箒に乗ってパレードへ
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「先生……」
「きみに投げられる石からも、俺が守ろう、ファウスト。そういう時、俺は笑って手を振れるから」
「…………」
フィガロの言葉にファウストは黙って彼を見つめる。
「きみが人を恨むのはわかる。だけど、このままじゃ魔法使いは、人間の敵になるばかりだ。オズや北の魔法使いがいない分、俺たちが愛想を振りまかなきゃ、厄災とだって戦えない」
「愛想を振りまけだと!?」
「だから……」
「俺がやります」
激昂したファウストを宥めようとしたフィガロの言葉を遮ったレノックスの言葉に、しん、と辺りが静まり返った。
「ファウスト様や、東の魔法使いの分まで。俺がやります」
皆が怪訝そうに、無口な彼を振り返る。
「……レノックスさんが?」
初めに声を発したのはミチルだった。
「ああ」
「お愛想するんですか……?ボク、レノックスさんが笑ったところ、あんまり見たことないですけど……」
「そうか……?」
「はい……。ちょっと笑ってみてください」
「…………」
ミチルの言葉にレノックスは少し黙ったかと思うと…
「……こう、かな」
にやりと笑う。
それはお世辞にも愛想笑いとは言い難いものだった。
正直に怖い。
黒いオーラが見えそうである。
しかし、その瞬間、ぴりぴりしていた魔法使いたちが一斉にけらけら笑いはじめた。
「はは。それは愛想じゃないよ」
「……そうですか?」
ファウストの言葉にレノックスは自称愛想笑いをやめ、聞き返す。
その声色には少し、困惑も含まれていた。
「あはは!そんなことない、魅力的さ!中央の都の女の子たちはイチコロだよ」
「レノックスさん、かわいい」
「そうかな……」
ルチルの言葉にもレノックスは不思議そうに呟く。
「ヒースもやればいい。おまえ、顔だけはいいんだから、きゃあきゃあ言われるぜ」
「顔だけって言うな……」
シノの言葉にヒースクリフは少し不満そうに言い返す。
そんな魔法使いたちの様子に晶はほっと息をついた。
すると、楽しげに笑いながら、ムルが澄み切った空を一回転する。
「あはは!面白い!俺たちに投げつけられるのが、石だって、花だって、面白いよ!俺たちは魔法使い。どんなものでも自由に変えられる。花を火花に!石を宝石に!俺たちを見守る人たちが、群衆でも、歌う花でも、青ざめた幽霊でも、笑って更新しよう!」
ムルの瞳は燃える月のように、美しく、恐ろしげに、輝いていた。
「ふふっ、ムルらしい…」
「そうですね…」
ゲルダとシャイロックはムルを見ながら笑った。
そんな楽しい雰囲気の中、クロエが晶のそばに寄り、口を開いた。
「あのさ、あのさ、賢者様」
「クロエ、どうしました?」
「さっき、北の魔法使いがいないから、俺たちがひとつになったと思えないかもって言ってたでしょう?俺さ、せっかくのパーティーだし、みんなでお揃いの服があればいいなと思ってたんだ。だけど、みんな個性的だし、みんなに似合う服って難しくて、だから…」
箒にまたがりながら、クロエは裁縫箱を取り出して、ぱかっと蓋を開けた。
すると、空飛ぶ魔法使いたちの上に、お揃いのローブが現れる。
「お揃いのローブと衣装を作ったんだ!」