・ヴァリアー編・
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―――……愛吏!愛吏!おい、起きろ!目ェ醒ませ愛吏!!!
……ぼんやりとする意識のなか、そんな声がどこからか聞こえる
けれど目を開けることは億劫で…ずっとこのままで居てしまおうとする自分がいる
体が、重たい。動けなくて、動きたくなくなる。
―――……雲雀や沢田達が待ってんだろうが!
…待ってる…?
誰が…何処で…?
誰?沢田、さん?
誰?雲雀、さん?
――違う。
綱吉さま達が。恭弥さんが。
待ってる。待ってくれている。
私はそこに
帰らなきゃ。
『……………、!』
目を開くと、水の中だった
目の前のガラスの水槽には愛羅が映っていて………朦朧としていた意識を、ゆっくりと覚醒させる
ああ、そうです…私、鎖煌に……騙されて。
抵抗しようにも、骸さん達を人質とされて身動きが取れないまま、“こんなこと”にされたんですね。
―――……はあ…よかった…死んでんのかと思っただろーが
『……………』
そんなこと、あるわけないのに。
そう思いながら少しだけ苦笑し、自分の状況を把握する
全身は、鎖に巻き付かれ。
呼吸器はあるものの、一目でただの拷問だと思うような様。
…躊躇う事は、もう、しない。
『…、……、……!』
声にはならないまま喚び出すと、水槽が割れ、水やガラスの破片が散らばる
鎖を解いて愛羅を実体化させ終えた時、始めて会った時のあの笑みはやはり嘘だったのか、
怒りを通り越した狂気のような表情をした鎖煌が荒々しく部屋に入ってきた
「………どういうことだろうね、お姫サマが目を覚ますなんて。
それにそいつは何だ。どこから入ってきた。」
「さあな」
「ふざけやがって…」
『……死者で無い限り、人間は、目を覚ますものですよ』
「は…人間、ね…」
『私を化け物だと思わない人が、居てくれるんです。…私はそこに帰ります』
「させない…よッ!!!」
鎖煌が翻したコートから、2本の鎖が一直線に、私と愛羅に向かって勢い良く飛び出てくる
『―――…
サジタリウス。』
《――承知した、主人殿》
私が名前を喚ぶと、声と共に1人の女性が現れ、無数の矢が、鎖を上回る速度と威力で鎖煌を標的に突き刺さる
…もっとも、鎖煌は鎖をシールドにし、傷一つ負っていなかったけれど。
《久方ぶりです、主人殿》
『…ええ…ごめんなさい、サジタリウス』
《主人殿が気に病む事は無いのです。しかしこうして主人殿に再び喚ばれる日が来るとは…長生きはするものだ…》
「…不老不死だけどな?お前」
《ああ、兄殿も久方ぶりです》
「ああ…触れないんだ?」
「な…っ!!!ッ……おい…おい、嘘だろうお姫サマ…?
もう使わないはずだったんじゃなかったのか…?!」
歯を食い縛り、吐き出すように言う鎖煌
『何故貴方がそんな事知っているのかは、もういいです。
…私はもう、この力から逃げません。目を背けることも、しない。』
「そんな綺麗事……、!
…そう…そうだ…そうだそうだ…………ボンゴレ!
ボンゴレはお姫サマのそんな力なんて知らないだろう!許容なんてされない!だからお姫サマは此処で縛られていればいい!」
「…?ん?…あ、いや、
もう関係者全員に言ったけど」
「『《?!》』」
さらり。そういえば言っといたよ。みたいなノリでそんな事実を述べた愛羅を凝視する
…いえ、言っても良かったんですけどね?なんだかこう……
「軽過ぎるだろうが?!」
……ごもっともです。
そんなに軽い問題でしたっけ、これ………。
「いや、だって1ヶ月もあったんだぜ?そりゃ言ってるだろ。
つか、全員回復した時点で纏めて話した。」
《…雑だな兄殿》
「んあ?ああ。
沢田は驚いてて、獄寺はまあ、“天界の申し子”知ってたからそんなに…愛吏がそうだっつーことに驚いてただけだな…。
山本は“すっげーのな、愛吏!”とかいつも通りで……あ、笹川はわかってねぇと思うけど………
…雲雀は」
『、!』
「………“ふうん”って」
『………
…それだけ、ですか』
「それだけ」
『…恭弥さんらしいです…』
「…な?化け物なんて言う奴居ないんだよ。
ボンゴレ(うち)には。」
「…っ…………!!!」
鎖煌が、何か手は無いのかとでも言うように、唇を噛み締めて目を泳がせる
「……………!そうだ…
六道達はどうする?お姫サマ!六道達は俺の手中だ、どうにだってなる!」
『……――――
マフィア界、復讐者の存在に於いて――、私情を挟むような囚人の不条理な刑罰は“血の掟”に則り……厳罰に値します。よって――その交渉を提示した、今。
――貴方に復讐者の最高責任者を名乗る権限は――ありません。』
「………ッッッ…………!!!」
鎖煌が怯んだ隙に、横を通り過ぎる。鎖が飛んでくる事は、なかった。
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