・日常編・
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日が暮れたイタリアの街。
それ程離れていたわけでもないのに、どこか懐かしい景色。
9代目への報告などを終え、キャバッローネ邸へ向かう
明日の夕方には日本に帰るため、ディーノさんともいろいろ話をしておこうかと考えていると
ふと、携帯が鳴った
ディスプレイを見ると―――――
―――――雲雀恭弥。
『っ!!!』
驚いて、思わず携帯を落としそうになるけど、地面に落ちる前にキャッチして、深呼吸。
心臓がドキドキしているのを押し込めながら、通話ボタンを押すと
【ああ…―愛吏。】
耳元に直接流れる低い声に、更に心臓が脈打つ
【どうかした?】
『い、いえ―…』
まさか、貴方の声にドキドキしてました、なんて言えず。
必死に冷静を装って、そういえば、雲雀さんとは久しぶりに話すことを思い出す
『あ…その、先日はすみませんでした、いきなり…』
【うん。だからその埋め合わせは今度ね。】
『はい、ありがとうございます』
【ねぇ愛吏、今どこ?】
『い、今ですか…?イタリアですけど…』
答えて、数秒。雲雀さんが黙る
【…冗談かい?】
『え?!い、いえ、その…ちょっと、里帰りというか…
あ、でも!明日の夕方には日本に帰ります!』
【…そう…愛羅と?】
『はい。あ、山本さんも居ますけど【は?】』
【なんで山本武が居るの】
明らかに不機嫌になった雲雀さんの声。
言わない方がよかったかと思うけど、正直に話した
【…ふぅん、イタリア旅行ね…で、ディーノって奴も居るわけ】
『え、ええ…』
もうすぐキャバッローネ邸に着くというところで、雲雀さんが、ぽつりと呟くように言った
【……ムカつく】
『え、?』
【…なんでもない、じゃあね】
『え、雲雀さ…切れちゃった…』
そうすると、一気に不安が押し寄せる
ムカつく、って、私、が…?
『―――……に
兄さまぁああああああ!!!』
「え、なに」
キャバッローネ邸内に飛び込んで兄さまを捜し出し、その体にぶつかるように飛び付く
『む、ムカつくってなんでしょう?!』
「…吐き気がする。不愉快で腹が立つ。」
『え?!や、あの、そっちの意味ではなくて…!』
「は………?」
『ひ、雲雀さんが、ムカつく、って…』
「あー…その経緯は。」
『……それが、』
兄さまに話すうちに、その眉間に皺が寄っていく。そして最後まで聞き終わると、兄さまは長いため息を吐いて
「あー…気にすんな。多分それ、拗ねてるだけだから。」
『へ…?』
「要するに。愛吏が自分じゃない男と居るのが嫌で、
更にその男が関係ない旅行だとはいえ、自分の恋人の故郷にまで一緒に行ってるわけだ。」
『は、い。』
「雲雀はそれにムカついてるだけだろ」
『そ、そうなんですか…?』
「そうだろ。あいつ独占欲強いだろーし。」
どくせん、よく。
心のなかで繰り返す。それと同時に、また心臓がどくどくと脈打つ
「…なに照れてんだよ」
『いたっ』
兄さまにデコピンされたところを押さえながら、それでも、顔が緩んでしまうのがわかる
…逢いたい、です
「…………よし、帰るか」
『へ?!』
兄さまが突然言った言葉に耳を疑う。当の本人はさして気にせず、携帯を取り出す
「あ、ディーノ?俺用事入ったから愛吏連れて帰るわ。山本よろしくな」
【は?!ちょ、おい愛、】
一方的に電話を切った兄さま。
「どーせディーノならロマーリオ達にどやされても度々日本来るんだし、もともと俺達は流れで来ただけだし。よし、帰るぞ」
『え、でも、兄さまっ』
「…逢いたいんだろ?」
『!』
見透かされていた。
恥ずかしくて顔を俯かせるけど、兄さまが笑うのがわかった
「いーんだよ、それで。」
『………』
……なんだか、許されてばかりです…。
いいのでしょうか、と思う反面…素直に嬉しくて。
一度逢いたいと思ったら、もう、それしか考えられなくなっていた。
――…小さなことで苛ついて。
――…すぐに、逢いたくなる。
ああ、本当に
相当溺れてしまっていると思う。
((…そうか、これが恋愛か。))
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