月食の館
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「誰が一体、何のために……」
ラスティカの問いかけに晶は先程のムルの言葉を思い出した。
「ムルの魂の欠片が言っていました。誰かが月を招こうとしたって。これは大きな魔法陣の一部だって……」
「<大いなる厄災>を招こうとした……?あのムルはこの術式を知っていたのね…」
晶の言葉にゲルダは眉を顰めて呟いた。
「そのせいで、こんな大被害が!?ああ、なんてことだ……」
「他にも……。月の召喚術は不成立だった。別の意味を持つ秘技へと変質したって」
「別の意味を持つ秘技……?一体どういう意味なんですか……?」
「その秘技について何かムルは言っていましたか?」
シャイロックとゲルダは晶に視線を移し、問いかけるが、彼女は残念そうに首を振った。
「いえ、そこまで詳しくは……。トビ……、トビなんとかとも言っていました。双子なら何か知ってるだろうって」
「トビなんとか…スノウ様とホワイト様が知っているということは古の生物ですね。……トビカゲリのことでしょうか……?」
「あ、それです!」
「10!」
不意にクロエの声が響いて、4人ははっと顔を見合わせた。
「9!8!」
「今は先に部屋を出ましょう。賢者様、こちらへ」
「はい!」
ラスティカの声に晶は出口へと駆け寄る。
「行きましょう、ムル。……ムル?」
シャイロックがムルに話しかけるもムルの視線は出口ではなく祭壇の方に釘付けになっていた。
「あれ、なにかな?」
ムルは祭壇まで飛んでいくと、その下を覗いて、何かを引っ張ろうとした。
「あれ?くっついちゃってる……」
しかし、ガチャガチャと音を立てるだけで目的のものは中々取れないようだ。
「5!4!3!」
そんな間にもクロエのカウントダウン……タイムリミットは刻一刻と迫ってきている。
「ムル!急いで!」
「えーと、ちょっと、待って……」
シャイロックが急かすがムルは諦めるつもりは無いらしく何とかして目的のものを取ろうとする。
「2!1!」
「取れた!」
クロエのカウントダウンが終わるのと同時にムルの歓喜の声が響き渡る。
「《インヴィーベル》!」
「《アモレスト・ヴィエッセ》!」
「《ルクス・ディールクルム》!」
そしてムルが飛び退ったと同時に、シャイロックとラスティカ、ゲルダの呪文が重なった。
ムルを包み込もうとしていた暗闇が、一時だけ、動きを止める。
ムルは何かを手にしながら無事に扉の外へと戻ってきた。
「びっくりした!間に合わないかと思ったよ!もー、心配させないで!」
「ほら見て!」
クロエの心配する声とは裏腹に興奮気味にムルがパッと見せたのは、半分溶解した、何かの科学道具だった。
「なにこれ……?」
「魔法科学の駆動装置のようですね。マナ石の魔力を具現化させるためのものです。あまり見かけない型ですが……」
「……これは……。中央の魔法科学兵団で、使われているものですね……」
「え!?」
クックロビンからの予想外の言葉にクロエは驚きの声をあげる。
当然だろう。
中央の魔法科学兵団が犠牲者にせよ、首謀者にせよ、関わっていることが発覚したのだから。
「間違いありません……。西の技術を取り入れようと、魔法管理省が発注したものですから」
「……一体、どういうことなんでしょうか……」
「魔法科学兵団の誰かが関わっているのか、もしくは、被害に巻き込まれたのか……。中央の城に戻れば分かるでしょう」
「まあ、中央の国の不始末だからなるべく隠したいことだろうし、あのヴィンセント様なら隠蔽されてしまうかもしれないけどね」
ゲルダの言葉に晶は苦笑いしながらも口を開いた。
「ま、まあ、アーサーがいますし大丈夫ですよ……。ともかく、クックロビンさんも無事でしたし、一度お城に戻った方が良さそうですね。みなさん、お城に戻りましょう」
「ええ。スノウ様とホワイト様に、聞いてみたいこともありますし」
「俺も友達に作ったスカーフ渡さなくちゃだしね!」
「それじゃあ、みんなで帰ろう!」
そうして一行はグランヴェル城へ戻ることとなった。