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幸福論
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「おつかれサマでしたぁ」
今日も助っ人として参加していた女子ハンドボール部の部室を後にする。
慢性的に部員不足らしいけど、最初こそお声が掛かれどあたしに勧誘話はない。何故ならすぐに喧嘩するから。
やっぱりあたしはフラフラと練習相手として彷徨ってる方が似合ってるみたいだ。
都合良くその時だけ使われる、それに慣れてしまった自分にちょっと悲しくなる。
「…今日は外で食べてから帰ろうかな」
誰も一緒に帰らないから独り言。それも慣れっこ。
一人で校門に向かって歩く。
夏に向かってるとはいえ、7時を過ぎると結構暗い。
「あ、月咲さん!」
体育館の方から歩いてきたデカイ人影2つ。
黒いアホ毛と、目立つ金髪。
「山口くん。と、月島」
「お疲れ様!今日も助っ人やってたの?」
「うん。ハンド部最近、派遣要請多し」
「そうなんだ、大変だね…怪我とかしない?」
「するわけ無いじゃーん、あたしだよ?」
「それもそうだね!」
山口くんと喋りながら歩いている間、月島は無言で一歩前を歩いてる。
一人の時はよく喋る癖に、山口くんがいるとあんまり喋ってこない。天邪鬼か。
しばらく歩いて、坂を下った所で山口くんが立ち止まる。
「あ、俺今日も行くとこあるから、ツッキー先に帰ってて!」
「…あ、そう」
「何?自主練?」
「うん、ちょっとね」
「そっか、頑張ってー」
それじゃまた明日ね!と言って、山口くんは別の道に逸れていった。
月島と二人、街灯の下に取り残される。
…気まずい。
「ねえ、月島は…」
「……」
「自主練とかしないの?ないの?」
「……」
「…なに無視してんの?あたしを無視するなんて度胸あるよねー」
無反応。そしてあたしを見下ろして突っ立っている。
「ちょっと、聞いてる?聞こえますかぁ?耳ないのかなぁ?」
「……マイ」
「…は?!何?!」
突然名前呼びされるから、びっくりして変な声が出てしまった。
黙りこくってたと思ったら何だ!!
「僕さ、君になんて言ったっけ?」
「ハァ?今日何も言ってなくない?」
「…今日じゃなくて」
今日じゃなくて?
なんか言ってたっけ…
……
あ゛っ!!
「月島じゃなくて、蛍って呼べってやつ…?」
「……」
「月島」
「……」
「………蛍」
「ナニ」
月島がしたり顔でニヤニヤこっちを見た。
何?それが何なの?ちょっとむかつく。
「つきし…蛍は、自主練とか無いの?」
「別に無いよ」
「しなくていいの?」
「うん」
話を本題に戻すと、月島の顔は元に戻った。
あたしは部活をちゃんとした事がないから分からないけど、人によって練習に対する態度は全然違うもんなんだと実感する。
正直あたしと月島は似た者同士だと思う。
一時の部活なんかに熱心に取り組むっていう概念があまり無いのかもしれない。
「じゃあ上手なんだ?」
「それなりにソツなくこなせる程度には」
「へぇ、ソツなくねぇ…」
「君もそうデショ」
「まぁね」
大体のことが器用にできるから、何事も熱心に取り組めない。
そして周りとの温度差が出来る。
あたしのいつものパターンだ。
立っていてもしょうがないから、ゆっくり歩き始める。
横に並んでるけど、距離はさほど近くない。
その中を梅雨前の生温い風が吹いて、二人で歩いてる違和感がより強烈な感じになった。
お腹すいた…
「…練習ないなら、今から暇なの?」
「帰るくらいしか予定ないケド」
「じゃあお腹空いたからご飯食べてこ」
「…お好きにどーぞ」
月島の珍しく快い返事。予想外すぎて思わず聞き返しそうになった。
別に一人で食事するのが嫌なわけではなかったけど、なんとなく、月島を誘う気になった。
友達と学校以外で初めてご飯。
ちょっと、嬉しい。
月島の大きな歩幅に合わせるよう、小さなあたしの足が弾んだ。
「おつかれサマでしたぁ」
今日も助っ人として参加していた女子ハンドボール部の部室を後にする。
慢性的に部員不足らしいけど、最初こそお声が掛かれどあたしに勧誘話はない。何故ならすぐに喧嘩するから。
やっぱりあたしはフラフラと練習相手として彷徨ってる方が似合ってるみたいだ。
都合良くその時だけ使われる、それに慣れてしまった自分にちょっと悲しくなる。
「…今日は外で食べてから帰ろうかな」
誰も一緒に帰らないから独り言。それも慣れっこ。
一人で校門に向かって歩く。
夏に向かってるとはいえ、7時を過ぎると結構暗い。
「あ、月咲さん!」
体育館の方から歩いてきたデカイ人影2つ。
黒いアホ毛と、目立つ金髪。
「山口くん。と、月島」
「お疲れ様!今日も助っ人やってたの?」
「うん。ハンド部最近、派遣要請多し」
「そうなんだ、大変だね…怪我とかしない?」
「するわけ無いじゃーん、あたしだよ?」
「それもそうだね!」
山口くんと喋りながら歩いている間、月島は無言で一歩前を歩いてる。
一人の時はよく喋る癖に、山口くんがいるとあんまり喋ってこない。天邪鬼か。
しばらく歩いて、坂を下った所で山口くんが立ち止まる。
「あ、俺今日も行くとこあるから、ツッキー先に帰ってて!」
「…あ、そう」
「何?自主練?」
「うん、ちょっとね」
「そっか、頑張ってー」
それじゃまた明日ね!と言って、山口くんは別の道に逸れていった。
月島と二人、街灯の下に取り残される。
…気まずい。
「ねえ、月島は…」
「……」
「自主練とかしないの?ないの?」
「……」
「…なに無視してんの?あたしを無視するなんて度胸あるよねー」
無反応。そしてあたしを見下ろして突っ立っている。
「ちょっと、聞いてる?聞こえますかぁ?耳ないのかなぁ?」
「……マイ」
「…は?!何?!」
突然名前呼びされるから、びっくりして変な声が出てしまった。
黙りこくってたと思ったら何だ!!
「僕さ、君になんて言ったっけ?」
「ハァ?今日何も言ってなくない?」
「…今日じゃなくて」
今日じゃなくて?
なんか言ってたっけ…
……
あ゛っ!!
「月島じゃなくて、蛍って呼べってやつ…?」
「……」
「月島」
「……」
「………蛍」
「ナニ」
月島がしたり顔でニヤニヤこっちを見た。
何?それが何なの?ちょっとむかつく。
「つきし…蛍は、自主練とか無いの?」
「別に無いよ」
「しなくていいの?」
「うん」
話を本題に戻すと、月島の顔は元に戻った。
あたしは部活をちゃんとした事がないから分からないけど、人によって練習に対する態度は全然違うもんなんだと実感する。
正直あたしと月島は似た者同士だと思う。
一時の部活なんかに熱心に取り組むっていう概念があまり無いのかもしれない。
「じゃあ上手なんだ?」
「それなりにソツなくこなせる程度には」
「へぇ、ソツなくねぇ…」
「君もそうデショ」
「まぁね」
大体のことが器用にできるから、何事も熱心に取り組めない。
そして周りとの温度差が出来る。
あたしのいつものパターンだ。
立っていてもしょうがないから、ゆっくり歩き始める。
横に並んでるけど、距離はさほど近くない。
その中を梅雨前の生温い風が吹いて、二人で歩いてる違和感がより強烈な感じになった。
お腹すいた…
「…練習ないなら、今から暇なの?」
「帰るくらいしか予定ないケド」
「じゃあお腹空いたからご飯食べてこ」
「…お好きにどーぞ」
月島の珍しく快い返事。予想外すぎて思わず聞き返しそうになった。
別に一人で食事するのが嫌なわけではなかったけど、なんとなく、月島を誘う気になった。
友達と学校以外で初めてご飯。
ちょっと、嬉しい。
月島の大きな歩幅に合わせるよう、小さなあたしの足が弾んだ。