視線だけをそちらに移すと、未だに下臣達に囲まれた聖夜が見えた

つまんねぇ
おもしろくねぇ

玩具を取られたような気分でその光景を見つめていると、成実が近付いてきた


「梵、どうしたんだよ」

「…アァン？何がだ」

「…機嫌。悪そうだからさ。酒、足りねぇの？それとも、

聖夜取られて、つまらないとか。」

「…………」


こいつ…絶対わかってて言ってんだろ…


「…図星。」

「うるせぇ」


成実の頭を軽く小突くと、小十郎が目を見開いていた


「…どうした?小十郎」

「いえ…政宗様にされては珍しいと思いまして」

「……お前もかよ…」


小十郎と成実にうんざりしながらまた視線を戻そうとすると
突然、どさり､と何かが俺に倒れ込んできた

「ぅおっ！」


とっさに猪口を離して両手で抱き止めると、その正体がわかった




聖夜だ



しかも、見ただけでわかるくらい酔った



「おい…聖夜…？」

『ふぁい……のえるれすへろ…』


酔い過ぎだろ!!!


「え、これ…の…聖夜？ほんとに？」

成実が聖夜を指で突く
…何してんだお前


『ぅ…?しげざねだぁー！』

「あ、聖夜だ…」

『しげざねーっ、ぅゆっ』

「……………梵……」

成実の首に腕を回そうとした聖夜の着物の襟を掴み、自分の元へ戻した
成実が呆れた顔をしてるが、知るか。


「…おいおい、誰だよ、こいつに酒こんなに飲ませたの」

「す、すみません成実様…酔った良直が、聖夜さんに徳利ごと………一気に」


そりゃ酔うだろ!!!!!!
寧ろよく生きてんなこいつ！


「お前らな………はぁ…政宗様、聖夜は姉上に任せて参ります。
おい聖夜、行くぞ」


そう、小十郎が聖夜の肩に触れた時