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幸福論
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マイと付き合うことになって数日。
なんの発展がある訳でもなく、日は過ぎて行く。
そりゃあ1週間ちょっとなんだし何も起きないのが普通なんだけど、マイは特に鈍いみたいで以前と関係は全く変わらない。
普通にお昼ご飯を食べて、喋って、たまに途中まで一緒に帰って。
今まではそれでも良かったけど、あくまでも恋人同士なんだしもうちょっと何かあってもいいと思う。
でもって今日は土曜日だから、部活の練習。しかも練習試合。
マイはバイトだし全然予定が合わない。
「月島!ぼーっとしてんぞ!」
「あ、ハイ…」
澤村さんに窘められる。そんなにぼーっとしてたかな…
また春高に向けて士気が高まりつつあるし、ムシムシした体育館がすごく居心地悪い。
もうお昼だし、マイのバイト先も忙しい時間かな。
そもそもあの店昼間も営業してんの?
何かとマイには謎が多い。
ていうか、僕はマイのことを正直あんまり知らない。
お互い自分の事をペラペラ話すタイプでもないし、知っていたとしても周知の事実ばっかりだ。
『お互い知られたくない事ぐらいあるでしょ?』
なんて前に漏らしていたから、あんまり深く入り過ぎない方が良いのかもしれない。
色々家庭事情が複雑みたいだし、気にならないといえば嘘になるけど、マイから話して来るまで僕からは聞かない。
「月島ナイッサーーー!!!」
サーブが回ってきた。
今はこっちに集中しないと。
++
「よし、休憩ー!」
「「アァーーースッ!!!」」
1時を過ぎて、やっと休憩。
みんなスタミナ馬鹿だから、練習後だと言うのに煩い。
僕なんかよりテキパキ動いて、昼食の準備をしている。
ちょっと前からマネージャーに仮入部で谷地さんが加わって、そういう準備なんかは捗るようになってるみたいだ。
「ツッキー、今日なんか疲れてる?」
「…いや別に。普通」
「そっか!先輩たちも食べはじめてるし、俺たちもご飯食べよう!」
「うん」
山口が気を使って話しかけて来る。
それはとりあえず置いといて、僕は山口を横目にいそいそとメールを開いた。
新着は一件。
「マイとメール?」
「まぁ」
「仲直りしたんだね!よかった〜」
「そもそも喧嘩してないんだけど」
「あれ、そっか!そうだね!」
山口に生返事で答えながら、マイの本文なし画像だけのメールを開く。
「……」
「…え?なにこれ?」
山口が反応に困るのも無理はない。
謎の人参がまな板に置かれただけの写真。
なにこれ。
これから料理に使うとかそういうの?
「えーなんだよこれー!」
「うわ?!」
人参の写真を見つめていると、後ろから菅原さんが覗き込んでいた。
人の携帯勝手に見るってどうなの。
「あいつらが 月島、例のマイちゃんとメールしてます!って言ったから見にきたのになんだよ人参かよ〜つまんね〜」
「勝手に覗かないでください」
あいつらとはきっと2年生2人。
視線を向ければ、ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「マイちゃん中々意味不明なことすんな〜。これで料理でも作りますってか?」
「…さあ」
「僕の為にご飯作ってくれんの?って返信しろよー」
「嫌です。ていうか見ないでください」
「なんでだよ〜愛しの彼女だろ?」
「え」
菅原さんがニヤニヤしながら見てくる。
なんで知ってんの…山口にしか言ってないのに。
山口を睨みつける。
「ヒッ?!ツッキー、俺は何も…!」
「えっ、月島図星か?!」
「……」
しまった、墓穴掘った。
「おーい大地ーーー!!月島やっぱマイちゃんと付き合ってるらしいぞーー!!」
「マジでか?!!」
「チョット、声大きい!」
菅原さんが叫ぶと、案の定みんなが集まってくる。
くそ…
「マジでか月島ァ!!」
「やっぱりそういうことかよ!」
「あぁー!マイちゃん結構可愛いだけにスゲェ腹立つ!!」
「ちょっ、田中さん西谷さん、痛い!」
「月島マジなの?!月咲との写真とかねーの?!」
「…君までなんなの!」
「月咲は及川さんのじゃなかったのか…?」
「王様意味わかんないこと言わないで」
よく分かってないのに王様や日向まで加わる。
ほんと面倒くさい。
だからここではバレたくなかったのに。
「なんの騒ぎ?」
「「きっ、潔子さん…!!」」
「おー清水!月島に彼女がいるらしいぞ!」
「そうなの?」
「しかもあの月咲!」
「えっ…そうだったんだ。仲、良さそうだったもんね」
「つ、月咲さんって…?」
主将が清水先輩を呼び止めると、後ろにいた谷地さんも反応した。
谷地さんはマイのこと知らないんだっけ?
なんでもいいけど、早くこの話題終わってほしい。
「月咲マイちゃん。仁花ちゃん知ってる?」
「あ、ははははい!!知ってます!あの、学年トップの美人の、あの…ちょっと怖そうな…」
「怖そう?」
「ハヒィッ!ごめんなさい!!怖そうというか、なんというかオーラのある可愛い方ですよね?!」
「えっ、てかあの子そんなに勉強できんの?!」
「俺も同じクラスですけど、勉強出来るってレベルじゃないほど良くできます…」
「オーラ…たしかに…」
「怖そうじゃなくてマイちゃんは怖えよなぁ?!月島!」
「…肝が座ってるだけです」
ああそうか、マイは頭がいいからそれで有名なんだ。
オーラがあるっていうのは認める。意味わかんない女王様節とか。
「皆さんは、月咲さんとお知り合いなんですか?」
「ああ、たまに来てるしな」
「初っ端から大地に怒られてる問題児だし」
「俺、あの子すごいとは思うけどちょっと怖い…」
「旭さんあんな奴にビビってんすか?!」
「あんな奴って何ですか」
「おっ!?月島が庇った!」
「ラブラブかよこのヤロー!!」
「…そんなんじゃないです。もうほっといてください」
せっかくなんか返事しようと思ってたのに、先輩たちが次々に被せてくるからそうする暇もない。
ましてやバイト終わってから時間あるか訊くタイミングすらない。
最悪だ。
マイのことを隠したいわけじゃないけど、騒がれるのは面倒くさいし嫌だ。
「てかなんで付き合いだしたんだ?どっちから?」
「お世辞にも月咲も月島も良い性格だとは言えないからなぁ…」
「どっちも悪いからいいんじゃないすか?」
「おお!中和か!影山たまには良いこと言うな!」
「うっす」
「王様黙って。なんで誇らしげなの」
「で、月島」
主将が嫌な笑顔で僕を見る。
嫌な予感しかしない。
「どっちから言ったんだ?」
白々しいほどの笑顔。
他のメンバーも静かになって僕を見てるし、言うしかない状況。
…もうバレてんだし、どうなっても一緒か。
「……僕からです」
「「………」」
「ウェーーーイマジか!!!!!!」
「マジでお前から?!やべー!!」
「想像つかねーー!!」
「俺知ってたからな!!お前がマイちゃん好きなこと!!」
「あー!月島赤くなってる!」
「うわっマジだ!!」
想像通りの反応。
もう言ったんだからホントほっといてよ。
バシバシ背中を叩かれまくっていると、烏養さんがこっちに寄って来た。
「お前ら何騒いでんだ!!早く飯食え!!」
「「ウィーーース!!」」
結局、お昼休憩中にマイに返信を打つことは出来なかった。
マイと付き合うことになって数日。
なんの発展がある訳でもなく、日は過ぎて行く。
そりゃあ1週間ちょっとなんだし何も起きないのが普通なんだけど、マイは特に鈍いみたいで以前と関係は全く変わらない。
普通にお昼ご飯を食べて、喋って、たまに途中まで一緒に帰って。
今まではそれでも良かったけど、あくまでも恋人同士なんだしもうちょっと何かあってもいいと思う。
でもって今日は土曜日だから、部活の練習。しかも練習試合。
マイはバイトだし全然予定が合わない。
「月島!ぼーっとしてんぞ!」
「あ、ハイ…」
澤村さんに窘められる。そんなにぼーっとしてたかな…
また春高に向けて士気が高まりつつあるし、ムシムシした体育館がすごく居心地悪い。
もうお昼だし、マイのバイト先も忙しい時間かな。
そもそもあの店昼間も営業してんの?
何かとマイには謎が多い。
ていうか、僕はマイのことを正直あんまり知らない。
お互い自分の事をペラペラ話すタイプでもないし、知っていたとしても周知の事実ばっかりだ。
『お互い知られたくない事ぐらいあるでしょ?』
なんて前に漏らしていたから、あんまり深く入り過ぎない方が良いのかもしれない。
色々家庭事情が複雑みたいだし、気にならないといえば嘘になるけど、マイから話して来るまで僕からは聞かない。
「月島ナイッサーーー!!!」
サーブが回ってきた。
今はこっちに集中しないと。
++
「よし、休憩ー!」
「「アァーーースッ!!!」」
1時を過ぎて、やっと休憩。
みんなスタミナ馬鹿だから、練習後だと言うのに煩い。
僕なんかよりテキパキ動いて、昼食の準備をしている。
ちょっと前からマネージャーに仮入部で谷地さんが加わって、そういう準備なんかは捗るようになってるみたいだ。
「ツッキー、今日なんか疲れてる?」
「…いや別に。普通」
「そっか!先輩たちも食べはじめてるし、俺たちもご飯食べよう!」
「うん」
山口が気を使って話しかけて来る。
それはとりあえず置いといて、僕は山口を横目にいそいそとメールを開いた。
新着は一件。
「マイとメール?」
「まぁ」
「仲直りしたんだね!よかった〜」
「そもそも喧嘩してないんだけど」
「あれ、そっか!そうだね!」
山口に生返事で答えながら、マイの本文なし画像だけのメールを開く。
「……」
「…え?なにこれ?」
山口が反応に困るのも無理はない。
謎の人参がまな板に置かれただけの写真。
なにこれ。
これから料理に使うとかそういうの?
「えーなんだよこれー!」
「うわ?!」
人参の写真を見つめていると、後ろから菅原さんが覗き込んでいた。
人の携帯勝手に見るってどうなの。
「あいつらが 月島、例のマイちゃんとメールしてます!って言ったから見にきたのになんだよ人参かよ〜つまんね〜」
「勝手に覗かないでください」
あいつらとはきっと2年生2人。
視線を向ければ、ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「マイちゃん中々意味不明なことすんな〜。これで料理でも作りますってか?」
「…さあ」
「僕の為にご飯作ってくれんの?って返信しろよー」
「嫌です。ていうか見ないでください」
「なんでだよ〜愛しの彼女だろ?」
「え」
菅原さんがニヤニヤしながら見てくる。
なんで知ってんの…山口にしか言ってないのに。
山口を睨みつける。
「ヒッ?!ツッキー、俺は何も…!」
「えっ、月島図星か?!」
「……」
しまった、墓穴掘った。
「おーい大地ーーー!!月島やっぱマイちゃんと付き合ってるらしいぞーー!!」
「マジでか?!!」
「チョット、声大きい!」
菅原さんが叫ぶと、案の定みんなが集まってくる。
くそ…
「マジでか月島ァ!!」
「やっぱりそういうことかよ!」
「あぁー!マイちゃん結構可愛いだけにスゲェ腹立つ!!」
「ちょっ、田中さん西谷さん、痛い!」
「月島マジなの?!月咲との写真とかねーの?!」
「…君までなんなの!」
「月咲は及川さんのじゃなかったのか…?」
「王様意味わかんないこと言わないで」
よく分かってないのに王様や日向まで加わる。
ほんと面倒くさい。
だからここではバレたくなかったのに。
「なんの騒ぎ?」
「「きっ、潔子さん…!!」」
「おー清水!月島に彼女がいるらしいぞ!」
「そうなの?」
「しかもあの月咲!」
「えっ…そうだったんだ。仲、良さそうだったもんね」
「つ、月咲さんって…?」
主将が清水先輩を呼び止めると、後ろにいた谷地さんも反応した。
谷地さんはマイのこと知らないんだっけ?
なんでもいいけど、早くこの話題終わってほしい。
「月咲マイちゃん。仁花ちゃん知ってる?」
「あ、ははははい!!知ってます!あの、学年トップの美人の、あの…ちょっと怖そうな…」
「怖そう?」
「ハヒィッ!ごめんなさい!!怖そうというか、なんというかオーラのある可愛い方ですよね?!」
「えっ、てかあの子そんなに勉強できんの?!」
「俺も同じクラスですけど、勉強出来るってレベルじゃないほど良くできます…」
「オーラ…たしかに…」
「怖そうじゃなくてマイちゃんは怖えよなぁ?!月島!」
「…肝が座ってるだけです」
ああそうか、マイは頭がいいからそれで有名なんだ。
オーラがあるっていうのは認める。意味わかんない女王様節とか。
「皆さんは、月咲さんとお知り合いなんですか?」
「ああ、たまに来てるしな」
「初っ端から大地に怒られてる問題児だし」
「俺、あの子すごいとは思うけどちょっと怖い…」
「旭さんあんな奴にビビってんすか?!」
「あんな奴って何ですか」
「おっ!?月島が庇った!」
「ラブラブかよこのヤロー!!」
「…そんなんじゃないです。もうほっといてください」
せっかくなんか返事しようと思ってたのに、先輩たちが次々に被せてくるからそうする暇もない。
ましてやバイト終わってから時間あるか訊くタイミングすらない。
最悪だ。
マイのことを隠したいわけじゃないけど、騒がれるのは面倒くさいし嫌だ。
「てかなんで付き合いだしたんだ?どっちから?」
「お世辞にも月咲も月島も良い性格だとは言えないからなぁ…」
「どっちも悪いからいいんじゃないすか?」
「おお!中和か!影山たまには良いこと言うな!」
「うっす」
「王様黙って。なんで誇らしげなの」
「で、月島」
主将が嫌な笑顔で僕を見る。
嫌な予感しかしない。
「どっちから言ったんだ?」
白々しいほどの笑顔。
他のメンバーも静かになって僕を見てるし、言うしかない状況。
…もうバレてんだし、どうなっても一緒か。
「……僕からです」
「「………」」
「ウェーーーイマジか!!!!!!」
「マジでお前から?!やべー!!」
「想像つかねーー!!」
「俺知ってたからな!!お前がマイちゃん好きなこと!!」
「あー!月島赤くなってる!」
「うわっマジだ!!」
想像通りの反応。
もう言ったんだからホントほっといてよ。
バシバシ背中を叩かれまくっていると、烏養さんがこっちに寄って来た。
「お前ら何騒いでんだ!!早く飯食え!!」
「「ウィーーース!!」」
結局、お昼休憩中にマイに返信を打つことは出来なかった。