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やぎりウルフ



学習塾と言ったけれど、事実そこは廃墟となっていて、肝試しに使われそうなボロボロなそこには、立ち入り禁止のテープが張られていた


「……阿良々木くん」

「…ごめんなさい説明不足でした」

朝霧が不審…不信そうな目で僕を見る

「いえ、まあ、…ここまで来たら何があっても気にしませんけどね」


すたすたと僕の前を進んでいく朝霧。なんというか、かっこいいぞ。



【何ダカ敗ケタ気ガシタ】



「ほら、阿良々木くん…案内してください」

「あ、ああ…――」


外観だけではなく中までボロボロな学習塾を進んで階段を上がる
そして、四階。



【忍野メメハ】
【相変ワラズ】
【其処ニ居タ】


「―――やあ阿良々木くん。随分早かったじゃないか」


まるで僕が来る事をわかっていたかのようにそう言う忍野を見て、朝霧は一歩後退った


【齢頃ノ女子高生ナラ】
【普通ノ反応ダロウ】



忍野を警戒の目で見る朝霧に、忍野は


「―――ふうん?」

と、呟いた


「本当に阿良々木くんは怪異に遭うのが好きだね。その子で何人目だい?」

「別に好きなわけじゃないしその言い方はやめてくれ。朝霧にあらぬ誤解を招くだろ」

「大丈夫ですよ阿良々木くん。貴方の悪業は知っていますから。
女の子をとっかえひっかえしては雑巾のように扱われて喜んでいるのでしょう。」

「朝霧の中で僕はいつからそんな残念なハーレムキャラになってるんだ?!」


【ソレニソレハ】
【只ノMダ】



「まあ、プライバシーに関わるからあまり言わないけど、朝霧みたく怪異に遭った知り合い達も、こいつのおかげで助かってるんだよ」

「―知り合い達―…ああ…成る程そういう事だったんですか」

「?」

「…大丈夫ですよ、誰にも何にも私は関わりませんから」


そう言って、朝霧は僕の前に出る。忍野をじっと見つめる


「――初めまして。忍野です」

「初めまして、朝霧夜霧です。
忍野さんは―これの、専門家だと聞いたのですが。
私が助かる手助けを、してくださるんですか。」


朝霧がそう言うと、忍野が一瞬目を丸くさせた後、にんまりと笑う


「はっはー。何だかお嬢さんとは気が合いそうだ。
どうだい、今度僕とゆっくり話でもしようじゃないか」

「それは後回しにしていただけますか」

「はっはー、そうだね。
うん――――そうだよ。

僕は君を助けることはしない。
ただ君が勝手に一人で助かる為の、まあ手伝い―アドバイスをするだけだ」

「ええ。それで充分です。ありがとうございます」

「それで君が助からなくても僕には何の関係もない」

「ええ。それで充分です。ありがとうございます」



【々箏ヲ】
【繰孵シタ】




「じゃあ――
    本題にいこうか」

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