・未来編・
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――――……
『ッいっ、たぁっ?!』
どさりと落ちた時に打ったお尻を擦りながら辺りを見回す
…ここ、どこかしら
がやがやと騒ぐ場所から離れた、静かな緑の場所
1つだけわかるのは
『……!!!!
外ーーーーーーっ!!!!!』
両腕を大きく上げて、全身でその空気に触れた
きもちいい、今なら何でもできる気がする
『、…そういえば、
なんでこんな簡単に出られたのかしら』
今まで何度も星座を喚んだけれど、力が発動したことはない。
――それに、
『……アイラ……置いて、来ちゃった………』
いきなりで、偶然とはいえ、心苦しくなる。
それに私は、…アイラが居ないと、寂しい。
『…………』
戻るべきなのだろうか
でも、もし、それっきり出られなかったら…?
これが最初で最後のチャンス、だとしたら?
『……っ、』
――――…ごめんね、アイラ
でも、アイラなら必ず来てくれる。大丈夫、またすぐ会える。
そう言い聞かせて、私は外の世界を歩きだした
……歩きだしたのは、いいんだけど…
………周りの人間達が、私を厭な目で見てくる
不信がるような、蔑むような、
『……なによ…』
言いたい事があるならはっきり言いなさいよ、と周りを睨む
すると
「お嬢さん」
ケースに入ったフルーツに囲まれたおじさんが、身を乗り出して話し掛けてきた
『…なに?』
「足のそれ、どうしたんだい?…ファッションか?」
『…足、』
言われて、自分の両足を見る
『!あ…』
そうか、これだったのか、
両足についたそれは、あまりにもこの外の世界には似つかわしくないもので、おまけに私は裸足だったのだ
周りの人達は、こんなものつけてないし、靴だって履いている。
私の場合ずっと室内で過ごしていたから裸足で充分だったし…
何よりこの枷は、邪魔で、何だか嫌で、何回も外しては白蘭がつけるほどのものだったから、いつしか気にしなくなっていた
「…父さんや母さんに、何かされてんのかい?」
『、?
とうさん?かあさん?そんなの、いないわ』
そんなの、呼んだ事がない
「!わ、悪かったな…」
『…枷は、普通じゃないの?』
「ああ…それにお嬢さん、裸足だろう?靴は。」
『今までずっと部屋の中にいたのよ。今日ね、初めて出れたのよ!!』
「…なあ、お嬢さん、酷いことされてんじゃないかい」
『…?』
「…参ったな」
おじさんが苦笑しながら頭をがしがしと掻く
「ここらで知ってる大人は?」
『おとな…』
「一人で、きたのかい?」
『うん、アイラは置いてきちゃったの』
「…そのアイラって奴は優しいかい?メシは、風呂は?」
『?ふふ、なぁにおじさん。へんなの。
私、毎日お腹いっぱいご飯食べて、毎日お風呂に入って、ふかふかのあったかいベッドで寝てるのよ。当たり前じゃない!』
「……なんだ、おじさんやっと安心したぜ」
『そお?』
朗らかに笑うおじさんを見て、釣られて私も笑う
「どれ、質問攻めした詫びだ。
好きなもん1つ持っていきな」
『いいの?!』
「ああ。」
『じゃあ、リンゴ!』
「ほい、まいど。」
リンゴを1つくれたおじさんにお礼を言って、さっきの緑の場所に戻る
少しお腹が空いていたから、嬉しかった
『……この枷、外していいかなぁ…』
さっきみたいな目で見られるのはうんざりだった。
真ん中で両足を繋ぐ鎖が行動を制限して、動き辛い。
白蘭にはまた怒られるだろうけど(外に出た時点で怒られる事は確実なのだけれど)、どうせまた付けられるのだからいいだろう、と勝手に自己解決した
一先ず、貰ったリンゴを齧る
甘くて瑞々しいそれは、緑に囲まれて、空気が気持ち良いなかで食べるには最高だった
『…………おいしい』
ああ、やっぱり、外はこんなにもきらきらしてる。
これだけじゃ、足りない
もっと見たい、もっと聞きたい、もっと知りたい、もっと感じたい
『…ごめんね、
白蘭、アイラ…』
…ずっと戻りたくないってわけじゃない。
白蘭にだって、アイラにだって、会いたい。
それでもこの誘惑には勝てない。
…白蘭が連れ出してくれたらいいのに。
どうして白蘭は、頑なに私を外に出すのを阻むのだろうか。
意図はわからないけれど、それだけが唯一、白蘭の嫌いなところだった
『………んー…』
がちゃがちゃと枷を弄ぶ
どうしよう、何処に行こう、あ、その前にこれ、外さなきゃ
そんなことを考えながら、星座を喚ぼうとした時だった
「―――――愛吏……」
――名前を、呼ばれた
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