変換なしの場合【北斗七星(ホクトナナセ)】になります。
01
---Dream---
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「ねぇキミ!サッカー部どう?!」
『――えー、と』
この掛け声も、今日で何十回目だろう。
そう思いながら勧誘を断り、またゆっくりと歩き出す
『正門から校舎までって、こんなに長かったっけ…?』
「仕方ないですよ。今日だけは」
『職員室まで辿り着けるかなあ…』
―――私立誠凛高等学校。
2年前に出来た新設校であり、上級生は2年生だけ。
その為、この春入学した俺達1年生は、部の活性化に逃せない人材であるわけで―
「ラグビーどう?!」
「将棋とかやったことある?」
「日本人なら野球でしょ!」
「水泳!超気持ちいいよ!」
『…はあ』
「…大丈夫ですか?」
心配気に自分の顔を見つめる隣の人物を、同じように見つめる。
2人並んで歩いているというのに、先程から勧誘がくるのは自分にだけ。
何度断っても、また次の部活勧誘が押し寄せて来るのだからキリがない。
対し、自分の隣で本を読みながら歩く彼には一切それはなし。
『…心が挫けそうだ』
「もう少しですよ、…ほら、抜けました。」
『あ』
人で埋め尽くされていた道はそこでやっと途切れ、
視界の先には満開の桜並木と綺麗な校舎が見える
『うあーっ!長かったあー』
「よかったですね」
『ん!じゃあ、いってくる』
「終わったら、正門で待ってます」
手を振って、1人校舎へと歩き出す
明日から此処での高校生活が始まるんだと、頬が緩んだ
『―…よろしくね、誠凛』
第1Q
違いますよ
『先生話長いんだもんなー』
ぐったりしながら、手中にある新入生代表の挨拶と、諸々の書類を見る
彼を待たせているのは決定的だから、足早に、大分人が少なくなった道を歩く
そして突然、ぶつかった
『っ!あっ、』
バランスを崩した両足は、そのまま俺の上体を地面へと傾かせる
腰を強打するかと思い、思わず目を瞑ったが
『……、?』
衝撃が来ない―
どころか、安定している
「大丈夫か」
ゆっくり目を開くと、視界いっぱいに人の顔があった
『…うん』
「悪かったな」
それだけ言うと、俺の腰に回されていた腕を抜き、彼は歩き出していった
『…見事な威圧感だこと。』
2年生だろうか。
なんとなく、誰かに似てる気がした。
『…あ、やべっ、待たせてんだっ…た、』
振り向いた先には、やや不機嫌そうな
「…何してるんですか」
『はは…ごめん』
「迎えに来て正解でした」
『心配性だなあ』
「当たり前です。
怪我とかしてませんか?」
『だいじょーぶ大丈夫。帰ろ』
「………」
『……?』
立ち止まったままの彼を、見やる
いつになく真剣な目は、まるで彼じゃないようで、
「書いて、きました」
『…うん』
「…僕は」
「――入部届!集め忘れてるよ」
「え?いけない、えーっと…
黒子…」
『…テツヤ?』
「と、もう1人…
北斗…」
「七星くん、
僕は、君のバスケ部入部には、反対です」
「…って
2人とも、帝光バスケ部出身!?」
「はっ?!2人?!」
「しかも今年1年ってことは、【キセキの世代】の?!
あーなんでそんな金の卵の顔憶えてないんだ私!さっきの奴はアメリカ帰りだし…
今年1年、ヤバい?!」
翌日。面倒な入学式やHRが終わり、早速部活に向かう生徒や帰宅する生徒がいる中
俺はまた、職員室に居た
『はーやーくーぶーかーつ、いーきーたーいー』
「お前の手続きをしとるんだろうが」
『そんな丁寧にしてもらわなくともだいじょーぶですってー』
「申請書破棄してやろうか?」『すみませんお願いします』
「ほら、これで完了だ。いっていいぞ」
『よっしゃぁ!失礼しましたーっ』
「廊下は走…、…ったく」
急いで体育館に向かうと、中から女子の悲鳴が響いた
『…なにこれどーゆー状況?』
コートの真ん中に並ぶ、上半身裸の同級生達。
その中には、昨日俺がぶつかった人もいた
『(1年だったんだ…っていうか、同じクラスだったっけ?)』
今日は朝から先生達からの呼び出しやらなんやらで、まともにクラスにいなかったからなぁ…テツヤと同じって事しか知らないや。
少し視線をずらすと、ちょうど、見つけた
『テツヤーっ!』
「七星くん」
「七星、って…あ、新入生代表やってた…」
「遅かったですね」
『手続き、ややこしくて。』
歩いてテツヤの隣まで行くと、先輩達が俺を凝視している
『すみません、遅れました。
帝光中出身、北斗七星です。よろしくお願いします』
「え?あ、ああ!
相田リコです。よろしく!
(制服の上からでハッキリわからないけど…
体格は…あまり、よくない…?)」
「2人とも…帝光中、なんだよな」
『?はい』
「すげー…ホンモノのキセキの世代…!」
『あ、
俺は違いますよ』
「「「?!」」」
「ち…違う、って?」
『え?あれ?テツヤ?』
「…すみません。
そういえば、出身中学しか書いてません」
『うそぉ!?』
「レギュラーじゃなかった、ってことか?」
『ああ、いや、違くて…
そもそも俺、選手(プレイヤー)じゃないです』
「「……
はいぃっ?!」」
『帝光中学バスケットボール部、
1軍‘マネージャー’
北斗七星です。
マネージャーとして!
これからよろしくお願いしますっ!!』
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