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やぎりウルフ



談話しながら校門まで歩く、すると、隣にいた朝霧がぴたりと立ち止まった。
軍人のように、ぴたりと。
校門の線の所で。


「朝霧?」

「…阿良々木くん、やはり、先に帰っていいですよ」

「は…?おいおい朝霧、だからそんな遠慮するなよ。」

「いえ…遠慮は、してないんですよ。」

「じゃあ、どうしたんだ?」

「忘れ物をしていたんです」

「忘れ物?じゃあ待ってるから、「阿良々木くん」っ」


それまで普通に――普通に発せられていた声音が、一転した。

怒気を含んだような、人を突き放すような冷淡な声。
それはまるで、



【斬リ離シテイタ時ノ】
【戰場ヶ原ヒタギノヤウニ】




「前を向いてくれますか
絶対にこちらを向かないでくださいね、その両目が失明に陥りたくなければ。」

「……」

意味がわからない要望だったが、とりあえず、そのまま応える

なんだ?これ……。
何か、何故かこのままではいけない予感がする。
それは、今迄怪異に遭ってきた為についてしまった本能的な直感だろうか。


「―…今日はありがとうございました。久しぶりにとても楽しい時間でしたよ。」

「…朝霧」

「見ないで…くださいね」

「朝霧、悪いな。


僕は見るなと言われたらどうしても見てやろうと思う奴なんだ」


勢いよく振り向き、飛んできた数本のペーパーナイフを全て避ける


【朝霧ハ】
【曲芸師カ何カナノダロウカ】



そして、驚愕する。
いや、どこかで予想はしていたのだが。
それでも、朝霧が潰そうとした両目を見張る。食い入るように、視界に映す。


校舎に戻ろうとしていた朝霧の体は学校灯に照らされていた。

けれどきらきらと反射して光るそれは、朝霧の髪だけではなく




【齦色ノ】
【獸耳】
【尻尾】
【兩眼】



まるで それは





【 狼 】



だった



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