・日常編・
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「落ち着け!話し合おう毒サソリ!」
「何これ。何なのこれ?」
「いかん!怒りで我を忘れてる!」
「そりゃあ…結婚式でファイアーされたらなぁ…」
「呑気な事言ってないで愛羅も説得してよ!」
「や、もう手遅れだろ……
………始まったし」
「え?何が始まっ…
あ、あれって!?」
「な、なんてことだ!ビアンキの接している部分が次々とお菓子になっていく!
そして今度はみるみるポイズンクッキングに!!」
『に、兄さま…まさかこれ、』
「さあ…」
憶えがある技に、兄さまに耳打ちする
兄さまは、知ってか知らずか、ただ肩を竦めてそう言った
まさか、途中から……いや、最初から……、この為だった?
ビアンキさんから、千紫毒万紅を引き出す為だった…?
「そうだ。」
『!』
ズガンと聞き慣れた銃声が、ビアンキさんの我を取り戻させる
「それがポイズンクッキングの究極料理、千紫毒万紅だ。
よく到達したな、ビアンキ」
「リボーン!!!間違いない…本物だわ、どこにいたの?」
「こいつを買ってたんだぞ」
「指輪!!!まあ素敵!ありがとうリボーン!」
「い…いいのかよ?結婚指輪なんて…?」
「違うぞ。あれはピアノ線が飛び出す武器だぞ」
「んな―――!
じゃー、やっぱり結婚は、」
「あるわけねーだろ」
………え?
『な、ないんですか?!』
「ああ。ビアンキは愛人だからな」
『そ、そんな……』
勘違いとはいえ、そんな…思わせ振り、あんまりです……
私の心情に気付いているリボーンさんは…、少し哀しげに、口角を上げて、言った
私と、兄さまが聞き取れるだけの声量で。
「心に決めた女が居るからな」
そう、言った
――――……
『リボーンさんの…心に決めた女性って…どんな人なんでしょう』
式が終わって、ディーノさんに再会の記念にと誘われたディナーの為に、一度自宅に戻って身支度を整えていた
その時、ふと、昼間のリボーンさんの言葉が頭をよぎって…思わず呟いていた
「嘘、じゃねぇ様だしな」
兄さまは、もう支度を終えたのか、ソファに凭れて天井を見上げてながら小さく言った
『………』
あの時。リボーンさんは、赤ん坊になってしまう前の…大人の顔をしていたように思う。
理不尽も、不条理も、不平等も、全て体感し尽くしたような。
そんな、ように。
その女性と、何があって。
その女性に、何があって。
その女性は、私達と、何か関係があるのか。…ないのか。
何かが引っ掛かって、支度をする動作が停止する。
「………気にすんな。今は。今はきっと、その時じゃない。」
『……そう、ですね…』
「まあ、その心に決めた女ってのが愛吏だとしたら、話は別だけどな」
『もう、また……そんなことあるわけないじゃないですか』
「有り得ない、
なんてことは、有り得ない」
『怒られますよ、兄さま。』
「好きなんだよ、これ。酷く正解過ぎて嫌いだけどな。けど、全うだ。理にかなってるだろ?
俺達の世界じゃ有り得ないことに有り得ることに、毎日人が死ぬ。人が人を殺す。ただの人じゃない奴も居る。だけど、それでも。
そんなことが有り得てる。それがいつどこでどう起こってるかは、わからないけれど。
ほら、有り得ないって事は、起こる可能性が無いって事だろう?
言い始めたら無限ループだけど、そう。無限ループなんだよ。生きてるって事は。死んでくってことは。残酷な事ばかりだ。幸せな事なんて、きっと、ありふれてるようで、脆いから壊れやすい。その悲痛な現実がある事を理解してるようで、してない。理解しようとしてない。
理想を描ける事が、どうしようもなく幸せな奴だっているのに。
有り得ないことが有り得てる。
有り得てることは有り得ない。
そんな事、ばっかりだろうが」
『……』
「は…喋り過ぎたな。疲れた。
……行くか。」
『ええ…そうですね、行きましょうか』
「ああ、でもな、愛吏、」
兄さまが開けてくれていたドアを抜けた時、兄さま……愛羅、が、天をうっすらとした目で見上げながら、また口を開いた
いつか有り得なかった事が有り得た時。
お前は、それを。肯定していいんだ。
(例えそれが、あまりにも、)
(幸せ過ぎて、恐ろしいくらいのものだとしても。)
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