あなたと友人になれたら
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晶の言葉にカインとヒースクリフは驚いたように声を上げた。
「本当に!?」
「いいんですか!?」
その声は驚きにも喜びにも満ちていた。
「2人とも、驚かないでくださいよ。せっかく、賢者様が信じてくださったのに」
「ふふっ」
カインとヒースクリフの様子にシャイロックは苦笑し、ゲルダは微笑ましそうに2人を見ていた。
「喜んでるんだ。初対面の人間なのに、魔法使いを信じてくれるなんて」
「ありがとうございます、賢者様!この御恩は一生忘れません!」
「な……、何を馬鹿なことを!いいですか、魔法使いというものは、性悪で、尊大で、身勝手で……」
喜びに水を差すかのようにドラモンドが口を開く。
そして、その口から出た言葉にヒースクリフはキッとドラモンドを睨みつけた。
「それ以上、一言でも言ってみろ。性悪な魔法使いがあなたを呪うよ」
「…………っ」
呪うという言葉にドラモンドは押し黙る。
やはり恐れの方が勝つのであろう。
「世界を守るために戦ったのは、その性悪で尊大な魔法使いだ。おまえたちみたいな奴を守るために、先生も、仲間たちも、倒れていったんじゃないか!」
「そ……、それは……」
図星なことにドラモンドは反論できないでいた。
「ドラモンド様。私たちにも人間と同じように意思があり、思考があり、心があります。道具のように、奴隷のように使われるのは不満ですし嫌です。しかし、世界のためにと私たちは力のない人間達に変わってこの世界の脅威と戦うことを強制させられています。私利私欲のために私たちを使っておきながらまだ文句があるのですか?」
ゲルダの口調は優しく、口元には笑みさえ浮かんでいたが瞳は鋭く、決して笑っていなかった
「…………っ」
「い、言い過ぎですよ、大臣」
「おまえまで言うな!こうなったら、力づくでも、おまえたちを押さえ込んでやる!」
「へぇ、どうやって?みなさん、夢の中ですけど」
シャイロックは挑発的な笑みを浮かべながら当たりに倒れている兵隊を見やった。
「ふふ……。馬鹿め!外には兵隊たちが待機している!疲労しきったおまえたちなど相手ではない!」
ドラモンドは得意気に自信に満ちた声で言葉を紡ぐ。
「それも、魔法科学兵器を装備した大軍……」
魔法科学兵器と聞いたゲルダはその言葉に眉を顰めた。
すると同時に新しい声が聞こえた。
「《エアニュー・ランブル!》」
「…………!?」
呪文と共にドラモンドの姿が突然消える。
そしてその場所にいたのは1匹のネズミだった。
窓から入ってきた青年…ムルはそのネズミを摘み上げる。
「チューチュー!」
「ニャーオ。食べちゃうぞ」
「どこに行っていたんですか、ムル」
「月にお別れをしてた!」
「月に?相変わらず、イカれてるな」
「まあそれがムルだから」
カインの言葉にゲルダは苦笑しながら答える。
「話は後だ。みんな、急いで!」
「分かった」
「チュー!チュー!」
ヒースクリフの声にムルがネズミを放り投げる。
するとそれをクックロビンが慌ててキャッチした。
「あの、大臣は……!?」
「半日もすれば元に戻ります」
「それまでは間違えて駆除されないように甲斐甲斐しく面倒見てあげてくださいね」
クックロビンにそう告げるとシャイロックとゲルダは近くの窓へと足を進めた。
「賢者様、西の魔法使いムルだよ!賢者様は飛んだことある?」
「飛……!?え……!?」
飛ぶという言葉に晶は驚く。
普通人間は飛ばない…いや、飛べないのだから当たり前だろう。
「じゃあ、俺と行こう!おいで!」
「わっ……!?」
戸惑う晶の手をムルはパッと掴んで引いた。
「こら、ムル!」
「《エアニュー・ランブル!》」
カインの静止の言葉を無視してムルが呪文を唱えると彼の手元にはどこからともなく箒が現れた。
片手に箒、もう片方に晶の手をしっかりと掴んで腕を引きながら、駆け出していく。
そして、そのまま近くの窓から飛び降りた。
「大丈夫かな?賢者様…」
「普通の人間と変わらないですからね。スリリングな体験をしているところでしょうね」
その言葉通り晶の悲鳴に近い絶叫がゲルダの耳には聞こえてきて思わず苦笑が漏れた。
「私たちも行きましょうか」
「ええ」
シャイロックの言葉に2人も箒を片手に窓から飛び降りた。