・未来編・
御名前変換
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「……恭さん、もうそろそろイタリアを発たなければ…」
「…………わかってる」
車の中、重い空気が充満する中、そんな言葉を交わす
窓の外に居る人間達はあんなにも晴れやかなのが、腹立たしい。
…八つ当たりなのもわかってる。わかってる、そんな事。もうあの計画が始まったことだってわかってる。それでも、
「愛吏が…まだ見つかってないんだ……」
まだ居ないんだ。
まだ見つからないんだ。
まだ隣に、その存在が、ないんだ。
「…っ……」
愛吏が居なくなったあの日。
あの日から―――…
僕の世界は、真っ暗なままだ。
どうすることもできない気持ちのまま、窓に寄り掛かる
「…ねぇ………、何処に居るの、愛吏…」
小さくそう口に出した時、窓の外の公園に、黒と白のコントラストが綺麗な印象の、小さな子供が見えた
走行中の車から見た一瞬だったし、黒の髪と、白いワンピースしか見えなかったから、特に気にせずに、流れていく景色を見ていた。けれど。
もう一度頭の中でその子供を思い浮べる
真っ白いワンピースに
綺麗な、漆黒の長い髪
何か―――…何かに引っ掛かる
その、子供の、
ほんの一瞬だけ見えた
――――あ の 横 顔 は ?
「―――――ッ!!!!!!」
反射的に、走行中の車を降りた
少しバランスを崩したけれど、難なくそのまま走る
…後ろで叫ぶ哲の声なんて聞こえない。今、確かめたいのは。
「っ………!」
ベンチに座り、赤いリンゴを美味しそうに齧る少女
見慣れた黒髪に、吸い込まれる、大きな瞳。
―――――ああ―間違えるわけが無い。
捜し求めた、やっと見つけた
「愛吏……」
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呼ばれた方へ振り向くと、
そこには黒いスーツを着た、私と同じような黒髪の男の人が立ち尽くしていた
―まるで幽霊でも見ているような表情で。
『…?
…―――私を、知ってるの?』
そう言うと、男の人は酷く泣きそうな顔をする
その顔を見た時、何故か胸が締め付けられるように痛んだ
男の人はゆっくり近づいてきて、私の前に崩れ落ちるように両膝を立てて、私の両肩を掴む
「……愛吏…愛吏…だよね……?」
『……う…うん…』
その緊迫した表情に戸惑う。私のそれを察したのか、我に戻ったように男の人は私から目を逸らした
「!!!」
目を逸らした時に見えたのか、私の両足の枷を見て、男の人はまた私を凝視する
どうしていいかわからずにいると、後ろから黒いスーツを着た男の人が走ってきた
「恭さん!」
『…キョウサン?』
「……僕の名前だよ。」
『キョウサンっていうの?』
「違う―――恭弥。」
『きょうや?』
「そう。
―――――雲雀恭弥。」
『……恭、弥。』
「そう……」
今にも泣きだしそうな顔で、子供をあやすように微笑する恭弥を、ただ、見つめた。
「恭さん!いきなり車を飛び出すなんて一体……、…?!」
『…?』
…この二人は、どうして私を見てそんな顔するのだろうか。
そしてどうして、
「愛吏さん……?!」
『…ねぇ、…どうして私を知ってるの?』
…私はこの2人を知らない。
なのに、私の事を当然のように知っている2人が、なんだか怖い。
「……ああ…ごめんね、……怖い思いをさせた」
『…………』
「……ボンゴレって、知ってるかい?」
『!』
…ボンゴレ。白蘭とアイラがよく言っていた。
特にアイラは、何も教えてくれない白蘭に変わって、いろんな事を教えてくれていた。
白蘭は今何をしているのかとか、それにボンゴレっていうファミリーが関わっている事だとか、ボンゴレの人達の事、だとか。
そこで気付く。目の前の人物は、アイラが画像で見せてくれた
『ぼ……ボンゴレの、雲の守護者…!』
「…………うん」
とっさに身じろぐ。…まさか、私を捕まえる気なのだろうか。だとしたら、逃げなきゃ――――
「大丈夫」
『あっ…』
「君に危害を加える気は無いし、君を使ってミルフィオーレの連中に取引しようとも、考えてない。」
『…………』
…目で、わかる。嘘なんか吐いていないって。
でも、じゃあ、
『……何が…したいの?』
「…話を、しよう、愛吏」
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