ドラモンドからの依頼
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「月食の館はあの森の向こうです。もうすぐ到着しますよ」
「今日は天気が良くて、空を飛ぶのが気持ちいいねえ!」
「風も穏やかでとてもいいわ」
クロエの言葉にゲルダは眩しい太陽に目を細めながら微笑んだ。
「こんな日はきれいな庭を眺めながら、お茶会をするのもいいな。歌ったり、踊ったりしながら」
「楽しそう!賢者様は歌うの好き?」
ラスティカの言葉にクロエはワクワクした様に声を上げると晶に問いかけた。
「歌はあまり、上手くないので……」
「上手いか下手はどうでもいいよ。好きか嫌いかってこと!」
「その通り。賢者様がお好きなことなら、歌を歌うことも、踊ることも、好きなら、好きなだけ、楽しむことです」
「だって、俺達は歌が上手い誰かじゃなくて、賢者様と楽しみたいんだもん!賢者様が楽しいなら、俺たちも楽しいんだよ!」
言葉を濁した晶にクロエとラスティカはなんて事のないように言った。
「はは……。じゃあ、今度お茶会があったら、その時にお披露目します」
「やった!」
クロエは心底嬉しそうに晶の了承の言葉に声を上げた。
「ふふっ、その時はとっておきの紅茶をご用意いたしますね」
「楽しみです!それで、あの……。みなさんに聞いてもいいですか?」
「なんですか?」
晶の問いにシャイロックは答える。
「ドラモンドさんの頼みごとを、どうして、引き受けたんですか?クックロビンさんのことは、もちろん心配です。でも……。ドラモンドさんは魔法使いに対して、あまり友好的ではなかったでしょう。西の魔法使いのみなさんは、自由で気ままな印象だったので、文句も言わず、すぐに承知されたのが不思議だったんです」
「簡単なことですよ。私がやると決めたからやるんです。賢者様のおっしゃるとおり、私たちは周りを気にせず、自由気ままに好きなことだけをします。月食の館には興味がありますし、クックロビンを見殺しにするのもあんまりですからね。ただそれだけです。正義の心からではなく、評判を恐れる心からでもないので、嫌になったら止めますが」
「そ、そうなんですね」
嫌になったら止めるという言葉に晶は自由な西の魔法使いらしいと納得した。
「魔法使いの人生は長いですが、それでも、嫌なことや、悲しいことをしている時間はもったいないですからね」
「俺たちは落ち込むことが下手だからさ。その代わり、笑うことは得意なんだよ。まあ、ちょっと、いびつではあるけどね。笑うことも、泣くことも、誰かのせいにしたくないから、自分で決めて、ひとりぼっちでいるんだ」
クロエの言葉に晶は違和感を感じた。
クロエとラスティカはとても仲が良いし、シャイロック、ムル、ゲルダもよく3人でいるところを見かける。
「ひとりぼっちなんて………。クロエはラスティカと仲がいいのに。ムルやシャイロック、ゲルダだって………」
「僕らは孤独ですよ。どれだけ誰かと一緒にいても、最後はひとりで冷たい石に成り果てる。だから、ぬくもりのあるうちに、寄り添う相手を温めていたい」
「さあ、つきましたよ。賢者様」
シャイロックの言葉に晶が前を向けば、そこには古びた洋館があった。
引き戸の重厚な扉が晶たちを迎える。
「ここが月食の館……」
「なんだか薄暗いね………。妙にぞわぞわする感じ……」
「「…………」」
クロエの言葉を聞きながらシャイロックとゲルダは眉を顰めていた。
「どうした、シャイロック?ゲルダ?」
「ムルの気配が……」
「ええ…。確かにするわ」
「ムルならここにいるよ」
「俺ならここにいるよ!」
元気よく答えたムルに2人は少し考えるように沈黙した後、口を開いた。
「そう、なのよね…。まさか、ムルが2人いるわけないだろうし…」
「……すみません。行きましょう」
シャイロックが扉を開くと、古びた洋館の景色が私たちを待っていた。
あちこちに様々なものが並んでいる。
どれもこれもドラモンドが言っていた通り、この世界にとって貴重なものばかりだ。
見慣れないものに、晶がきょろきょろとあたりを見回しながら歩いていると、どこからか、蝶が飛んできた。
紫や黄色に色を変えながら、光る粉をまとって、ひらひら飛んでいく。