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「ほら、お前も早く座れ」
「岬!」
「……」
腕を広げて来る臨也を視線とで制すと、肩を落としながら席に着いた。
平和島から一番離れた席に。
「…お前らどんだけ仲良くないんだ」
「いつも言ってるじゃないか岬。
俺とシズちゃんは相容れないんだって。
何年犬猿の仲だと思ってるのさ」
淹れたコーヒーを飲みながら、臨也は眉を潜め平和島を見る
しかし当の平和島は、先程から何も発しない
「……平和島?」
「あ、いや…」
その声はどこか不安げで
「(ああ…自分の嫌いな奴が、いつも来る店の常連だったことがショックなのか)」
臨也は自称情報屋らしく、その職業柄か昼間は滅多に来店しない。
だから、閉店した夜中に酒やコーヒーを飲みながら毎度“シズちゃん”の愚痴やらを聞くのが常だった。
もう何年になるだろう、ある日ふらりとこの店にきて、嫌味な笑みを浮かべていた臨也が懐いてくるようになったのは。
「…岬、今日泊まっていい?」
「無理」
「相変わらず厳しいッ……」
臨也が机に伏す
「そろそろ閉店だ」
そう言いながらゆっくりと照明を落としていく。臨也は溜め息を吐くとカップを下げて、ごちそうさま、と囁いた
「またね、岬」
ああ、と返すと、黒いコートを翻して臨也は店を出た
カップを片付けて、売り上げの計算をしている間も、平和島はぼうっとしている
「……平和島、」
「!っ、すんません」
「いや、構わないけど…大丈夫か?」
「あー…なんつーか、ごっちゃになって」
無意識だろうか。眉が下がっている。
「……明日も来いよ」
いつのまにか、そんなことを言っていた
このままでは駄目な気がして。
すると、平和島は一瞬目を丸くしたかと思うと、
「明日は何食おうかな」
と言って笑った。
「…………」
店の外で、静かな殺意を燻る臨也。
邪魔者が増えたことだけでも腹立たしいのに、それがあの殺したくて殺したくて堪らない平和島静雄とは。
人間じゃないくせに人間ぶって。
加えて自分のテリトリーを荒らしてくる。
なんて煩わしいのか。
ただ、下手に動けば岬に気づかれてしまう。あの人は勘が鋭いから。…それに
「(随分気に入られてるみたいじゃないか……シズちゃん)」
今すぐ殺してやろうか、とナイフを取り出して、ふとある考えを思い付く。
それに笑みを浮かべて、臨也はそのまま軽やかに歩き出した
楽しみだなぁ、楽しみだなぁーー…
(烏が告げるのは災厄)