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僕と出雲は生まれつき赤い目を持っていた。
僕は左目、 出雲は右目。特異な子を持つシングルマザーの母親同士は偶然か必然か、家が近所だった。
お互い心の拠りどころが欲しかったのだろう。
母親同士が一緒にいることが多かった為、僕と出雲は双子のように育ち
物心がつく頃には、友情なんてものではなくなっていた
母親と同じように、僕たちもまた、同じ境遇に心の拠りどころを求めていたのだから。
幼心に「ずっと一緒にいる」という誓いを交し合い
性別だとか、自分たちの目のことだとか
そんなこと微塵も気にせずに
友人以上で、家族のようで、特別な、存在。
「ねぇ八雲…クラスの子達は…僕たちのこと、とても気味悪そうに見るね…?」
「この目のせいだろ…、!まさか何かされたのか?!」
「なっ、なにもされてないよ!平気っ!
その、ただ…っ、もしかしたら僕たちは、なにかおかしいのかな…って…」
幼少時に許されていた僕たちの関係は、小学校にあがった頃から奇異の目で見られていた
それは、何も言わずともわかる、否定の目。
「大丈夫だ、出雲は僕が護る」
「…うん」
きっと出雲はあの時から不信感を抱いていた。
この関係が良くないと。別の道を選ばなければならないと。
だから、
「――だから僕は八雲から離れた。
…僕には八雲しかいなくて。きっとだから、八雲もそれに合わせてくれていたんだと思う。
ただの幼馴染ってなんだろう。僕は八雲が大好きで大好きで、大切で。八雲がいればいいって思っていた。
八雲が護ってくれる。八雲が僕を必要としてくれる。八雲が僕を、好きでいてくれる。それだけでいいと思ってしまっていた。
…でもね。
わかっちゃったんだ。知ってしまったんだ。」
「出雲、聞いて。男の子同士ではね、結婚なんてできないの。
好きになってはいけないのよ。」
「ゃ…八雲を、好きじゃいけない…?き、嫌いになるってこと…?」
「…そのほうがいいわ。だって、
あの家族だって…!」
「…僕はね、八雲と遠い親戚で…腹違いの子供にあたるんだ。
皮肉、だよねぇ。だって家族になんてなれないのに、父親は同じで、家族みたいなもので、
なんで八雲のお母さんだったのかなぁ
なんで僕のお母さんだったのかなぁ
なんで父親があんな奴なんだ、って
おかしいよね、八雲のお母さんはあの男と異母妹だったのに。
奈緒のお母さんとの愛なんて無かったのに。
僕のお母さんは、あの男とただ親戚だっただけなのに…!」
どうしてどうしてどうして。
あの男の目を綺麗だといったばかりに
母は僕を身籠ってしまった
それを全て聞かされたとき、知ったとき
(ああ、僕じゃ駄目なんだ)
(僕は八雲の隣に相応しくない)
(いつかこれを八雲が知ってしまったとき)
(僕は八雲になんて顔で)
(なんて言葉を伝えればいいの)
「…わからなかった。
いつもいつも僕を安心させてくれる八雲に、僕はなんにもしてあげられない。
そのとき、梓さんが失踪したと聞いて
…八雲を殺しかけたと聞いて。
…自分も同じになるって思ったのかな
梓さんの失踪の翌日、僕の母も失踪したよ。」