北の魔法使い
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明かりの消えた薄暗い室内。
先程の煌びやかなパーティ会場は一瞬にして不気味な雰囲気となり、緊張と恐怖に包まれた。
静寂の中、アルシム。と先程響いた声から漏れた双子の"ミスラ"と言う名前にドラモンドたちは焦っていた。
「き、北のミスラと言えば、オズに次ぐ魔力の持ち主……!その性格は野蛮で凶暴です……。も……、もしや、今の言葉をどこかで耳にして、怒り狂って、我らを襲う気なのでは!?」
「ま、まさか……」
ニコラスもミスラの噂は知っているのか、先程の威勢はどこかに消え、恐怖と緊張が滲んだ声で答えた。
「……っ、城の周りを警戒しろ!」
「ひっ、ひい……っ。北の魔法使いに殺される……!」
「シャイロック、ムル。ミスラが暴れたら止められるか」
スノウの言葉に2人は笑顔で即答する。
「まさか」
「無理」
「即答ありがとう」
「「どういたしまして」」
「ファウストを呼んでくるか?呼んでも、ミスラに加勢しちまうかな」
「いや、あの子、根は真面目だから、一般人を巻き込んだりしないとは……」
「面白い。オレが相手してやる」
シノは自分の力に自信があるのか、一歩を踏み出そうとするが、ヒースクリフが慌ててそれを止めた。
「馬鹿!下がってろ!」
「馬鹿だと?」
「……おまえはミスラを知らないからそんなことが言えるんだ……」
「…………」
ヒースクリフの言葉にシノは沈黙してしまった。
「……っ、どうすればいい……。あいつに勝てるのなんて、オズ様くらいだぞ……」
「この城が半壊してもいいのでしたらゲルダにも止められそうですが」
「呼んだ?」
シャイロックの言葉にゲルダがどこからともなく姿を現した。
彼女がパーティ会場の床に足をついた時なったカツンとした音は静寂の中によく響いた。
「ゲルダ!」
「ゲルダちゃん!」
ヒースクリフとスノウの声は驚きと安堵に満ちていた。
「ゲルダちゃん、ミスラちゃんが出てきたら止められるかの?」
ホワイトの言葉にてっきり、この場に来るのはオズだと思っていたゲルダは首を傾げた。
「え?ミスラ?オズじゃなくて?」
「ミスラちゃんじゃ!」
「うーん…。あんまり戦いたくないのが本音ですけど…」
「そこをなんとか頼むのじゃ…!」
「…分かりました。全力で戦ってもこの城、半壊させるかもですけど…それでもいいなら」
「助かるのじゃ!」
双子の必死の頼みにゲルダは渋々頷いた。
「……ミスラ……?もしかして、ミスラおじさん……?」
「叔父上、危ない!後ろ!」
「…………!」
アーサーの言葉に、みながヴィンセントの背後に注目する。
壁しかなかったはずの場所に、不思議な光を帯びた、巨大な扉が現れた。
隙間から、青白い光を放って、扉が開いていく。
「これは……」
ヴィンセントを庇いながら、溢れ出した光の眩しさに、アーサーが顔を顰める。
開かれた扉から吹きつけてきたのは冷たい風と雪。
吹雪だ。
扉の先は一面の銀世界。
そしてその扉を開けた人物は粉雪を背に受けながらも扉にもたれて静かに佇んでいた。
その人物は先程、名前が出ていた北の魔法使い、ミスラその人だ。
「どうも。北の魔法使いのミスラです。招かれざる客ですが。お邪魔いたします」
ミスラは緩慢な動作で、扉から体を離して、すらりとした長身で歩き出す。
その様子にスノウも、ホワイトも、シャイロックや、ゲルダや、フィガロでさえ、緊張を浮かべていた。
さらに、彼らは絶望を浮かべる。
扉から現れた人影は、ひとつだけでは、なかったからだ。
「……オーエン……」
「そなたもか……」
「……。はは……」
次に現れたのは北の魔法使い、オーエン。
口には微笑みを浮かべていても、色の異なる瞳の奥には、人らしい感情が一切見えない。
冷淡な光だけがそこにはあった。
「ひどいなあ。誰も僕を歓迎してくれないのかい。北の魔法使い、オーエンだよ。よろしく」