・未来編・
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ねえ愛吏
貴女はどうしてこんなことになってしまったのかしらね
ねえ愛吏
私はどうしてこんなことになってしまったのかしらね
それを知るのはただ1人
『白蘭……』
“私に”愛していると言った男
ねえ、それは、愛吏じゃ駄目だったの?
どうして結局、
いつもいつも、
私はこんなにも
嘆くのでしょう
「アイリ様……」
『本当は私なんて、存在しなかった』
「…!」
『最近すごく、すごく聞こえるのよ。
私の中から。私みたいな声が。
その声がね、叫ぶの。』
【――もう、やめてください、助けてください、お願いします、お願いします、お願いします。
お願いですからこれ以上、私を壊さないでください、恭弥さん、恭弥さん、恭弥さんー…】
『…ずっと、こんな言葉を繰り返してる。』
「……あ…」
アイラの瞳が揺らぐ
そうなんだろう
それが、本来あるべき…愛吏なんだろう。
『ねえ、この子が本当の愛吏なんでしょう?今私のなかにいるこの子が、この時代の、恭弥の恋人の、愛吏なんでしょう?!』
「アイリ様、いや、アイリ、もう、もうやめてくれ……お願いだから……
お願いだから、それ以上自分を否定するな……!」
アイラが、私を抱き締める
『否定も何も、私は元々いないものなのよ!!
どうしてこの子は私のなかにいるの?
どうして私は生まれているの?
白蘭の目的は何?!』
ずっと勘違いしていた
私は元々アイリで
元々アイラと白蘭と一緒にいて
これから成長していくんだって、
そう、思ってた
でも違うのね
「…、白蘭は、…愛吏に、
アイリみたいに生きてほしかったんだと、思う」
『……私…?』
「……元の愛吏は、自分の感情も望みの一切も、持っていなかった。
喜怒哀楽を自分で、無意識に、コントロールしてしまう。
怒っていいのかも、泣いていいのかも、わからないまま生きていたのが…アイツだ。
だからアイツは、誰かがそのリミッターを外してやらなければ、
心から笑うことも、怒りを感じたままに放出することも、誰かの前で泣くことも、なにも、…なんにもできないんだよ。
…25年間、ずっと。」
涙を流しながら言葉を紡ぐアイラを横目に見る
なんだ、アイラ、涙を流せたのね
初めて見たアイラの涙は、いったいどっちの私に対するものなんだろう
すうっと、身体の熱が冷めていく
「白蘭は、なにが目的かはわからない。
ただ、アイツがアイリを、お前を求めたのは、きっと……
人間らしい普通の女の子に、なってもらいたかったからじゃないのか…?」
白蘭は、私を肯定して、愛吏を否定した
皆は、愛吏を肯定していて
…私を否定するんだろうか