亀裂と決断
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一方その頃
「…………おい……
なんで小十郎が茶淹れてんだ!!!」
獣のように小十郎に吠える政宗に、小十郎は呆れ気味に息を吐いた
「聖夜が傍に居ると、政宗様はすぐに政務を怠るでしょう」
「だからってな…!」
「(怠るという事を否定されないのか…)」
ずん、と小十郎の頭に小さな衝撃が走った事に気付かずに、政宗の不機嫌さは更に増す
「聖夜様なら、稽古場に居られますよ」
「「…………」」
いつ現われたのか知れない、にっこりと笑う喜多に2人は一時停止した
もっとも、停止した理由は喜多の出現ではないが。
「っ…本当か喜多?!」
「あ、姉上?!」
「はい。喜多は嘘は申しません」
にっこり
喜多の笑みに、2人の言いようの無い悪い予感が募る
「………小十郎…」
「…な、なりません政宗様」
ごほん、と、小十郎のわざとらしい咳払いが響く
「…Ha…休憩がてらに稽古だ!
You see?!」
「政宗様!嘘が筒抜けです!」
素早く政務室を飛び出した政宗に続き、小十郎も慌てて飛び出した
喜多は、と言うと
「うふふふふ…聖夜様が来てから、楽しみが絶えませんわ~~」
策士の顔をしていた
――――――……
「いいか、俺が勝ったら
聖夜を俺の下僕にする」
『なんて?!』
ちょっと待て、今なんて言ったこいつ!!!
「じゃあ俺が勝ったら…
聖夜さんに1つ、お願いを聞いてもらうかな」
『鬼庭さん頑張って!!!』
決して良いとは言えないけど!
でも下僕よりは数倍マシだ!
「あっ、てめ、何で綱元応援してんだ!」
『成実応援してどーすんの?!』
この状況で成実応援したら、私、変態だよ!
「んぐ…」
「成実、」
「あ?!」
「さっさと始めるぞ」
「あー………おう」
他の兵士さん達は皆、2人を食い入るように見ている
…やっぱり凄いのかな、この2人の、真剣勝負。
ぴりぴりとした空気が、自然と身を竦めた
「「………………ッ!!!」」
刀の音が、耳を休ませることなく続いて
金属音の他に聞こえるのは、2人と、周りの兵士さん達の息を洩らすだけの小さな呼吸で
ぞわり、と身体を震わすのは、
「…何やってんだ、お前ら」