箒に乗ってパレードへ
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「行っちゃった」
「元騎士団長だったせいか、カインは常に先頭を飛びたがりますね。私たちも行きましょう」
「そうね」
シャイロックとムル、ゲルダは各々箒に乗って飛び上がった。
カインの後ろをついて飛んでいると3人の横を何かがもの凄いスピードで通り過ぎる。
それと共に、男の叫び声も一緒に通り過ぎていった。
その正体はクックロビンを後ろに乗せたルチルだった。
「わー!すごい速さ!」
「ゲルダといい勝負ですね」
「別に速さ競う気はないんだけど…」
シャイロックの言葉にゲルダは苦笑した。
ゲルダは飛ぶことのできない晶のことを思い出し、後ろを振り返ってみれば魔法使いたちは次々に後を追って来ており、晶はラスティカの箒に後ろから抱きしめるように乗せられていた。
その姿にゲルダは安心して再び前を向く。
少しずつ王都に近づいていくとその道すがら酷く荒れた土地が彼らの目に入った。
「あそこに崖崩れの跡が……」
「あっちには大きな地割れが起きています」
ミチルとルチルは凄惨な状態を見て、悲しそうに言った。
「ひどいな……。各所に天災の跡が残っている……」
レノックスもそれに同調したように呟いた。
「今回の<大いなる厄災>はこの世界に近づきすぎた。影響は例年にも増してひどいわね……」
「ああ。アーサー殿下も首都の状況がひどいと言っていた」
ゲルダが眉を顰めながら悲し気に言った言葉にカインが同意する。
「東の森もひどかった」
「ブランシェットの城も……?」
シノの言葉にヒースクリフは心配そうに問いかける。
しかし、その問いにシノは首を振った。
「いや。あっちは思ったよりひどくなかった。森が守ってくれたんだろう。旦那様も奥様もご無事だ」
「そうか……」
シノの答えにヒースクリフはホッとしたように呟いた。
「だが、太古の魔法生物まで蘇っている。人間たちには、まるで、この世の終わりに見えるだろう」
「なるほどね。だから、英雄が必要ってわけか」
「……っ、どういう意味ですか?」
「ルチルさん!急に曲がらないで!!」
フィガロの言葉にルチルはいきなり箒を急旋回させ、そちらの方を向いた。
いきなりのことに驚いたクックロビンは振り落とされないようにしっかりと捕まりながら叫ぶ。
「世界が絶望しかけた時こそ、人々の希望になるような英雄が必要なんだ。ただ、少々、危険な賭けになるけどね」
「危険な賭けって?どうして?」
ルチルの問いに答えたフィガロへのクロエからの更なる質問にはフィガロではなく、ファウストが不機嫌そうに口を開いた。
「ふん……。英雄は悪役にも仕立て上げられるからな。僕たちがいれば世界は救われる。そう信じるものと同じくらい——僕たちの力が足りないせいで、世界が滅びるに違いない。そう言い出す者たちも現れるんだ。人間どものしそうなことさ」
ファウストは顔を歪めて、吐き捨てるように言った。
「おや。では、パレードで、祝福の花が投げられるか、石が投げられるか、わからないということですね」
「まあ、そうね。大半が今年の<大いなる厄災>を退けられたことに関して喜んでくれるでしょうけど、ファウストの言うような人も少なからずいることは事実だしね」
「そんな……」
ファウスト、シャイロックそしてゲルダの言葉に晶は悲しそうに声を漏らした。