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幸福論
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梅雨真っ只中。
良いことも悪いこともなくてげんなり。
**
蛍と付き合う約束をして結構経った。
実感が湧かないとかそんなんじゃないけど、何をすればいいのか分かんなくて関係はあんまり変わらない。
普通に喋るし、ご飯食べるし、たまーに一緒に帰るし。
あ、あとおやすみメール?をする。
休みの日は蛍は部活であたしはバイト。
なんかタイミング合わないし、会う予定も立てられないから何もない。
付き合うってなんなんだろう…どうしたらいいんだろう…
徹に聞いたら分かるかな?でもあいつめんどくさそうだしな…
一人でブツブツ呟きながら歩いてると、バレー部が練習してる体育館に到着。
別に用はない。放課後ただ暇だから見るだけ。
「お邪魔しまぁ〜す」
「あっ」
ドアを開けると、あたしよりも更に低い位置の頭とぶつかった。
金髪のジャージ姿。初めて見るけど、1年かな。
すっごいオドオドしながらあたしのこと見てる?なに?
「えっと、す、スミマセ…」
「あんた誰?」
「ヒギィッ!!!!」
あたしが尋ねただけなのにビビりまくるその子。
どうしようかと考えていると、例の監督が血相を変えて走って来た。
「お、お前また来たのか!何してんだ?!」
「こんにちはぁー。何もしてないですけど」
「…ほんとにか?」
「だから何も!誰って聞いただけです〜」
あたしがこの子を虐めてるようにでも見えたの?
失礼だなー、見かけで判断するなんて。
「あ、マイちゃん。来てくれたんだ」
「清水先輩!お疲れ様ですー。ところでこの子誰ですか?」
「ああ、マイちゃんは初めてだっけ?」
「はぁい」
清水先輩とあたしが話してるのに警戒を解いたのか、その子はあたしに向き直った。
あたしそんな怖い見た目してないんだけどなぁ…
「初めまして!や、谷地仁花です!!新人マネージャーでありますッ!!」
「へぇーマネージャー!増えたんですね〜」
「…あの、月咲マイさん、ですよね?月咲さんはマネージャーじゃないんですか?」
「マネージャーじゃないよ。アンタあたしの名前知ってんだ?ていうかなんで同学年なのに敬語なの?怖いの?普通にしたら?」
「アッ、エッ、スミマセン!!!!」
「言ったそばから何謝ってんの?」
なんか謝るのに忙しい子だな…
マネージャー増えたのはいいことだけど。あたしがやらなくてよくなるし。
「月咲!!お前はまた!!」
「はぁ?」
あたしと谷地さんのやり取りを見ていたと思われる主将さんが、また何か勘違いをして近づいてきた。
「ちょっと〜、言っときますけど虐めたりしてませんよ?自己紹介してただけ〜」
「ほんとか?」
「ほ、ほんとです!!私の喋りが滞ってるだけで…!」
「ほら〜虐めてない!さっきから何なんですかぁ」
「お前は影山を挑発しだした前科と烏養さんに迷惑かけた前科もあるからだ!もうちょっと態度なんとかしなさい!」
「…そんなこと言われても元からこうだし」
「わ、私大丈夫です!!月咲さんが神々しくて恐縮してしまっただけですから!!」
「あんた何言ってんの?大丈夫?」
「月咲!!」
普通に返していただけなのに、主将さんに怒られる。
なんで虐めても無いのに怒られなきゃいけないかなー今日はほんとに悪いことしてないんだけど。
ふいっと視線を中の方に移すと、こっちを睨みつけながらアップをしている蛍と目が合った。
何?あんたまでなんなの?
「…あ、そういえば、月咲さんは月島くんと付き合ってるんだよね…?」
「え?」
主将と蛍に睨まれている傍ら、その谷地さんと言う子が訊いてきた。
え、あたしこの子に会うの今日初めてなんだけど、なんで知ってんの?
そんなに広まっちゃってんの?
「おお、そうなんだってな!俺たちもこないだ月島から聞いた」
「…俺たちもって?達って?みんな知ってるんですか?ていうか蛍が言ったの?」
「ここにいる奴はみんなかな。厳密にはスガが言わせたみたいなもんだけどさ」
「何それ…バレてるなら今日来なきゃよかった…」
「まぁ折角来たんだし、谷地さんと仲良くやってなさいよ。月島も頑張るかも知れないしな!」
「そんなんで蛍が頑張ることはないかと」
「言い切らなくてもいいだろ。それよりいい加減体操服着てからここ来なさい」
「細かいな〜」
「居たかったら文句言わずに着替えてこい!」
間。
主将さんに促されて渋々体操服に着替えた。
部員でも無いし見学だけのつもりだったのに、今日も結局お手伝い…
後ろでボール拾いをしていると、自分の仕事を終えて手が空いた谷地さんが駆け寄って来た。
「月咲さん!潔子先輩がしばらく休憩してていいよって!」
「そうなの?じゃあ休憩しよー」
コートを後にして、谷地さんと揃って壁際に座る。
清水先輩はコーチと先生と何か話してる。
座ったのはいいけど、なんか話題が見つからない。
「あの、月咲さん」
「なに?」
谷地さんがおずおずと話しかけてくる。
さっきよりは警戒されてない感じ。
「月咲さんはなんでマネージャーやらないの?こんなにテキパキ動けるのに…」
「あー、土日バイトしてるからね〜。あとサポートする方なんて性に合わない」
「たしかに、カリスマ的な感じあるもんね!」
「なにそれ」
「えっ、あの、勉強とかでも色々有名だし…」
「ふーん、そうなの?」
人の噂話なんかめったに聞かないから、あたしがどう言われてるのか全然知らない。
そんなしょうもないことで有名だったんだ?
「谷地さんはいつからやってんの?」
「つい最近からだよ」
「じゃあもう名前とかは覚えたんだ?」
「うん!日向と影山くんとは勉強会とかしたし!」
「へぇ〜、あいつらって頭いいの?いいわけないか」
「う、うーん…私5組で進学クラスだから、教えてって言われて…」
「大変だね〜」
見たまんまだと超頭悪いと思う。あたしのとこ来なくてよかったー。教えれる自信ないや。
何気無しに蛍の居る方を見る。
それなりに真面目には練習してるんだ。
指、折れそう…
「でも月島くんに彼女さんがいるのはちょっとびっくりしたなぁ」
「まあ友達居なさそうだもんね。性格悪いし」
「そ、そんなことないよ!ただ、そういうイメージないから…」
「あ、そうだ。谷地さんてそういうの詳しい?」
「そういうのとは…?」
「恋愛とか」
「え゛!!!む、無理だよ!全然だもん!」
谷地さんは全身をぶんぶん振りながら否定する。
かわいい女子だから詳しいと思ったのになー。
「その、いきなりどうしたの?」
「付き合うとかそういうのあたし疎くてどうしたらいいか分かんないの。結構経ってるんだけど全く前進ナシって感じ?」
「…私じゃお力添えできなく申し訳ありません!」
「そっかー。どうしようかなー」
「じゃあさ、参考になるか分かんないんだけど…月咲さんの周りに恋愛上手な人とかいないの?その人に聞いてみたらいいんじゃないかな?」
「恋愛上手…」
少ないながらも周りの人を連想してみる。
日向…論外。
王様…論外。
岩ちゃん…無理?
徹…
「あ、いるわ」
「やったね!その人に聞き取り調査だよ!」
「…この際仕方ないかー」
「え?」
あたしが一人でぶつぶつ言っていると、谷地さんが変な顔で覗き込んでくる。
だって徹だよ?なんかバカにされそうで嫌だな…
でもこのままじゃいつもと変わんないし…
「マイちゃん、仁花ちゃん、手伝える?」
「あ、ハイ!」
「はぁーい」
考え込んでる途中で清水先輩に呼ばれる。
谷地さんに促されてあたしも立ち上がった。
徹…
徹かぁー…
嫌だけどあとで連絡してみようかな…
モヤモヤしながら、二人に続いてあたしは歩いた。
良いことも悪いこともなくてげんなり。
**
蛍と付き合う約束をして結構経った。
実感が湧かないとかそんなんじゃないけど、何をすればいいのか分かんなくて関係はあんまり変わらない。
普通に喋るし、ご飯食べるし、たまーに一緒に帰るし。
あ、あとおやすみメール?をする。
休みの日は蛍は部活であたしはバイト。
なんかタイミング合わないし、会う予定も立てられないから何もない。
付き合うってなんなんだろう…どうしたらいいんだろう…
徹に聞いたら分かるかな?でもあいつめんどくさそうだしな…
一人でブツブツ呟きながら歩いてると、バレー部が練習してる体育館に到着。
別に用はない。放課後ただ暇だから見るだけ。
「お邪魔しまぁ〜す」
「あっ」
ドアを開けると、あたしよりも更に低い位置の頭とぶつかった。
金髪のジャージ姿。初めて見るけど、1年かな。
すっごいオドオドしながらあたしのこと見てる?なに?
「えっと、す、スミマセ…」
「あんた誰?」
「ヒギィッ!!!!」
あたしが尋ねただけなのにビビりまくるその子。
どうしようかと考えていると、例の監督が血相を変えて走って来た。
「お、お前また来たのか!何してんだ?!」
「こんにちはぁー。何もしてないですけど」
「…ほんとにか?」
「だから何も!誰って聞いただけです〜」
あたしがこの子を虐めてるようにでも見えたの?
失礼だなー、見かけで判断するなんて。
「あ、マイちゃん。来てくれたんだ」
「清水先輩!お疲れ様ですー。ところでこの子誰ですか?」
「ああ、マイちゃんは初めてだっけ?」
「はぁい」
清水先輩とあたしが話してるのに警戒を解いたのか、その子はあたしに向き直った。
あたしそんな怖い見た目してないんだけどなぁ…
「初めまして!や、谷地仁花です!!新人マネージャーでありますッ!!」
「へぇーマネージャー!増えたんですね〜」
「…あの、月咲マイさん、ですよね?月咲さんはマネージャーじゃないんですか?」
「マネージャーじゃないよ。アンタあたしの名前知ってんだ?ていうかなんで同学年なのに敬語なの?怖いの?普通にしたら?」
「アッ、エッ、スミマセン!!!!」
「言ったそばから何謝ってんの?」
なんか謝るのに忙しい子だな…
マネージャー増えたのはいいことだけど。あたしがやらなくてよくなるし。
「月咲!!お前はまた!!」
「はぁ?」
あたしと谷地さんのやり取りを見ていたと思われる主将さんが、また何か勘違いをして近づいてきた。
「ちょっと〜、言っときますけど虐めたりしてませんよ?自己紹介してただけ〜」
「ほんとか?」
「ほ、ほんとです!!私の喋りが滞ってるだけで…!」
「ほら〜虐めてない!さっきから何なんですかぁ」
「お前は影山を挑発しだした前科と烏養さんに迷惑かけた前科もあるからだ!もうちょっと態度なんとかしなさい!」
「…そんなこと言われても元からこうだし」
「わ、私大丈夫です!!月咲さんが神々しくて恐縮してしまっただけですから!!」
「あんた何言ってんの?大丈夫?」
「月咲!!」
普通に返していただけなのに、主将さんに怒られる。
なんで虐めても無いのに怒られなきゃいけないかなー今日はほんとに悪いことしてないんだけど。
ふいっと視線を中の方に移すと、こっちを睨みつけながらアップをしている蛍と目が合った。
何?あんたまでなんなの?
「…あ、そういえば、月咲さんは月島くんと付き合ってるんだよね…?」
「え?」
主将と蛍に睨まれている傍ら、その谷地さんと言う子が訊いてきた。
え、あたしこの子に会うの今日初めてなんだけど、なんで知ってんの?
そんなに広まっちゃってんの?
「おお、そうなんだってな!俺たちもこないだ月島から聞いた」
「…俺たちもって?達って?みんな知ってるんですか?ていうか蛍が言ったの?」
「ここにいる奴はみんなかな。厳密にはスガが言わせたみたいなもんだけどさ」
「何それ…バレてるなら今日来なきゃよかった…」
「まぁ折角来たんだし、谷地さんと仲良くやってなさいよ。月島も頑張るかも知れないしな!」
「そんなんで蛍が頑張ることはないかと」
「言い切らなくてもいいだろ。それよりいい加減体操服着てからここ来なさい」
「細かいな〜」
「居たかったら文句言わずに着替えてこい!」
間。
主将さんに促されて渋々体操服に着替えた。
部員でも無いし見学だけのつもりだったのに、今日も結局お手伝い…
後ろでボール拾いをしていると、自分の仕事を終えて手が空いた谷地さんが駆け寄って来た。
「月咲さん!潔子先輩がしばらく休憩してていいよって!」
「そうなの?じゃあ休憩しよー」
コートを後にして、谷地さんと揃って壁際に座る。
清水先輩はコーチと先生と何か話してる。
座ったのはいいけど、なんか話題が見つからない。
「あの、月咲さん」
「なに?」
谷地さんがおずおずと話しかけてくる。
さっきよりは警戒されてない感じ。
「月咲さんはなんでマネージャーやらないの?こんなにテキパキ動けるのに…」
「あー、土日バイトしてるからね〜。あとサポートする方なんて性に合わない」
「たしかに、カリスマ的な感じあるもんね!」
「なにそれ」
「えっ、あの、勉強とかでも色々有名だし…」
「ふーん、そうなの?」
人の噂話なんかめったに聞かないから、あたしがどう言われてるのか全然知らない。
そんなしょうもないことで有名だったんだ?
「谷地さんはいつからやってんの?」
「つい最近からだよ」
「じゃあもう名前とかは覚えたんだ?」
「うん!日向と影山くんとは勉強会とかしたし!」
「へぇ〜、あいつらって頭いいの?いいわけないか」
「う、うーん…私5組で進学クラスだから、教えてって言われて…」
「大変だね〜」
見たまんまだと超頭悪いと思う。あたしのとこ来なくてよかったー。教えれる自信ないや。
何気無しに蛍の居る方を見る。
それなりに真面目には練習してるんだ。
指、折れそう…
「でも月島くんに彼女さんがいるのはちょっとびっくりしたなぁ」
「まあ友達居なさそうだもんね。性格悪いし」
「そ、そんなことないよ!ただ、そういうイメージないから…」
「あ、そうだ。谷地さんてそういうの詳しい?」
「そういうのとは…?」
「恋愛とか」
「え゛!!!む、無理だよ!全然だもん!」
谷地さんは全身をぶんぶん振りながら否定する。
かわいい女子だから詳しいと思ったのになー。
「その、いきなりどうしたの?」
「付き合うとかそういうのあたし疎くてどうしたらいいか分かんないの。結構経ってるんだけど全く前進ナシって感じ?」
「…私じゃお力添えできなく申し訳ありません!」
「そっかー。どうしようかなー」
「じゃあさ、参考になるか分かんないんだけど…月咲さんの周りに恋愛上手な人とかいないの?その人に聞いてみたらいいんじゃないかな?」
「恋愛上手…」
少ないながらも周りの人を連想してみる。
日向…論外。
王様…論外。
岩ちゃん…無理?
徹…
「あ、いるわ」
「やったね!その人に聞き取り調査だよ!」
「…この際仕方ないかー」
「え?」
あたしが一人でぶつぶつ言っていると、谷地さんが変な顔で覗き込んでくる。
だって徹だよ?なんかバカにされそうで嫌だな…
でもこのままじゃいつもと変わんないし…
「マイちゃん、仁花ちゃん、手伝える?」
「あ、ハイ!」
「はぁーい」
考え込んでる途中で清水先輩に呼ばれる。
谷地さんに促されてあたしも立ち上がった。
徹…
徹かぁー…
嫌だけどあとで連絡してみようかな…
モヤモヤしながら、二人に続いてあたしは歩いた。