの」
「…ないけど」
「終わったら迎えに来るから待ってて」
「は?」
突拍子もない話。
迎えに来るって?どっか行くの?
蛍の表情はさっきと全く変わらない。
「だから予定入れないで」
「…何?どっか行くの?」
「うん」
「…わかった、開けとく」
…お出かけ?!
あたしの返事を聞くと、蛍はちょっとニヤッとした。
そしてすぐ元の顔に戻った。
あたしだけが意識してるみたいで、なんかむかつく。
「一応言っとくけど」
「ハイ?」
「普通高校生がタクシー移動なんかしないから。どんなにダルくても当日は公共交通機関使うから」
「タクシー使ったらすぐじゃん…」
「そういう思考回路がオカシイの。わざわざ矯正してあげるんだからちゃんと付き合って」
「何その上から目線。ていうか何しに行くの?」
「高校生らしい事。君は変なとこでスレてるから」
タクシー移動がスレてる…?
バス通学の時みたいな変なストレス感じるよりいいと思うけど。
そこはちょっとよく分からないけど、徹と岩ちゃんを除いて誰かと出かけるのなんか初めてだし、何となくワクワクしてきた。
ましてや初めての恋人。
遠足前の期待と、試験前の緊張が混ざったみたいな感じ。
いや、試験前に緊張することなんてあんまり無いんだけど。
「それじゃ。また明日」
「えっ、あ」
一人で浮き足立っていたら、蛍はそっけなく背を向けた。
なんとなくこのまま帰らせるのはダメな気がして、考えるより前に蛍へと手を伸ばす。
「…ナニ」
「……」
咄嗟に掴んだはいいけど、なんだか動悸がしてきてなにも言えなくなった。
蛍は訝しげな顔であたしを見る。
しばらくの沈黙が続くと、蛍がため息をついて先にその静寂を破った。
「もう、僕帰るから」
「…っ?!」
蛍は片手で手早くあたしの顔を引き寄せて、軽くキスを交わす。
離す瞬間、蛍のきれいな顔が間近に見えた。
まつげ、長い。肌白い。
いや、今そんなことはどうでもよくて。
また蘇る感触に、あたしの思考は完全に鈍った。
「じゃあね。オヤスミ」
「…ハイ」
ポカンとして蛍の言葉に生返事しかできなかった。
ゆっくり扉が閉められる。
……。
あたしは数分停止して、やっと我に返った。
「どうしよう!デートって奴だ!!」
…服、どうすればいいか徹に訊こう。
「わざわざ遠い所までドーモ」
「どういたしマシテ」
断りまくったのに、結局蛍はあたしの家までついてきた。
蛍からのアクション以降あまり会話のないまま、ぎこちなく時間は過ぎた。
だって初めてだし!動揺しても仕方ないし!
玄関を開けて中に入る。
ちらっと振り返ると、無言でこっちを見つめる蛍。
…なんでまだ帰んないの?
まだ何かあんの?
「何?タクシー呼ぶ?」
「いらない」
「あ、そう…」
無表情で突っ立ったまま蛍はあたしを見つめる。
何?何なの?どういうつもり?
「マイ」
「…なんですかぁ」
「次の土曜日」
「土曜日が何」
「僕、練習半日だから」
「…で?」
「君バイトあんの」
「…ないけど」
「終わったら迎えに来るから待ってて」
「は?」
突拍子もない話。
迎えに来るって?どっか行くの?
蛍の表情はさっきと全く変わらない。
「だから予定入れないで」
「…何?どっか行くの?」
「うん」
「…わかった、開けとく」
…お出かけ?!
あたしの返事を聞くと、蛍はちょっとニヤッとした。
そしてすぐ元の顔に戻った。
あたしだけが意識してるみたいで、なんかむかつく。
「一応言っとくけど」
「ハイ?」
「普通高校生がタクシー移動なんかしないから。どんなにダルくても当日は公共交通機関使うから」
「タクシー使ったらすぐじゃん…」
「そういう思考回路がオカシイの。わざわざ矯正してあげるんだからちゃんと付き合って」
「何その上から目線。ていうか何しに行くの?」
「高校生らしい事。君は変なとこでスレてるから」
タクシー移動がスレてる…?
バス通学の時みたいな変なストレス感じるよりいいと思うけど。
そこはちょっとよく分からないけど、徹と岩ちゃんを除いて誰かと出かけるのなんか初めてだし、何となくワクワクしてきた。
ましてや初めての恋人。
遠足前の期待と、試験前の緊張が混ざったみたいな感じ。
いや、試験前に緊張することなんてあんまり無いんだけど。
「それじゃ。また明日」
「えっ、あ」
一人で浮き足立っていたら、蛍はそっけなく背を向けた。
なんとなくこのまま帰らせるのはダメな気がして、考えるより前に蛍へと手を伸ばす。
「…ナニ」
「……」
咄嗟に掴んだはいいけど、なんだか動悸がしてきてなにも言えなくなった。
蛍は訝しげな顔であたしを見る。
しばらくの沈黙が続くと、蛍がため息をついて先にその静寂を破った。
「もう、僕帰るから」
「…っ?!」
蛍は片手で手早くあたしの顔を引き寄せて、軽くキスを交わす。
離す瞬間、蛍のきれいな顔が間近に見えた。
まつげ、長い。肌白い。
いや、今そんなことはどうでもよくて。
また蘇る感触に、あたしの思考は完全に鈍った。
「じゃあね。オヤスミ」
「…ハイ」
ポカンとして蛍の言葉に生返事しかできなかった。
ゆっくり扉が閉められる。
……。
あたしは数分停止して、やっと我に返った。
「どうしよう!デートって奴だ!!」
…服、どうすればいいか徹に訊こう。