箒に乗ってパレードへ
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翌日
すぐに中央の国に行くことになると思っていたゲルダたちであったが、都からの使徒より準備が整わぬため、出立は待ってほしいとの連絡が入り、各々自由な時間を過ごしていた。
ゲルダはネロが作った朝食を済ませると紅茶とティーポットの入ったトレイにハードカバーの本を持って、裏庭に出る。
そして木陰の下にある一組のテーブルと椅子のところへ向かい、そこに腰掛けた。
カップに紅茶を注ぎ、それを片手に、時折吹く風を感じながらゲルダは静かにページをめくっていく。
しばらくして、切りの良いところまで読み終わり、本から目を離し、一服していると一羽の鳥がゲルダの目の前を横切り、魔法舎の窓から中に入っていった。
「あれは、人?」
しかし、ゲルダにはそれが魔法をかけられた人なのだとすぐに理解した。
(緊急事態?)
魔法にかけられた人なんて滅多に来るものではない。
ゲルダはティーセットの入ったトレイと本を持つと裏庭を後にし、魔法舎の中に入っていった。
魔法舎の中に入り、ゲルダが目にしたのは焦った様子のクックロビンだった。
ここにいるということは都からの使徒なのだろうとすぐに理解したゲルダはキッチンでティーセットを片付けるとすぐに自分の部屋に向かう。
そして、本を机の上に置き、あらかじめ用意しておいた少量の着替えだけを持って部屋を出た。
外に出ると既に大体の魔法使いが準備を終え、庭に集まっていた。
「慌ただしいな。待てって言ったり、来いって言ったり」
「仕方ないだろ……。きっと、色々あったんだよ」
ヒースクリフとシノが話しているとすぐに残りの魔法使いたちも魔法舎を出て、現時点で魔法舎にいる魔法使い18人と晶、そして伝達に来たクックロビン、総勢20人のメンバーが庭に集まった。
「よし、全員揃ったな。そういえば、ゲルダ。空間転移魔法は使えないのか?」
カインが辺りを見回してからゲルダに問いかけるが、ゲルダは申し訳なさそうに首を振った。
「自分1人なら造作もないけどこれだけいっぺんとなると使い慣れている空間転移魔法じゃないと難しいわ。でも、私が得意な空間転移魔法はどこでもいけるわけじゃなく、今いる場所から事前にマーキングした場所に転移する、またはマーキングした場所と場所を繋いで、物を移動させる魔法なの。そして、マーキングしているのは自分の職場と自分の家と各国にある私の店のポストの中くらい。今回は役に立たないわ」
「そうか。なら、王都までは俺が空を飛んで案内する。クックロビン、細かい手はずを教えてくれ」
「え、ええと、首都の入り口で、アーサー殿下と合流。パレード用の装飾馬車に乗り換えます。城までの道には、みなさんを見ようと大衆が押し寄せています。そこで、手などを振って頂ければ……」
「よし、わかった。行こう!おまえたち、俺について来い!」
クックロビンの話を聞くとカインは箒を跨ぎ、真っ先に空へ向かっていった。