あなたと友人になれたら
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カインの言葉を聞いて少しすると晶は口を開いた。
「……力を貸すって、何をすればいいんですか?」
「先生を……、ファウスト先生を助けて欲しいんです」
「ファウスト先生……?」
ヒースクリフの言葉から出てきた新しい名前に晶は首を傾げた。
「俺たちの仲間だ。死にかけてる。あんたがいれば助けられるかもしれない」
「死にかけてるってどうして……」
死にかけているというただ事ではない言葉に晶は目を見開き、尋ねた。
「仲間を庇って、深手を負ったんです」
「カインの言っていた勝負の際に…ね」
晶の質問に答えたシャイロックとゲルダの瞳は伏せがちでその時を思い出しているかのようだった。
「……ファウスト先生は、俺がお世話になった先生なんです……。先生がいなかったら、俺だって死んでた……。……っ、お願いです……。どうか、先生を助けてください……」
ヒースクリフは今にも泣き出しそうな声で晶に必死に頼み込んだ。
カインの真剣さ、誠実さ。
ヒースクリフの悲しみを感じ取った晶は深呼吸をした後、口を開いた。
「わかりました……。私に出来ることがあるなら」
晶の言葉にぱっとヒースクリフの顔に、安堵と笑顔が広がる。
それはびっくりするほどあどけない、純粋な笑みだった。
「ありがとうございます、賢者様……!」
「待て!魔法使いどもめ!賢者を渡しはせんぞ……!」
その時、ひげのおじさん…ドラモンド大臣と気弱そうな青年…クックロビンが大声を上げながら、階段を駆け降りてきた。
ドラモンドは晶を見るなり、叱りつけるような大声で言った。
「賢者様!騙されてはいけません!魔法使いは、いい加減で、嘘つきです!ためらいもなく人を騙すし、不思議な力で、心を操ります!魔法使いを信じてはいけません!」
その言葉に晶は自分の後ろにいる4人の魔法使いを見やる。
カインは眉を顰め、ヒースクリフは傷ついた顔をする。
ゲルダは無表情で黙って2人を見つめていた。
シャイロックだけが小首を傾げて、パイプを揺らしながら笑っていた。
「私たちが正直者だとしたら、あなたは嘘をおっしゃったことになりますね。あなたの言う、いい加減な嘘つきと同じ」
「私は国のために仕えているのだ!不真面目なおまえたちとは違う!」
「お黙りになって、ドラモンド様」
ゲルダの冷たい声が辺りに響いた。
その瞳には静かな怒りの炎が燃えていた。
「あなたは私たちに話しかけているつもりでしょうが、本当は私たちと対話する気はないのです。あなたの言葉から伝わるのは、あなたが私たちのことを、あまり、好きではないということだけ」
シャイロックがゲルダの言葉を引き継いでいく。
「あなたは私たちが話すことが、真実だとしても信じないでしょうし、私たちが嘘をつけば、ほっとするでしょう。あなたはあなたの嫌いな私たちが、嘘つきだと信じたいから。ならば、真実と嘘に意味はありますか?」
「……っ、ええい、わけのわからないことを!」
「どうせ真実でも嘘でもあなたは自分の都合の良いようにしか魔法使いの言葉を信じようとしない。魔法使いが嫌いという感情が消えないうちは私たちの言葉が真実か嘘かなんて意味はない。と言っているんですよ」
ゲルダの言葉にドラモンドは一瞬言葉に詰まったがすぐに声を張り上げた。
「っ…!賢者様!とにかく、そいつらの話をまともに聞いてはいけません!賢者様は私たちの言うことを聞けばいいのです!賢者様のために言ってるんですよ!」
(賢者様のため…ね。よく言う。大方、賢者様を人質に私達にいうことを聞かせる魂胆だろうに…)
ゲルダは呆れたようにはぁ…。とため息を1つついた。
晶はドラモンドの言葉に顔を顰めると少ししてから口を開いた。
「よくわからないですが……。みなさんの方についていきます」