月蝕の館
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「《パルノクタン・ニクスジオ》!」
地面に激突する寸前、ニコラスはぴたりと止まって、ふわりと、地面に横たわる。
意識を失って倒れこむニコラスに、彼の激突を魔法で止めたアーサーが駆け寄っていった。
「ニコラス!ニコラス、大丈夫か!?」
「ああ、良かった……っ。アーサー王子様、ありがとう!」
「こちらこそ!一体、ニコラスはどうしたんだ?」
ニコラスが助かったことにクロエは安堵の声を漏らす。
アーサーの言葉につられて、晶がバルコニーを見上げるとそこには佇む人影が見えた。
「…………」
そこにいたのはオーエンだった。
彼は何も言わずにバルコニーからじっと地面を見下ろしていた。
その表情には、何の感情も浮かんでいない。
(……変ね、いつものオーエンじゃない感じがする)
ゲルダが違和感を抱くもその胸の内は人々のざわめきにかき消された。
「一体、何があったのだ!?」
「ニコラス様が自ら飛び降りられて……」
「ニコラス様がそのようなことをするはずがない!」
「…………! あれを見ろ!北の魔法使いオーエンだ!あいつがニコラス様をあやつって、自殺させようとしたんだ!」
自分を指さす人たちに気づくと、オーエンはようやく、薄い冷笑を浮かべた。
「はは……。そうだよ。きみたちの望む通り。きみたちの不幸は、全部僕の仕業だよ」
地上から怒号と、罵倒を浴びながら、オーエンはゆったりと身を翻し、バルコニーから室内へと消えた。
「……オーエンらしくないわね」
「え?どういうことですか?」
「なんというか難しいですけど彼があそこまでボーッとしてるなんて……。何だか迷子の子供みたいでした」
「迷子の子供……」
ゲルダの言葉を復唱し、晶は今は誰もいないバルコニーを見上げた。
「とりあえず、大変なことになりそうですね」
「あはは!これで魔法使いへの不信は増しただろうからね!」
「笑い事じゃないわよ。全く……」
そう言いながら西の魔法使いたちは去っていった。
数時間後、西の魔法使いたちが言ったようにお城はパニックに陥っていた。
ニコラス様が魔法使いに殺されかけた。
自分たちも何かされるんじゃないか。
そんな恐怖が城中に広がっていた。
そして、賢者と魔法使いたちは追い出される形で城を後にすることとなった。