・未来編・
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考えても考えてもわからない
自分が何者なのかとか
何のためにどうすればいいのかとか
なんにも、わからなくなってしまった
『…愛されたかったのよ』
そう、1人は嫌いだった。
『強く…なりたかったのよ』
守られて、囲われるだけじゃなくて。
『……貴方は?
愛吏…』
こころのなかで、命の、想いの炎を灯し続けている彼女に問いかける
【…私もです。私も、同じ。
私は化け物だから、愛されることなんてない思ってた。
ひとりはこわい、かなしい、さびしい…。
でもね、アイリ。
そんな私の傍に、ずっといてくれたのは、愛羅なの。
臆病な私の背中をいつだって押してくれたのは、愛羅。
…そして、その先で腕を広げて、
あたたかな胸に力いっぱい抱きとめてくれたのは
恭弥さんなの。】
「愛吏、は…白蘭のことは…?」
【…白蘭は、私の大切な人たちを全て奪っていきました。】
『…白蘭が、嫌い?憎い?』
【…ええ。】
『…じゃあ、その白蘭が望む私も、貴方は嫌い…?』
【いいえ。】
きっぱりと。けれど引き留めるような縋る声ではない。
包み込んでくれるような、そんな声だった。
【…貴方は私。私が成れなかった私。
本当は、少し羨ましかったんです。アイリのことが。】
『わ、私だって…!皆貴方のことばっかりなんだもの!!
だからっ、私のことを好きって言ってくれる白蘭が、でも白蘭は悪いことしてて、…っああもうっ!!』
頭を抱えて叫んで、ぱたりと床に大の字になって寝そべると、愛吏の小さな笑い声が聞こえた
『なによぉ…』
【白蘭だけではないでしょう?】
『え、』
【思い出して。アイリ。
綱吉さまや、京子さんハルさん、ランボくんにイーピンちゃん…。
貴方に笑ってくれた人。貴方を好きだと言ってくれた人は、白蘭だけ?】
『…!』
【それにね、アイリ。
私も、アイリのことが…たいせつ。】
『愛吏…』
【(…私が蔑ろにしてきた感情を、思考を持った子。
最初は怖かった。この子が皆の前に現れて、どんなことを感じて、どんなことを話して、どんなことをされるのか。
ー…でも)】
私が私を怖がってしまっては、いけない。
【アイリ。ありがとう。
…お礼を言うのは筋違いかもしれないけれど。
でも、私ができなかったことをしてくれて。
私が殺してしまった感情を、思い出させてくれて。
…ありがとう、アイリ。】
『…不思議ね私たち。
おんなじ、私なのに、こんなに違うなんて。
こんなの違うのに、…やっぱり考えることは、おんなじなのね。』
未来の貴女、過去をやり直している私。
『…過去の貴女も、同じことをするかしら?』
【―…ええ。きっと、必ず……。】
『…うん。
よしっ!決めたわ!!』
立ち上がって両腕を天井に突き出す。
長い髪が少し鬱陶しく感じたので、後でアイラに髪紐をねだろうと決めた。
『私達、お互いにずうっとヤキモチ妬いてたのね』
【…そう、ですね?】
『でもちゃんと向き合ってみたら、なあんだ。
ただの似たもの姉妹だったわっ』
【しっ姉妹!?】
『イヤなの?』
【いえ…この状況をそう例えられるのが凄いな、と…】
『ふふっ!そうね、私は愛吏とは全然ちがうもの。
だけど、これからやることは一緒よ。』
【…ええ。】
『さっ!
終わったらチョコケーキを食べなくちゃ!!』
私と貴女。貴女と私。
さあ、仲良く遊びましょう?
見えた未来に柔い鍵を掛けて。
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