・日常編・
御名前変換
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人混みに紛れて兄さまを撒いたらしく、雲雀さんは夏祭り会場から離れた街灯のもとへ歩く
……もちろん、その間も私の手を掴んで。
『…あの、雲雀さん』
「愛吏」
『は、い…?』
「……浴衣」
『…へ、あ、あああああっ!』
かなり動いた所為か、兄さまのように浴衣は着崩れていて
首や足が見えていた
素早く直すと、やっと雲雀さんが振り返ってくれた
「…今更だけど、怪我、してないだろうね」
『?はい…してません』
「そう」
それから、雲雀さんは暫く黙ってしまった
…どうされたんでしょうか。
振動し続ける携帯を無視して、雲雀さんを見つめる
「………っ……
(そんなに見られるとやりづらいっていうか……なんか気まずいんだけど…!!!)」
『?』
「…愛吏、」
『はい…』
「、………浴衣、似合ってる。
あと、笹川達から離したのは……………悪かったと思ってる」
『………』
…声が、でなくて
熱くて熱くて、どうしていいかわからずに、雲雀さんから顔を背けた
――…だって、そんな顔されたら余計照れちゃうじゃないですか
『…な…なんで…したん、ですか…』
プライドの高いであろう雲雀さんが謝るなんて。
そこまでしてまでする必要があったのかと、疑ってしまう
風紀委員会の仕事を手伝わせるわけでもなく。
ただ、腕を掴まれて、引っ張られて、連れられて。
普通は嫌なはずなのに………少しだけ、その背中を見ていて、楽しかった。嬉しかった。
掴まれた腕が、熱かった。
名前を呼ばれるたび、耳が痛かった。
俯いた顔をあげて、雲雀さんを見る。
雲雀さんは口元を覆っていた右手を離して、少し躊躇いがちに口を開いた
「…愛吏が、沢田達といるのが嫌だった。沢田達に、その姿を見せているのが嫌だった。傍にいないのが嫌だった。
触れてたい。名前を呼びたい。…君が僕にしか見せない表情を見たい。……最近、そんなことばかり考えてるんだ。
こんなこと、今まで無かったんだけど…。
………ねぇ、愛吏。
これ…なんだと思う?」
……それは、お花見の時に見た、冷たい、一人を拒むような目じゃなくて。
熱情的な雲雀さんの目が、私を見据えて、問い掛けた。
その目からは、逃げられなくて。
…息を呑んだままでいると、
突然、雲雀さんに抱き締められた。力が強くて少し苦しかったけれど、嫌じゃなくて。
寧ろ、安心する心地がした。
きっとそれが゙愛゙だという事には、
どこかで気づいていた。
(それでも、何故かそれを認めることができなくて)
(逃げていた、だけで。)
(そういえば、)
(抱き締められる直前に見えた、雲雀さんの目に映る私も、)
(同じ目を、していました。)
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