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「それでまあ、この力を使ってアメリカの事件を解決していたわけで…気づいたら警視正に…」
「気づいたら、でなれるもんじゃねーよ。警察内トップ4くらいだろうが」
「や、あんまり、気にしてなかったから…」
「…6年前から健康なまま成長していれば、身長は少なくとも彼女よりは高いはずだ。それに顔色も良いとはいえない。さっき右手を握ったが…まるで骨と皮だけだ。
寝食をちゃんとしていたとは到底思えないな。」
「(す、凄い保護者っぷり?!)」
「相変わらず八雲の観察眼はすごいね」
照れくさそうにする#出雲に対し、八雲の目は鋭く、眉間に皺はよるばかり。
「6年間没頭したおかげかな、未解決だった事件も減って…
上司に、もう十分だって。そろそろ母国に帰ってゆっくりしろって言われてしまって…
あ、ちなみに彼はルシアン・セルヴィといって、アメリカで6年間僕の護衛をしてくれた人でね。
その、銃社会には僕は馴染めなかったというか…」
「だろうな。ぴーぴー悲鳴を上げるお前が目に浮かぶぜ」
「あはは…」
「へぇ…6年間、出雲の傍に……?」
「や、八雲くん…?」
「?…八雲?」
「一番肝心なことを聞いていない。…出雲。
お前はどういうつもりで僕の傍を離れた。」
ぐ、と出雲の息が詰まる
「……それは…
……僕は、八雲の傍にいては…いけないと思って、」
「ッお前はまだそんなことを!!」
八雲が立ち上がり、出雲の前に身を乗り出す
「わかってよ八雲っ!!
後藤さんも覚えているでしょう?僕たち2人はいつも一緒で、お互いがお互いに固執していた、このままじゃ駄目だと思った…!
八雲にはきっとわかってくれる人が見つかる、だからそのときは八雲もその人と向き合わなきゃならない。
そのためには僕がいなくならなくちゃ、きっとそれぞれ踏み出せなかった!」
「だからって絶縁状態にまでなる必要はなかっただろう!僕が6年間どれだけ…!
どれだけお前を捜していたと思ってるんだ?!
確かに僕のことをちゃんと見てくれる人ができた!でもそれは!!お前が消えなきゃならない理由にはならない!!」
「っ…少しでも八雲を想えば、1人でなんていられなくて、帰る場所を消さなきゃ、だめで…
雲海のこと、梓さんのこと…!叔父さんのこと!全部八雲に抱え込ませて本当に後悔したよ…!
でも八雲には!!
…小沢さんが、いたでしょう…?」
小沢さんの胸元で光るそのネックレスを見て、全てを諦めた。
八雲は最愛の人を見つけたんだと。
それでよかったんだ。僕なんかより、可愛らしくて、八雲をちゃんと理解してくれる――…
女の子で、なくては。
その現実を直視したくないから会いたくなかったというのもある。
もう誰にも会わずに、ひっそりと日本で穏やかに暮らそうと考えていたのに。
「…大丈夫だよ、もう。八雲は。」
あの約束なんか忘れて。
―――……
遠い昔の話。憶えているほうがおかしい。
生まれたときから一緒だった八雲と僕で、それがなにも間違っていないと信じて疑わなかったあの日々。
たった5歳の、淡い淡い約束。
「出雲は、僕が守る」
「…八雲…?」
「だからずっとずっと、そばにいろ。離れるな。
どこにも行くな。僕のそばだからな。」
「…?変な八雲…
じゃあぼくも八雲を守るよ!」
「それは無理だ」
「ひ、ひどいっ!」
「ただ、出雲と一緒にいることが…その、なんだ
僕の…しあわせ、だ。」
「…!!…うんっ。八雲、だいすき…!
約束するよ。ぼくは八雲に守られているし、八雲のそばを離れない」
「それからもうひとつ。
出雲、大人になったら、結婚しよう。」
「ッ…!うんっ…、ぜったい…
ぜったい、約束だよ、八雲…!」
―――……
最初に約束を破ったのは、僕。
でもそれでよかった。これで八雲には明るい未来が、普通の人生があるのだと。
「…幸せになってほしいんだよ、八雲。」
――本当に…心から。そう想ってるんだよ、八雲。
「出雲!!」
「さよなら、八雲」
伸ばした八雲の手を振り払って、僕は走った
世の理には逆らえない。
その想いがどれほど強くても。