05
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…お父さん。
僕ね…八雲の隣に、いるよ。」
頭上の青空には雲が拡がっている。
いつか3人で見上げた空。
今までは、どこかくすんでいたのに。
「…赦してくれる?」
こんな時、見えないことが少しだけ残念に思ってしまう。不謹慎、だけど。
「そっちは…どう?お父さんの好きなもの、たくさんお供えするからね。あ、もしかして好み変わってるかなあ?
八雲と奈緒に聞いておくね。」
1人でぽつぽつと喋るのは、こんなにも空しかったかな
そう考えて、墓石に手を当てた
…ふと、八雲に会いたくなる。
「…やくも、」
「なんだ」
「うわぁ!」
いつのまに後ろに!!
驚いた拍子に体勢を崩してしまった僕を見て、八雲がくつくつと笑う
「もうっ、危ないよ、八雲」
「危ないのはお前だ。ぼうっとして。
何回も呼んでたのに気づかなかったろ」
「えっほんと!?ごめんね!?」
「嘘だ」
「…怒るよ八雲」
「怒るのか?」
そう言って、ふくれた僕の頬に八雲がそっとキスをする
「ぅ。や、くも、ってば…」
「キスでそんなに赤くなってて大丈夫なのか?
そろそろ抱き「うわあああああ!!」っふ、くく……!」
「お父さんの前で何てこと言うの!」
「出雲、かわいい。」
「かわいくないっ」
「愛してる」
「~っ、」
「…愛してる。出雲。」
きつくきつく僕を抱きしめてくれる八雲が愛おしい。
八雲の低くて優しい、落ち着く声が、僕の名前を呼んでくれる
くすぐったくて、幸せな言葉を紡いでくれる
「ふふ…、うん。
愛してるよ。八雲…これからも、ずっと。」
「当たり前だ」
「相変わらず、照れるとそっぽ向くんだから。」
「うるさい。ほら、もう帰るぞ」
「…うん。行こっか」
あのね、八雲。
八雲が差し出す手のほうに、未来が在るような気がしてるんだ。
だからもう離さないから。
八雲が差し出す手を、僕はもう、拒まないから。
そしていつか僕も手を差し出すから
だから、2人で。
これからまた、2人で歩んでいこう。
僕達の背中を、優しく押してくれるひとたちがいるから。