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「2人で叔父さんのもとに引き取られて、母を失った代わりに出雲を手に入れたと思った。これからは2人で過ごせる、約束だって叶えられる、そう信じていた。
だが…中学に入った頃から出雲が僕に寄り付かなくなっていった。
…あの男が言っていた。
≪出雲が考えそうなことだ。
10年前から何を調べているのかと思っていたが、
私のことを調べた挙句、私の企みまで予想するとは。
やはり奴も私の息子だということだ。
私の考えがわかるのだから…。
しかし健気だな、渡米してお前と離れることで2人の息子の存在を眩まそうとしたのだから。≫
僕は、…それまでずっと憎んでいた。
約束を破ったことも
自分ひとり逃げ出したことも
すべてを僕に押し付けて、出雲はいなくなったんだと。
それが、馬鹿なアイツが、僕を護ろうと考えついた決死策だったなんて知らずに。
アイツが、僕にあの男のことや自分たちのことを知られてはならないと隠してきたなんて知らずに。
だから6年前、何も言わずに、誰よりも寂しがり屋で臆病で泣き虫な出雲が
―――たった1人で、僕のために、独りになった。」
どれほど怖かっただろう
ろくに言葉も通じない異国に1人
それでも6年間、僕から離れることだけを考えて
帰る場所を自ら消した
「……八雲くん、行って。」
それまで黙って聞いていた晴香が静かに告げる
「お…おい晴香ちゃ「行って!!
それともまた、出雲さんを失ってもいいの…?!」」
「…っ、そんなわけ」
「だったら!!もう終わったんだから…!
もう全部終わったんだから、いいじゃない…!
もう、2人が笑えるようになっても、いいじゃない…!!」
これ以上、誰が苦しまなきゃいけないのだろう。
そんな言葉が、晴香の頭の中を埋め尽くした。
出雲の後を追いかけて行った八雲の背を見つめる晴香に
「…よかったのか」
「…聞かないでください。」
誰か責めてください。
何も知らずに貴方の隣に居ようとした私を。