箒に乗ってパレードへ
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「え……?せっかくのパーティーとパレードなのに、また俺、嫌われちゃうの?」
「また?」
少しクロエの言葉が引っかかったゲルダであったがその呟きは誰の耳にも入ることはなかった。
「誰もクロエを嫌ったりしないよ。みんな、クロエに会えるのを楽しみにしてるさ」
「でも……」
不安がるクロエにラスティカは明るく声をかけるがクロエの表情は変わらなかった。
「そうですよね。スノウ様、ホワイト様」
「「そうじゃ、そうじゃ!と言いたいところじゃが……」」
元気に答えた双子も表情を硬くして口を開いた。
「ファウストの懸念はもっともじゃ。そうならんように、オズを説得して、ミスラたちを従えたかったんじゃがのう」
「人々が最も恐れる魔法使いは、オズ、そして北の魔法使いたち。その者たちが手を貸すと分かれば人々も安堵するじゃろうが…」
「その者たちが従わんとなれば、人々の不安は募る一方じゃろう。我らがひとつになったとは思えんからのう」
「じゃあ……。せっかく、お洒落をしていっても、誰も歓迎してくれないの……?」
双子の言葉にクロエの表情はますます暗くなっていく。
「俺たちが堂々としていればいいだけだ。オズが説得できなかったことを嘆いていても仕方ない。それに、アーサー殿下がその分、対策を立ててくださっているだろう」
クロエを励ますように言うカインにリケは頷く。
「ええ……。私たちが神の使徒として、心から人々に尽くすことを示せば、人々も安心するでしょう」
「尽くすだと?オレたちは奴隷じゃない」
「シノ……」
リケの言葉にシノは怒りを滲ませた声色で言った。
「選ばれたくもない役目に選ばれた。その上、何故、他に媚びる必要がある」
「与えられた奇跡の力を、世のために役立てるのは、当然のことではないですか?」
リケはそれが正しいのだと疑わない純粋な瞳でシノを見つめた。
「オレが誰の役に立つかは、オレ自身で決める。ブランシェットの旦那様と、奥様のためになら、死んでもいい。だか、オレの力が借りたいのなら、そいつらが頭を下げるべきだ。何もせず、文句を言う連中のご機嫌を取るなんて、まっぴらごめんだね」
「……そのような考えは横暴です。私たちは人より、恵まれているのに……」
シノの言葉に眉を顰めたリケだったが、リケのその言葉に次に顔を顰めたのはネロだった。
「恵まれてる?石を投げられるような役目が?どう恵まれてるっていうんだ。<大いなる厄災>と戦ったって、世の中の評判と戦ったって、俺たちには何も手に入らないっていうのに」
「みなさん落ち着いてください……。それでも、私たちがいることで、誰かの希望になるはずです。希望を思い出せば、人々も穏やかになるはず。石を掴む手も、きっと無くなります」
「甘い」
言い争いを止めようとしたルチルの言葉をファウストはバッサリと切り捨てる。
「ファウストさん……」
「恐怖に駆られた人間どもは、残酷な魔法使いよりも、ためらわず恐ろしいことをする」
ファウストの言葉は的を得ている。
庭を焼き尽くす炎。
恐怖に駆られ、武器を片手した兵隊たち。
眼前に迫った火矢。
ゲルダにとっては一昨日に肌身で感じたばかりのことだ。
「大衆が暴徒になって、僕らに襲いかかってきたら?おまえの弟を踏み潰そうとしたら?お前はどうするんだ。南の魔法使い」
「それは……」
問い詰めるようなファウストの質問にルチルが答えかねていると…
「俺が守るよ」
ルチルの代わりに答えたのはフィガロだった。