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「ルシアン、今日からこの方が護衛対象だ」
「はっ、はじめまして…よろしく…お願いします」
なんて小さい日本男児だ
それとなんだその縮こまった姿勢は
どうしてそんなに笑えていない
初めて出雲に会った時、どうにも面倒な主そうだと思った。
なんでも不思議な力があるらしく、18歳ばかりのその男は単身で渡米し、こちらの警察に誘われたという
こんなガキにいったいどんな力があるのか
体格のいい黒人SPにいちいちビビるし、
発砲があるたび肩を跳ねて情けない声を出す
だが不思議とそいつは、誰からも好意を向けられた。
普通じゃそんな腰抜け、ジャパニーズ格差に誣いられて隅に寄せられる
もともとの温厚さだろうか。
それでも、笑えていない笑顔には、ただただ腹が立つだけだった
何事も無くただそいつの隣にいるだけの日々。
だがそれはある日突然に起こった
アメリカじゃよくあることだ。
謎のポルターガイストによる事件。
学者や研究員がどうやっても解決できない事件。
そんな事件を解決するために呼ばれたのが、出雲だった。
「(…初仕事、か)」
渡米してからも事件は起こらず、その間何をやっているのかどうもわからなかった
ただ毎日夜遅くまで、資料のようなものを読んでいた気がする
現場についてすぐのことだった
出雲は何かを見つけると一直線に歩いていき、静かに腰を下ろした
「…はじめまして。僕はね、出雲っていうんだ。うん、ふふ。ちょっと発音しづらいかなぁ?好きに呼んでね。
君はここで何をしているの?…うん、うん、………そう…だから、?うん、そうか、…こわかったね」
「…な…お、おい…斉藤、」
俺の静止も聞かずに、そっと、何かを抱きしめて。
そいつは、はらはらと涙を零してた
それはまるで聖母マリアのような抱擁だった。
しばらくして涙を拭き立ち上がると、出雲は捜査員のもとに歩いていく。何かの指示を受けた捜査員たちは散り散りにその場を去り、後にされたのは俺と彼だけだった
「…昔、この家に住んでた家族の男の子が、父親に虐待されてたんだそうです。結局その子は亡くなって…
元々同じようにDVを受けていた母親も、男の子が亡くなったショックから、父親を殺そうとして、射殺されてしまった。
父親はそのことを隠蔽するためにこの家から引っ越して、母親の遺体を埋め、男の子の遺体を焼いた。
男の子はどうにかして気づいてもらおうとしていたみたいです。」
「…いた、のか。」
「見えるんです。意思疎通ができて…触れることができる。…理解できないでしょう?」
ああこれか、
こいつが笑えない理由
衝動のまま出雲の頭に手を乗せると、驚いた出雲が大きな目で見上げた。
「…優しい力だ」
「えっ…セルヴィさん?」
「こんなガキにSPなんざどういうことだと思っていた。が、そうか。
お前は生きるべき人間なのだな。」
「セ「ルシアンだ」っは、い!」
「俺が護る。だからお前は、存分にその力を、使ってやれ。
その男の子のような者に。」
「ルシアン…ぼ、僕が気持ち悪くないの…?」
「はあ?…意味がわからんな。
人助けの力に嫌悪感を抱く人間のほうが理解できないだろう」
なんでもないそんな一言に
「ありがとうっ、ルシアン…!」
その一言に、見せた出雲の笑った顔を
俺は一生忘れることは無い。
―――…
「……」
「あ。おはようルシアン」
目を開けると、俺の顔を覗き込む出雲がいた
カラコンをつけていない、赤と黒のオッドアイ。
「…眠っていたか」
そういえば今日は出雲の休日で、あまり外に出ない出雲につられてあまりにもゆったりとした日を過ごしていた
「いつも気を張ってるからね。もっとリラックスしてていいのに…あ!なにか飲む?さっきアイスティー淹れ、たわぁっ!」
キッチンに向かう出雲の腕を掴む。反射に似たようなものだった。
掴んで、引き寄せて、ソファーに寝そべる自分の上に倒れこませる。
「…ルゥ?」
「ん…暖かいな」
もう少し、こんな休日を満喫しよう
「っふふ…そうだね、暖かい。」
お前の優しい心と笑顔を護れるなら。
命なんて惜しくないと笑ってしまう。
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