グランヴェル城でのパーティ
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「そう責めるな、ニコラス。アーサーはまだ幼い。魔法使いたちを身びいきしても仕方がない。実の母である王妃に捨てられた恨みが捨てきれないでいるのだろう」
「……私は母上を恨んではいません」
ヴィンセントの言葉にアーサーは悲しそうに眉を下げ、寂しさを含ませた声ながらもキッパリと言った。
「そうか。やはり魔法使いだな。普通の人間ならば、親に捨てられれば、親を憎むものだ。普通の人には理解できない」
しかし、ヴィンセントはそんなアーサーを異常者と、魔法使いと人間は決して、相容れない存在のだと……そうとでも言いたげに静かに言葉を紡いだ。
「……っ……。どうして、私たちの言葉を、まともに聞いてくださらないのですか!?私が言っていることも、ルチルが申し上げたことも、何が間違っているというのですか!?」
仲間を侮辱され、怒りに震えるルチルの気持ちも、本当は辛く、悲しいことであったが、母の境遇を理解し、致し方なかったと受け入れた自分自身のことも、同じ人間だったら分かってもらえたかもしれない。
しかし、魔法使いというだけで、どんなに訴えたって、その声は届かない。
それどころか、聞く耳すら持ってくれない。
そのことにアーサーには酷く心を痛め、激昂した。
「被害者のように振る舞うのは、おやめいただきたいものですね。あなた方は恐ろしい力を持っている。人々を恐怖に陥れるのは、<大いなる厄災>も、魔法使いも同じです」
「みなのために役立とうとしている!私も、ここにいる者たちも……」
「アーサー殿下がそうでも、他の魔法使いが同じだとは限りません。現に伝説の魔法使いオズも、北の魔法使いたちも、ここに集まっていないではありませんか」
「……それは……」
アーサーは必死に訴えたが、ニコラスの的を射た言葉に口黙ってしまった。
現にスノウ、ホワイトを除く北の魔法使いとオズをこの場に連れてくることはできなかった。
先日のオズの説得には失敗してしまったのだから…。
「奴らはこの世界に苦しむ人々も、どうでもいいのです。だから、役目から逃げて、犠牲を出した。私を役立たずと呼んだ、南の魔法使いも、いつか逃げ出すでしょう。その前に、しっかり教育しておかなければ」
すると、ニコラスは目でチラリと会場にいる兵を見遣る。
「連れて行きなさい」
ニコラスの冷たい声に、兵はルチルの腕を押さえ込むと連行しようとその身を押して行く。
「……っ、離してください……!」
ルチルは抵抗するが相手は王家の手練れの兵士だ。
振り解くのは簡単ではない。
ゆっくりだが、確実にルチルは連行され始めていた。
「よせ、ニコラス……!」
アーサーが止めるように言ってもニコラスは先程の言葉を取り消すことはせず、兵は止まらない。
「兄様……!フィガロ先生どうしよう……っ」
ミチルは慕っている兄が連行されている姿に焦り、フィガロを見上げる。
「参ったな……。レノックス、殺すなよ」
「あなたじゃないんですから」
「いかん、いかん!人に手出しするでない!」
「<大いなる厄災>の前に、人と殺し合うことになるぞ!」
スノウとホワイトが静止の言葉をあげた次の瞬間、凄まじい雷鳴が鳴り響いた。
一方、その頃、ゲルダは……
突然轟いた雷鳴と共にゲルダが見ていた空にはあっという間に雷雲が立ち込める。
「姉様、この雷雲は…」
「はぁ……、オズね…」
景色を楽しんでいただけあって、ゲルダはため息をつき、少し不機嫌そうに言った。
天候の悪化によって生まれた強風がゲルダの髪、そして髪飾りと首についたお互いのリボンを巻き上げる。
すると次にはどん!と大きな地響きがする。
屋根の上にいるゲルダにもそれはしっかりと伝わっていた。
ただごとではない現象にゲルダは表情を固くする。
「……ここで何かを始める気なのかしら?」
「オズ様の機嫌を損ねるようなことを誰かが言ったとか?何か起こったとかでしょうか?」
カイの言葉にゲルダの表情は固くなる。
「……そろそろ戻らないといけないようね。カイ、引き続き屋敷の方、頼むわ」
「お任せください。姉様」
ゲルダが空間に小さな円を描けばカイはその中に飛び込み、穴はすぐに塞がり、ゲルダは屋根から腰を上げた。